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新製品開発をご検討の方へ ~ 東京都中小企業振興公社 新製品・新技術開発助成事業のご紹介

今年は例年よりも長く厳しい残暑でしたが、ようやく秋めいてきました。
街を歩いていても、大規模なイベントの開催やインバウンドを含めた観光客の増加など、次第にコロナ前の状況に戻ってきていると実感します。こうした環境の変化から、防衛に徹さざるを得なかったコロナ禍を乗り越え、新製品や新サービスなどの開発のため、積極的な投資を検討されている事業者様も少なくないかと思います。

投資を検討する成長分野としても、「ニューノーマル」や「GX(グリーントランスフォーメーション)」「CN(カーボンニュートラル)」ChatGPTに代表される「生成AI 」など、コロナ前から目まぐるしく変化しています。

こうした成長分野への投資に対する補助金の代表としては、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(通称 :ものづくり補助金)」があります。補助金上限額が通常枠でも100万円~750万円(従業員が5人以下の場合)と大きく、サービス開発や生産性向上を目的とした設備投資を対象に活用できる補助金です
◆ものづくり補助事業公式ホームページ

今回のブログのテーマですが、これから新製品や新サービスの開発のために投資を検討されており、東京都内で事業活動をされている事業者様に対して、ご活用を検討頂きたい助成事業をご紹介します。
それは、東京都の外郭団体である、東京都中小企業振興公社が実施している「新製品・新技術開発助成事業」です。検討されている投資の対象によっては、ものづくり補助金よりも利用しやすいポイントが多数ありますので、その違いを中心に助成事業の内容を詳しくご紹介します。

今回お伝えしたいポイント1.   新製品・新技術開発助成事業とは?

2.募集時期、補助対象と補助対象額は?

3.   ものづくり補助金と比べ有利なポイントはココ!

新製品・新技術開発助成事業とは?

新製品・新技術開発助成事業は、実用化の見込みのある「新製品・新技術の自社開発」を行う都内中小企業者等に対し、「試作開発」における経費の一部を助成するものです。
実施主体が、「東京都中小企業振興公社」であるため、補助対象は都内の中小企業者に限定されていますが、新製品・新技術を開発するために利用できます。

 

●新製品・新技術開発助成事業

ものづくり補助金も、中小企業者のサービス開発などによる設備投資を対象としています。それぞれの特徴を公募要領を基に2つを比較してみましょう。

地域的な制限があるのは当然ではありますが、新製品・新技術開発助成事業では「中小企業グループ(共同申請)」や「創業を具体的に計画している者」も対象になります。
目的で比較して見ると、
・ものづくり補助金については、「制度変更など事業環境変化への対応」と「生産性向上のための設備投資」であり、既存の事業をベースに生産性の向上や付加価値を高めるものを意識しているのに対して、
・新製品・新技術開発助成事業については、より技術開発の色が強く、新製品・新サービス開発による「技術力の強化及び新分野の開拓」が目的となっています。主な対象が「研究開発」となっており、このブログの冒頭にあげたような成長分野に対する技術開発投資により事業の創出を支援する、という側面がうかがえます。

もちろん両者ともに、サービス開発・試作品開発で利用できる点は同じであり、事業者様が投資を検討される際に、どちらも適用対象となる場合が多いのではないかと思います。次章以降の説明も参考に、どちらを使う方がよいか、選んで頂ければと思います。

 

募集時期・審査方法と補助対象は?

募集時期・審査方法

新製品・新技術開発助成事業は、年1回の募集であり、例年では3月~4月初旬に申請を受け付けています。審査期間もやや長く、4月に募集を締め切った後、一次審査(書類)・二次面接(面接等)を経て、9月に助成対象者が決定します。
(以下に令和5年度のスケジュールを示します。)

●新製品・新技術開発助成事業

それに対し、ものづくり補助金は2か月~3か月程度の間隔で年4回~5回程度、申請を受け付けており、審査期間も2か月~3か月程度となっています。審査内容も書類審査のみです。

新製品・新技術開発助成事業は、定期的に募集があるものづくり補助金とは異なり、年1回しか申請を受け付けていませんので、計画的に準備を進めて申請を行う必要があります。また、二次面接があるため、事業者様の代表者ご自身が申請内容をしっかりと把握した上で面接に臨んで頂き、内容の説明と質疑を受けて頂く必要があります。

 

補助金額・補助対象経費など

新製品・新技術開発助成事業とものづくり補助金の補助額や補助対象経費など、具体的な補助内容を見ていきます。

補助金額は、ものづくり補助金では最大でも1,250万円であるのに対して、新製品・新技術開発助成事業では上限が1,500万円であり、補助限度額が大きいことが分かります。
また、補助対象経費については、両者ともに、製品・サービス開発への投資経費への補助、という性格から項目が概ね変わりませんが、「直接人件費」が対象になっていることが大きなポイントとなっています。
さらに、補助事業の実施期間についても、ものづくり補助金では10か月であるのに対して、新製品・新技術開発助成事業では、1年9か月と長期になっています。

補助の対象となる金額や、対象経費、事業実施期間など、意外と違いがあることが分かります。「ものづくり補助金」と「新製品・新技術開発助成事業」は、新製品・新サービス開発のための投資を支援する、という大きな目的は同じですが、前者は設備投資への支援、後者は「新製品・新技術の自社開発」を重視しているところから、補助の対象が違うことがご理解いただけたと思います。特に新製品・新技術開発助成事業について、メリットとなるポイントを次の章で解説します。

新製品・新技術開発助成事業の有利なポイントはここ!

これまで「ものづくり補助金」と「新製品・新技術開発助成事業」の違いについて説明してきました。具体的に「新製品・新技術開発助成事業」が有利となるポイントを説明します。

 

新製品・新技術を自社の従業員が中心となって行う場合

新製品・新技術開発助成事業は、「自社開発」に対して助成をする、という目的のため、補助対象経費に「直接人件費」が含まれています。つまり、開発に従事する自社の従業員の人件費を補助対象経費に含めることができます。
公募要領の直接人件費の説明では、「ソフトウエアの研究開発に係る工程及びソフトウエア以外の研究開発における設計工程に直接従事する時間」が助成対象となる、と記載されており、さらに、所定の人件費単価一覧表に沿って、「時間給×当月従事時間 で対象経費を算出する」と記載されており、上限は1,000万円となっています。
ソフトウェア開発により、新製品として自社のパッケージ製品を開発する場合など、自社の従業員を活用したい場合、大きなメリットがあると言えます。

 

開発期間が長期に渡る場合

新製品・新技術開発助成事業は、補助対象事業の期間が「最長1年9か月」と長く設定されています。補助事業期間が長く認められていることで、以下のケースでは事業者様にメリットがあると考えられます。
・人材が限られており自社の従業員に開発に専念させることができないため、開発期間が長くなると想定される場合
・「生成AI」など日進月歩の技術を活用した製品開発を検討しており、最新の技術の進展を取り込みながら開発を行いたい場合
・試作品を何度か製作し、お客様の評価を取り込みながら開発を進めたい場合

その他、様々なケースが考えられますが、開発期間を長くとりたい、という事業者様にはありがたいでしょう。

 

複数の事業者が協力して開発を行う場合・創業を検討している場合

新製品・新技術開発助成事業の補助対象者は、「都内の中小企業者等」ですが、「中小企業グループ(共同申請)」や「創業を具体的に計画している者」も対象に含まれています。1社だけではなく、複数の事業者が自社の技術を持ち寄り、協力して新製品・新サービスを開発する場合も申請することができます。また、新製品・新サービスのアイデアがあり、その実現のために創業を検討されている方も申請可能です。補助対象者の柔軟性が高いことも大きなメリットと言えます。

 

まとめ

今回のブログでは、新製品・新サービスの開発を検討されている事業様向けに、東京都中小企業振興公社が実施している「新製品・新技術開発助成事業」についてご紹介しました。新製品開発への補助金としては「ものづくり補助金」が代表的でよく知られていると思いますが、都内で事業されている事業者様につきましては、あわせてご検討いただけますと幸いです。

HKS(補助金活用支援会)は、今回ご紹介した、「新製品・新開発助成事業」につきましても、申請の準備段階からご支援が可能です。ぜひご相談頂ければと思います。

 

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