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事業再構築補助金第12回公募のご紹介
令和3年3月から始まった事業再構築補助金は、長期化する新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業等を支援するために設立されました。これまで約2年半にわたり11回の公募が実施されてきましたが、現在新型コロナウイルス感染症が5類に移行したことで、転換の岐路に立っています。令和5年度の秋のレビューでは、類似案件や事業化の検証が不十分な案件に対する指摘があり、第11回公募の採択率は26.47%と非常に厳しい結果となりました。第11回公募では、全体の応募件数が1,614件減少し、採択率も大幅に低下しました。
令和6年5月に発表された事業再構築補助金第12回公募では、既存の事業類型を見直し、今なおコロナの影響を受ける事業者への支援及びポストコロナに対応した事業再構築をこれから行う事業者への支援に重点が置かれています。本記事では、これから事業再構築補助金の活用を検討される事業者様向けに、第12回公募の概要の解説と、事業計画を作成する際のポイントや採択率を高めるための加点項目についてご紹介します。
今回お伝えしたいポイント1. 第12回公募の全体像
2.採択のための事業計画作成のポイント
3.加点項目の活用
第12回公募の全体像
第12回公募では、以前から複雑さが指摘されていた申請枠が6枠から3枠に簡略化されます。具体的には「成長枠」「産業構造転換枠」「グリーン成長枠」は、ポストコロナ対応の事業再構築を支援する「成長分野進出枠」に統合されます。この新しい枠は旧3枠の全ての内容を包含しており、実質的な変更はないと捉えても良いでしょう。一方、コロナ債務の借り換えを必須要件とする「コロナ回復加速化枠(通常類型)」は、内容も含めて完全に新しい支援枠です。今なおコロナの影響を受け、 コロナで抱えた債務の借り換えを行っている事業者や 事業再生に取り組む事業者への支援を対象としています。また、第11回では公募のなかった「サプライチェーン強靭化枠」は、第12回公募で復活しています。
第12回公募では主に以下の枠組みで提供され、それぞれの類型ごとに、対象となる事業者や補助上限額、補助率、補助対象となる経費の種類が設定されています。
申請のための共通要件
事業再構築補助金の申請には共通要件が設定されており、以下A〜Cの要件を全て満たしていることが必要です。(必須要件)
B:事業計画を金融機関等や認定経営革新等支援機関と策定し、確認を受けていること
C:補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率3.0~5.0%(事業類型により異なる)以上増加、又は 従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率3.0~5.0%(事業類型により異なる)以上増加すること
A:本事業で支援の対象となる事業再構築は「新市場進出(新分野展開、業態転換)」「事業転換」「業種転換」「事業再編」、「国内回帰」「地域サプライチェーン維持・強靱化」の6つの類型を指します。なお、「事業再構築」の類型の詳細については、「事業再構築指針の手引き」もご参照ください。
B:事業計画について金融機関等又は認定経営革新等支援機関の確認を受ける必要があります(HKSは認定経営革新等支援機関です)。補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けている必要があります。
C:付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいいます。平均成長率は、補助事業終了月の属する(申請者における)決算年度の付加価値額と比較します。類型によって成長目標は異なりますが、所定の成長率を実現できる計画を立案する必要があります。
補助対象経費
事業再構築補助金では以下の項目に関する費用が補助の対象となります。新規事業に取り組むための幅広い費用に対して補助が期待できます。対象経費は、交付決定を受けた日付以降に契約(発注)を行い、補助事業実施期間内に支払いを完了したものとなり、これまで認められていた「事前着手届出制度」は原則廃止となりましたので、事業の着手時期については注意が必要です。また、建物の新築については「必要性が認められた場合に限る」と記載がありますので、事業計画書で新築の必要性をしっかり説明する必要があります。
機械装置・システム構築費
技術導入費
専門家経費
運搬費
クラウドサービス利用費
外注費
知的財産権等関連経費
広告宣伝費・販売促進費
研修費
廃業費
採択のための事業計画作成のポイント
第12回公募では、審査項目も大幅に変更されました。以下の5つの項目に沿った事業計画書を作成することが重要です。公募要領に書面審査の審査項目が記載されていますので、重要な論点をいくつかピックアップして解説します。
1:補助対象事業としての適格性
事業再構築指針に沿った取組みであることを明確に示すことがとても重要です。事業再構築指針に沿っていないと判断されてしまわないよう、既存事業と新規事業の違いを明確に定義しておくことがポイントになります。また、必須要件のとおり、新規事業に取り組むことで、補助事業終了後3~5年で付加価値額を年平均成長率3.0%~5.0%以上増加させる取り組みであることを示す必要があります。
2:新規事業の有望度
1.新規事業の規模と市場の成長性
補助事業で取り組む新規事業が、自社の能力範囲内で継続的に売上や利益を確保できる規模であること。また、その事業の成長発展が見込まれる市場に属していることを示す必要があります。事業計画書の中で新規事業が十分な規模と市場成長性を持っているかどうかの根拠を示すことが重要です。
2.新規事業の参入可能性
補助事業で取り組む新規事業が、自社にとって実行可能なものであるかどうかを確認すること、具体的には、必要な免許や許認可が取得可能であり、ビジネスモデル上、調達先の変更が少ない事業であることを示す必要があります。事業が制度的な参入障壁をクリアできるかどうか、調達先の安定性が確保されているかどうかを示すとよいでしょう。
3.競合分析と差別化
競合分析を行い、顧客ニーズに基づいて競合他社と比較し、自社の優位性を確立するための差別化が可能であることを示す必要があります。自社の優位性が容易に模倣できないものであるか(例:導入する機械装置そのものや営業時間などではないか)、競合に対する明確な優位性があるかどうか、差別化が可能であり、その優位性が簡単に模倣されないかどうかを説明することが重要です。
3:事業の実現可能性
1.事業化に向けての検証と計画の妥当性
申請者は、中長期的な視点で補助事業の課題を検証し、事業化に至るまでの具体的な遂行方法やスケジュール、課題の解決方法を明確に示す必要があります。事業計画が現実的かつ合理的であり、実行可能であることを示すとよいでしょう。
2.財務状況と資金調達能力
最近の財務状況から見て、補助事業を適切に遂行できると期待できるかどうかを示す必要があります。また、金融機関等から十分な資金を調達できるよう事前に交渉しておく必要があります。事業者の財務状況が健全であり、資金調達の見通しが明るいことを示すとよいでしょう。
3.遂行体制の確保
補助事業を適切に遂行するための体制(人材や事務処理能力など)が整っているかどうかも重要なポイントです。また、第三者に過度に依存していないか、多角化し過ぎて経営資源が不足していないかを明確にする必要があります。事業者が十分な人材と能力を持ち、事業を独立して遂行できる体制があること。過度な依存や多角化がないことを示すとよいでしょう。
4:公的補助の必要性
1.経済波及効果や社会的意義
川上(サプライヤー)や川下(顧客)への経済波及効果が大きい事業や、社会的インフラを担う事業、新たな雇用を生み出す事業など、国が補助する理由が明確で積極的な理由がある事業は高く評価されます。経済波及効果や社会的意義を強調し、補助金の必要性を明確にすることが効果的です。
2.費用対効果の高さ
補助金の投入額に対して得られる付加価値額の増加や生産性の向上、その実現性、事業の継続可能性など、補助事業としての費用対効果が高いかどうかが評価されます。投資対効果が高く、経済的利益が見込まれることをアピールするとよいでしょう。
3.補助なしでの事業実施の難易度
国からの補助がなくても、自社単独で容易に実施できる事業であれば評価が低くなる傾向にあります。補助金がなければ実施が難しい事業であること(補助金の必要性が高いこと)を示すことが重要です。
5:口頭審査を想定して自身の言葉で書くこと
書面審査後、必要に応じて実施される口頭審査を通過するためには、経営者自身が事業計画を深く理解し、自分の言葉でスラスラと説明できることが重要です。そのため、独自性や新規性を高めるためにも、事業計画書は経営者や起業家自身が主体的に作成することが重要なポイントです。
加点項目の活用
第12回公募では、以下の加点項目を満たすことで審査において有利になります。加点項目については12項目(サプライチェーン強靭化枠は11項目)あります。加点項目ごとに申請条件や必要書類が異なるため、今回は項目のみご紹介しますが、事業状況に合わせて申請できるものがないかを確認してみましょう。
2.コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)の申請事業者に対する加点
3.経済産業省が行う EBPM の取組への協力に対する加点
4.パートナーシップ構築宣言を行っている事業者に対する加点
5.事業再生を行う者に対する加点
6.特定事業者であり、中小企業者でない者に対する加点
7.サプライチェーン加点
8.健康経営優良法人に認定された事業者に対する加点
9.大幅な賃上げを実施する事業者に対する加点
10.事業場内最低賃金引上げを実施する事業者に対する加点
11.ワーク・ライフ・バランス等の取組に対する加点
12.技術情報管理認証制度の認証を取得している事業者に対する加点
申請プロセス
申請は電子申請システム「jGrants」を通じて行われます。申請者は事前に「GビズIDプライムアカウント」を取得する必要があります。このアカウントの発行には約2〜3週間かかるため、早めに準備することが推奨されます。
GビズIDプライムアカウントは、以下のホームページで必要事項を記載し、 必要書類を郵送して作成することができます。
まとめ
事業再構築補助金第12回公募は、ポストコロナ時代に対応した成長分野への大胆な事業再構築に取り組む事業者や、今なおコロナの影響を受けコロナで抱えた債務の借り換えを行なっている事業者へ重点的な支援を行う補助金です。補助金の申請枠や要件、審査の観点について理解し、適切な事業計画を策定することで、事業再構築補助金の活用にチャレンジしてはいかがでしょうか。最新の情報や詳細な要件については、公式ホームページで確認することをお勧めします。HKSは認定経営革新等支援機関としてサポートいたしますので、よろしければご相談ください。
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