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補助金にまつわる3つの「不都合な真実」 補助金申請のパートナー選びは慎重に

持続化給付金の不正受給に関するニュースが連日報道されています。

「給付金」は、応募要件を満たせば、原則として申請者全員が受給できる公金です。対して「補助金」は、事業計画の妥当性がふるいにかけられ、審査を通過した事業者のみ受給できる金銭です。両制度の趣旨は異なりますが、名称からは違いが分かりづらく、補助金の利用を検討される事業者様の中には、漠然と公的な中小企業支援施策に不安を抱かれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は、中小事業者向けの公的支援に関するネガティブな話題は、以前から存在します。直近の報道と併せて、過去の事例を冷静に見つめると、公的支援を経営改善に繋げるためには、適切なパートナー(=支援者)選びが重要であるという事実が浮かび上がります。今回は、あえて補助金に関する3つの「不都合な真実」を紹介し、それらを踏まえ、事業者様が適切なパートナー探しで留意するべき3つのポイントを解説します。

補助金にまつわる3つの「不都合な真実」

真実1 認定経営革新等支援機関による補助金不正受給

経済産業省(中小企業庁)は、一定レベルの専門知識と実務経験を有し、中小企業に対して専門性の高い支援を行うことができる支援者を、「認定経営革新等支援機関」として認定しています。2012年の「中小企業経営力強化支援法」(現在の「中小企業等経営強化法」)施行により創設されて以来増加を続け、その数は現在、約40,000機関となっています。私たち補助金活用支援会合同会社もその一員です。

出典:中小企業庁ホームページ(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/index.htm)

 

認定経営革新等支援機関は、国公認の中小企業支援専門家集団ですが、残念ながら、プロ自らが補助金の不正受給に手を染めてしまった事案が存在します(経済産業省ニュースリリース https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11117814/www.meti.go.jp/press/2018/06/20180622001/20180622001.html)

 

認定経営革新等支援機関は現在も年間数千機関のペースで増加しており、事業者様の選択肢は多様化しています。それ自体は喜ばしいことですが、過去、このような支援機関も存在していた事実は、知っておいて損は無いと思います。

真実2 支援の成果が小さい事業者の存在

中小企業庁は2016年2月、認定経営革新等支援機関7,203機関に対して、支援業務の実施状況や成果を把握し政策評価を行うため、アンケート調査を実施しています。
これを見ると、支援の結果、具体的な成果を「0」と認識している認定経営革新等支援機関が、一定数存在することが読み取れます。成果が50%未満の事業者の合計は、全体の4割近くに上ります。

①経営革新・異分野連携について支援の成果が上がった企業の割合

②経営改善支援について支援の成果が上がった企業の割合

出典:認定経営革新等支援機関の任意調査結果(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/2016/160226Nintei.pdf)

 

どのような理由・基準で支援実績を判断しているかは、定かではありません。ただ、7,000以上の認定経営革新等支援機関に対するアンケート結果の集約であることから、計画段階での支援者・事業者間のコミュニケーション不足により、策定した事業計画が思うように機能せず、想定通り成果に結びつかなかったケース等が存在するものと推察されます。

真実3 事業計画が同一の採択案件

2022年4月20日に開催された財務省の歳出改革部会に、『資料2 産業・中小企業、グリーン』というタイトルの資料が提出されています。題名はシンプルですが、読み進めていくと、少々センセーショナルな見出しが登場します。

出典:財務省ホームページ(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings_sk/material/zaiseisk20220420.html)

財務省が補助金のありかたについて強い言葉で注意喚起する内容です。

赤枠でハイライトされた箇所では、事業再構築補助金において、事業計画が同一の採択案件が複数存在したことを指摘しています。なお、事業再構築補助金は、認定経営革新等支援機関による支援が必須であり、案件ごとの支援機関名が公表されています。

ハイライト箇所はフルーツサンド販売店に関する内容ですが、同様に「“パティシエが作った”という特徴を有するパン屋」、「コロナ禍でも好調な焼肉店」、「一般家庭向けの食卓需要を狙ったテイクアウト型から揚げ専門店」について、事業計画が同一の事業が複数存在しており、財務省が適正性に疑問を呈する事態となっています。

 

以上、補助金にまつわる3つの「不都合な真実」をご紹介しました。
あえてこのような事案を紹介したのは、いずれも、補助金活用における申請パートナー選びが、採択後のリスクや、経営改善効果に影響を与える可能性があることを示すためです。自社に合った適正なパートナーを選定し、有効な外部支援を受けることは、公的支援を経営に活かすための第一歩なのです。

適切なパートナー選びの3つのポイント

では、伴走者にふさわしい適正なパートナーは、どのような点に留意して探せばよいのでしょうか。

認定経営革新等支援機関の一員である私たちは、伴走者にふさわしいパートナーには、主に3つの特徴があると考えています。

ポイント1 親身で詳細なヒアリング

ご支援の際にもっとも大切にする情報が、事業者様へのヒアリング内容です。会社の現状や経営課題、社長の事業にかける想いなど、多様な内容を聞き取らせていただきます。初めて直接コンタクトを取る瞬間であり、事業者様も少なからず緊張される場面なので、限られた時間でスムーズに十分な情報を伺えるよう、質問項目を入念に準備して臨みます。

ヒアリングの充実度は、その後の支援内容の質を左右すると言っても過言ではありません。事業者様の主観で「親身になって事業の将来を思いヒアリングしてくれているか」「スムーズに詳細な情報を聞き取ってくれたか」の2点を評価し、及第点であれば、その相手は今後の伴走者にふさわしいパートナーである可能性が高いと考えられます

仮に、実務的な話ばかりで自社の将来をあまり意識してくれない、ヒアリング内容が表面的で進行がおぼつかないなどのケースでは、相手をパートナーとして選定することに慎重な判断が必要となります。

 

ポイント2 現実的な事業計画を推奨

補助金は、交付によって、一定の成長を実現できることが基本条件です。申請時はその内容を、事業計画書等で明らかにする必要があります。

近年、補助金は国の予算・一件当たりの交付金額とも大規模化しており、財務省の言葉を借りれば「採択のされ易さや一過性の流行に乗って安易な」申請が量産されている可能性が指摘されています。その中には、現実離れした高い目標を設定している計画も一定数含まれると言われています。

補助金の採択を優先するあまり、現実離れした事業計画を描くのは、目的と手段の逆転であり、肝心の実行段階で大変な苦労を伴う結果となります。親身に対応する支援機関であれば、そのことを理解し、事業計画の現実性には相当配慮します。事業者様から見て実現の可能性が見込めない計画を勧める支援機関は、今後の伴走者としてふさわしいか、慎重な判断が必要となります

 

ポイント3 事業者様自身の納得・腹落ちを重要視

支援機関は、事業者様へのヒアリングをもとに、具体的な事業計画策定のお手伝いをします。しかし、「支援」のプロではあれど、事業を実行する主体にはなれません。あくまで実施するのは事業者様自身です。従い、出来上がった事業計画を事業者様自身が納得して実行できるかどうか、「腹落ち」が非常に大切になります

この点を重要視し、念入りに確認を求めてくるかどうかが、見極める際のポイントとなります。実行者である事業者様自身が納得できるプランを描けない場合は、その支援者とは袂を分かつことも選択肢の一つとなります。ご自身の目で、責任をもって実行できる計画となっているか、入念にお確かめください。

 

以上、適切なパートナー選びにおける3つのポイントを解説しました。いずれもホームページの記載や定量的な数値のみでは判断できず、直接コンタクトを開始してから明らかになってくる特徴だと思います。少々手間でも、採択後の取り消しや無理な事業計画等のリスクを避け、補助金を経営改善の起爆剤として有効利用できるよう、適切なパートナーをお選びいただければと思います。

おわりに

補助金活用の専門家であるHKSは、「日本全国に高品質かつ適正価格で適切に支援する補助金活用コンサルティングサービスをお届けする」を理念に、中小事業者の有効な資金繰り施策である補助金活用を支援しています。一人でも多くの経営者の方に、適切な補助金活用方法を知っていただき、経営革新につなげて欲しいという想いを持って活動しています。

今回の記事が、事業者様が前向きに補助金の利用を検討するための一助となれば幸いです。

 

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