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もの補助事務局Q&Aからわかる申請前に知っておきたいこと

ものづくり補助金事務局のホームページには、Q&AのPDFが掲載されています。このQ&A、困ったとき、わからないときに読むことが多いと思います。実は、補助金検討時や申請前に知っておいたほうが良い内容もあります。

そこで、ものづくり補助金のQ&A集からHKSでも良く問合せを受ける質問をピックアップし、先日公表された12次の公募要領の内容と照らし合わせて解説しました。

Q&Aがあるということは問合せが多いということですから、補助金事務局としても事業者様に知っておいて欲しい内容とも言えます。ぜひご一読ください。

12次以降の採択案件は、令和5年12月31日までに補助事業を終えないといけない

ものづくり補助金は、現在12次の応募期間です(締切2022年10月24日)。12次の公募要領では、採択・交付決定後の補助事業の実施期間は、

以下の補助事業実施期間内に、発注・納入・検収・支払等のすべての事業の手続きが完了する事業であること(事務局による補助事業者に対する補助金交付等のスケジュールの都合上、補助事業実施期間の延長を行うことはできません)。
・一般型(通常枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠):交付決定日から10ヶ月以内(ただし、採択発表日から12ヶ月後の日又は令和5年12月20日のいずれか早い日までとします。)。

と書かれており、延長は無いと明記されました。13次も同様と書かれています。これは国の予算執行期間の制約と思われます。

11次までは、異常気象などの激甚災害、電子部品逼迫、国際物流停滞、設備納期遅延などのケースで事情に応じて実施期間延長を斟酌されるケースもあったようですが、これらの例外が一切なくなっていますスケジュールに余裕を持った対応が必要です。

機械の設置場所の整備工事や基礎工事は補助対象外

もの補助の補助対象経費の「機械装置・システム構築費」には、工事に関係する費用は含まれていません。公募要領にも、

「据付け」とは、本事業で新たに購入する機械・装置の設置と一体で捉えられる軽微なもの(設置場所に固定等)に限ります。設置場所の整備工事や基礎工事は含みません。

と明記されています。12次の公募要領では新たに「設置場所に固定等」と軽微なものの例が明示されました。

ものづくり補助金の補助対象経費自体に工事費に該当するものは見当たりません。外注費が一見該当するように見えますが、「加工や設計(デザイン)・検査等の 一部を外注(請負、委託等)する」とあり、工事の外注は含まれていません。

そのため、整備工事や基礎工事については、機械の見積書に含まれても交付申請では事務局から補助金での実施を認められません。この前提で申請前から資金計画や実施計画を検討する必要があります。

補助事業期間中に大企業になると、補助対象外になる

補助金による事業の実施期間内に「補助対象者の要件」を満たさなくなった場合には補助金が支払われなくなります。 「補助対象者の要件」とは、簡単に書くと中小事業者であることです。Q&Aには、

事業実施期間内に補助対象者の要件を満たさなくなった場合には補助金が支払われませんが、事業終了後に大企業となった場合には補助金の返還は必要ありません。

とあります。

特に、注意しないといけないのは、補助事業実施期間中に出資や役員構成によって「みなし大企業」となるケースです。同一大企業からの出資割合が半分以上(または複数の大企業からの出資割合がトータルで3分の2以上)、役員の半数以上が大企業勤務となると「みなし大企業」となり、補助金受給の資格を失います。(みなし大企業の定義の詳細は公募要領p.7をご参照ください)

近い将来に、大企業からの出資や役員派遣などが想定される場合は、その時期に留意する必要があります。

また、Q&Aには「個人事業主が医療法人になった場合は、従来どおり財産処分の扱いとなり、補助金額の一部を返還していただく必要があります。」とも書かれています。財産処分とは、補助金で得た資産を目的外に利用することを指す言葉です。つまり、医療法人になると、補助金で購入した機械等が目的外利用扱いになり、補助金返還対象となることを意味します。個人病院の事業者様は、この点留意いただく必要があります。

給与支給総額の増額が必須。これには役員報酬も含まれる

ものづくり補助金では、申請時に今後3~5年の事業計画をたてる必要があります。その計画は、下記を満たす必要があります。

  • 給与支給総額年率平均1.5%以上増加
  • 事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準
  • 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加

特に給与に関する要件について、中小事業の経営者のみなさんにとって気になる点かと思います。Q&Aにも多く記載されています(Q7~10)。公募要領(p.12)には、

給与支給総額とは、全従業員(非常勤を含む)及び役員に支払った給与等(給料、賃金、賞与及び役員報酬等は含み、福利厚生費、法定福利費や退職金は除く)をいいます

とあります。給料、賃金、賞与及び役員報酬をさし、役員も対象となります。一方で福利厚生費、法定福利費、退職金は含まれません。

さらに3番目の要件となっている付加価値額は、公募要領(p.12)には、下記と定義されています。

付加価値額=人件費+営業利益+減価償却費

ややこしいのは人件費です。給与支給総額とは少し異なります。人件費は、福利厚生費、法定福利費、退職金を含むものです。つまり、

人件費=給与支給総額+福利厚生費+法定福利費+退職金

です。このあたりの言葉の定義が少しややこしいので注意が必要です。

補助の「採択」は1社2回まで。3回目はない

逆に言うと、もの補助は1度採択された事業者様であっても、2回目が採択される可能性があるということです。公募要領には、

応募締切日から過去3年以内に交付決定を1回のみ受けた事業者は、減点措置の対象となります。

とあります。そのため、1回目の採択に比べると若干不利になります。同程度の革新性であれば、未採択の事業者様を優先するということと思われます。

12次締切の場合では 、応募締切の3年前( 2019年10月24日)以降に一度採択されていても、応募可能です。しかし、過去3年で2回採択された事業者様は、残念ながら採択されません。

注意点は、これは「採択」回数の制限という点です。応募回数には特に制限は課せられていません。応募したものの不採択だった場合は、上記に関係なく再チャレンジできます。

さいごに

ものづくり補助金に限らず、各種補助金ではその目的に応じて、さまざまな制約があるのが実情です。実際に採択されても、ルールを見逃していて事前確認ができておらず、せっかく採択された補助金をフル活用できなかったケースも残念ながらお見かけします。補助金活用をご検討している事業者様においては、申請前から早め早めの検討が必要です。

HKSは常に補助金に関する最新情報を入手しており、事業者様のニーズに応じて、最適な補助金の活用方法をご提案し、準備事項のご案内を差し上げております。充実した体制で事業者様のサポートを行っていますので、ぜひHKSまでご相談ください。

 

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