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「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」とは?
はじめに
ものづくり補助金における事業計画の策定にあたっては、業種に応じて「中小企業特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」又は「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」を参考とし、関連性を説明することが求められています。
この記事では、「中小企業特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」に焦点をあて、内容やものづくり補助金との関連性について解説します。
今回お伝えしたいポイント1. 「中小企業特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」とは何か?
2.具体的にどんな内容が示されているのか?
3. ものづくり補助金との関連性について
ものづくり基盤技術の高度化に関する指針とは?
「製造業の国際競争力を支える、ものづくりの基盤技術を高度化させること」と「経済の大部分を占めるサービス業の労働生産性の向上させること」を目的として、研究開発に取り組む中小企業が参考とするために、「今後社会に求められる技術の方向性」及び「具体的な開発手法」について中小企業庁が示してくれているものです。
また、中小企業が高い付加価値をもたらす事業者へ成長・変化するための考え方も示されています。
出所:中小企業庁HP(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/shishin.html)より
製造業におけるものづくり基盤技術は、12の技術分野に分類して指針が示されており、平成18年に初めて制定されて以降(当時は17の技術分野に分類)、内容の改正や追加が適宜行われて現在の形となっており、最新の技術動向等を反映した内容となっています。
最新の追加・変更としては、令和4年2月に、「先端技術を活用した高度なサービス開発」「高付加価値企業への成長・変革」についての指針が追加で示されています。
製造業の方は、自社がどのような技術を使ってビジネスをしているのかを振り返り、12の技術分野の内どれが一番近い分野なのかを確認してみてください。
ものづくり基盤技術の高度化に関する指針の具体的な記載内容
製造業における12の基盤技術分野における指針は、初めにその技術分野の現状と今後の展望について記載されており、自社が存在する業界の技術動向が今後どのように移っていくのかが把握できます。
出所:特定ものづくり基盤技術「精密加工に係る技術 概要」より
続いて、その技術が関わるサプライチェーンにおいて、川下の製造業者等が抱えている課題やニーズの調査結果が、川下業者の分野別でまとめられています。
自前でマーケティング調査をせずとも、川下業者のニーズを把握できる本資料は非常に有用であり、販売不振などの際には、販売先事業者のニーズに自社の製品・技術が適合しているか振り返ることにも役立つでしょう。
出所:特定ものづくり基盤技術「精密加工に係る技術 概要」より
続いて技術開発の方向性について、重視するもの別にパターン分けをしてまとめられています。自社製品の価値向上のために技術開発をしないといけないことは分かっているが、具体的にどんな方向性で進めたらいいか分からない事業者にとっては参考になるでしょう。
また自社では開発が難しい技術で産学連携を検討する場合などは、どのような大学・研究室と組むことができれば良いのか考える際に、有効な参考資料になることと思います。
出所:特定ものづくり基盤技術「精密加工に係る技術 概要」より
最後に上の画像のように、他社の開発の取り組み事例も掲載されているため、具体的にどんな取り組みをしていけば良いのかイメージしやすい資料となっています。
「中小企業特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」は本文と概要の2種類の資料が用意されています。本文は文章のみで10ページ以上に及ぶため、読みづらく感じる方は概要に目を通してから本文に目を通すと理解しやすいかと思います。
ものづくり補助金との関連性について
ものづくり補助金の技術面の審査項目において、以下の通り明確に「中小企業特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」に沿った取り組みであるかを審査することが示されています。
(出所:全国中小企業団体中央会「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領 (16次締切分)」)
ものづくり補助金の目的が、「中小企業が取り組む革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資を支援すること」であることから、高度化指針との適合性が相応に重要な審査項目となっていることは考えられます。
ものづくり補助金申請用の事業計画書を作成する際には、高度化指針のどの部分と申請する取り組みが関連しているのかを、丁寧に記載しておくことをお勧めします。
さいごに
今回は「中小企業特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」の内容とものづくり補助金の関係性について解説しました。いかがでしたでしょうか。
ものづくり補助金を検討する上で極めて重要な資料ですが、公募要領をよく読み込まないと「中小企業特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」の重要性については見落としてしまいがちです。
本記事をものづくり補助金の申請時に参考としていただけますと幸いです。
また「中小企業特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」は、ものづくり補助金を申請しなくても、自社の事業の将来を考える上で役立つ資料となっていますので、ぜひ一読されることをお勧めします。
HKSではものづくり補助金以外にも様々な補助金の申請支援を行っています。
補助金の活用に関心が湧きましたら、ぜひ一度ご相談ください!
今回は以上となります。最後までお読みいただきありがとうございました。
補助金活用支援会(HKS)パートナー、中小企業診断士