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東京都創業助成金/都内商店街での開業助成金。まもなく今年度最終の応募が始まります

東京都では、新たなビジネスの創出や商店街の活性化を目的として、創業助成金および都内商店街での開業助成金の2つの助成金事業を実施しています。これらの助成金は、起業家や既存の事業者が安心して事業を開始・継続できる環境を整えるために設けられています。本日(9月1日)時点、小規模事業者持続化補助金などの国の主要な補助金が新規募集を行っていない中、この東京都の助成金は多くの新規中小事業者にとって大きな支援となっています。

この2つの助成金は今年度最終の募集がまもなく始まります(今からでも応募可能ということです!)。本記事では、これらの助成事業の概要とメリットについて解説します。

東京都の創業関連の助成事業について

下表のとおり東京都には2種類の創業関連の助成事業があります。「創業助成事業」は開業率向上を目的としており、あらゆる事業領域が対象です。一方、「都内商店街での開業助成金」は商店街での出店が対象であることが特徴で、さらに2つの助成事業(若手・女性リーダー応援プログラム助成事業、商店街起業・承継支援事業)に分かれています。

事業名 目的 直近の応募期間
創業助成金 創業希望者への着実な支援により都内開業率の向上を図る 令和6年度第2回

9月25日(水)
~10月4日(金)

都内商店街での開業助成金 開業等に必要な経費の一部を助成することにより開業等を支援し、都内商店街の活性化を図る 令和6年第3回

9月20日(金)
~10月11日(金)

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業 独創的な事業プランを考え、主体的に商店街活性化に取り組む意欲のある方を対象(女性、39歳以下の男性限定
商店街起業・承継支援事業 都内商店街で、①新規店舗「開業」、②既存店舗と異なる事業を始める「多角化」、③既存事業を引き継ぎ「事業承継」を行う方を対象

いずれも今月下旬から来月上旬までが今年最後の応募期間です。東京都内で創業間もない事業者様や、商店街での新規店舗開業を具体的に計画されている事業者様は、ぜひご検討いただければと思います。

創業助成金の概要

東京都の創業助成金は、対象経費の範囲が広いことが特徴です。対象事業の制約もあまりなく、賃借料(家賃)や人件費なども対象に含まれています。使い勝手のよい助成金です。

助成限度額 上限400万円(下限100万円)
助成率 3分の2以内
助成対象経費 事業費 賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、 専門家指導費
人件費 従業員人件費
委託費 市場調査・分析費
助成対象期間 交付決定日から6か月以上最長2年

主な応募資格は下記の3つで、経営経験が少ない(または無い)方が対象で、専門機関から支援を受けている必要があります。

 

主な応募資格

  1. 都内で創業予定の個人、または都内で事業を行い事業を始めて5年未満の中小企業者(個人事業主、法人)
  2. 経営経験が通算5年未満
  3. 東京都中小企業振興公社などが実施している創業支援事業を利用しており、応募要領で指定されている認定・証明を最低1つ取得していること

 

<第2回応募のスケジュール>

第2回応募スケジュールは下記のとおりです。詳細な事業計画を策定し、関係機関から証明書類を取得する必要がありますので、前手前手の検討が重要です。

申請書類提出:9 月25 日(水)~10 月4 日(金)
書類審査結果通知:11 月 下旬頃
面接審査:12 月18 日(水)~12月25日(水)
助成対象者決定(交付決定):令和7年3月上旬

交付決定後、事業を実施し実績報告を行い、完了検査を経て助成金交付となります。事業対象期間は交付決定後2年です。それ以降の事業は助成対象外になりますので、気をつける必要があります。

都内商店街での開業助成金の概要

都内商店街での開業助成金は、事務所整備に関わる費用が対象で、家賃も含まれています。「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」、「商店街起業・承継支援事業」の2つの枠があります。

商店街起業・承継支援事業では、新規「開業」に加え新規出店の「多角化」、さらに「事業承継」も対象となっています。

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業では、商店街活性化する独創的な事業プランを持つ若手・女性事業者に対して、助成率・助成限度額を優遇しています(応募者は女性又は39 歳以下の男性(令和7年3月31 日時点)に限定)。この枠での応募者は、商店街起業・承継支援事業の「開業」との併願が可能です。

  助成対象経費 若手・女性リーダー応援プログラム助成事業 商店街起業・承継支援事業
助成限度額 事業所整備費 店舗新装・改装工事費、設備・備品購入費、宣伝・広告費 400 万円 250 万円
店舗賃借料 交付決定日から3年間の店舗賃借料 1年目:15 万円/月
2年目:12 万円/月
3年目:10 万円/月
助成率 4分の3以内 3分の2以内

主な応募資格は下記の6つですが、細かい内容は募集要項を確認してください。商店街起業・承継支援事業の「開業・多角化」「事業承継」については、それぞれさらに細かい要件が定められています。原則的に都内の商店街に出店し、継続して商店街で事業することが求められています。下記については証明書などが必要になりますので早めの準備が重要です。

 

主な応募資格

  1. 交付決定日から1年以内に、都内の商店街で開業(開店)する
  2. 都内商店街で開業する業種が、公社が定める業種に該当する
  3. 商店街での開業について、当該商店街の商店街振興組合・商店会等の代表者等から出店の確認が取れている
  4. 商店街組織に加入し、助成事業終了後も加入を継続する
  5. 開業までに申請業種の実施に当たって必要な許認可等を取得している
  6. 経営に関する知識、申請する事業に関する実務知識を有する

なお、大企業関連のフランチャイズの出店は助成対象です。

 

<第3回応募のスケジュール>

第3回応募スケジュールは下記のとおりです。詳細な事業計画を策定し、関係機関から証明書類を取得する必要がありますので、前手前手の検討が重要です。

申請書類提出:9 月20 日(金)~10 月11 日(金)
1次審査(資格・書類審査):10 月中旬~11 月下旬
2次審査(面接):12 月中旬
助成対象者決定(交付決定):令和7年2 月1 日(予定)

交付決定後、事業を実施し実績報告を行い、完了検査を経て助成金交付となります。交付決定後1年以内に開業する必要があり、それ以降の事業は助成対象外になりますので、留意する必要があります。

採択率は厳しい、、、専門家に事業計画の相談を!

大変魅力あるこの2つの助成金ですが、採択率は他の補助金と比較しても低めです。下表のとおり創業助成金や若手・女性リーダー応援プログラム助成事業で15%程度、比較的高い商店街起業・承継支援事業でも3割程度と、厳しい数字が並びます。創業・起業支援という性質上、実現性・計画性について厳しく審査されるためと考えられます。

 

<創業助成金の採択実績>

(出所:TOKYO創業ステーションホームページ(「創業助成事業」過去の採択情報について)

<都内商店街での開業助成金の採択実績>

(出所:都内商店街での開業助成金ホームページ

 

この採択率実績から、創業に関する補助金・助成金の獲得には、実現性ある事業計画・損益計画の策定が必要であることがご理解いただけるかと思います。書面審査後に面接もありますので、経営者が事業計画について、ご自身の言葉で説明できる必要があります。

事業計画・損益計画を作るためには、事業・財務や経営者のみなさまの現状や強みをしっかり分析し、事業の目論見や将来への思いを棚卸しすることが大切です。こういった多角的な内容が含まれる事業計画書を経営者単独で作成することはハードルも高く、ぜひ専門家のサポートを受けて作りあげることをおすすめします。

HKSには100人以上の実務経験豊富な中小企業診断士が所属しており、事業分析や事業計画・損益計画の策定、複雑な申請手続きのサポートをさせていただきます。不明な点やお悩みがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。みなさまの事業をしっかりとサポートいたします。

 

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