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「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」のご紹介

こんにちは。ブログ担当のイッセイです。

今週は「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」について紹介したいと思います。

本事業は、中小企業が大学や公設試験研究機関などと連携して行う、事業化につながる可能性が高い研究開発や試作品開発などを支援するものです。

具体的な支援内容は、中小企業のものづくり基盤技術やサービスの高度化に関する指針に沿った研究開発が対象となります。

さっそく見ていきましょう!

 

今回お伝えしたいポイント

1.「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」は研究開発を目的とした支援であり、生産を目的とした設備導入は対象外となります。

2.「中小企業のものづくり基盤技術やサービスの高度化に関する指針」とは、中小企業庁が定めている中小企業が取り組むべき技術開発の方向性や具体的な開発手法を示す文書です。

3.Go-Tech事業は、単独での申請はできず、複数の機関で構成される「共同体(コンソーシアム)」として申請する必要があります。

4.審査項目は、「技術面」「事業化面」「政策面」「出資獲得面」から行われます。

5.共同体のA機関・B機関役割について、A機関は、主に研究活動を担う機関で、中小企業の技術開発を支援する役割、B機関は、研究開発そのものよりも、その成果を事業化に繋げたり、研究開発プロジェクトの運営を管理したりする役割を担います。

6.Go-techナビは、Go-Tech事業ポータルサイトで「事業概要や公募情報」「過去の採択企業」「成功事例の紹介」「注目の技術に関する情報」「関連イベントや関連施策の紹介」を提供しています。

7.事業スケジュールは、研究開発計画の終了後1年以内までにサンプル出荷・ユーザー評価を受けること、補助対象期間の終了後5年以内を目処に事業化を達成する目標が策定できる事業である必要があります。

 

「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」について

対象事業

本事業は、研究開発を目的とした支援であり、生産を目的とした設備導入や営利活動は補助対象外となります。採択された研究開発の例としては、「AIによる素材が腸内環境に与える影響の評価システムの開発」や「学習データの偏在を防ぎ、データ構築からモデル化までを一気通貫で構築できるAIシステムの研究開発」などがあります。

採択事例

この事業は、以前の**戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)商業・サービス競争力強化連携支援事業(サビサポ事業)**が統合されてできたものです。具体的な支援内容は、中小企業のものづくり基盤技術やサービスの高度化に関する指針に沿った研究開発が対象となります。

補助率と補助金額

申請枠

支援には「通常枠」と「出資獲得枠」の2種類があります。

  • 通常枠: 中小企業者等は補助率が2/3以内、大学・公設試等は定額補助です。補助金額の上限は、3年間で合計9,750万円以下となっています。
  • 出資獲得枠: 補助事業終了後1年以内にファンドなどから出資を受けることが見込まれる事業が対象です。補助金額の上限は、3年間で合計3億円以下と、通常枠よりも高額です。ただし、補助金総額は出資予定金額の2倍が上限となります。

申請方法と公募期間

申請は、e-Rad(府省共通研究開発管理システム)上でのみ受け付けられます。申請にあたってはe-Radへの登録が必要で、手続きに日数がかかるため、余裕をもって準備することが推奨されています。

例年の公募は、2月中旬から4月中旬頃に実施されます。

「中小企業のものづくり基盤技術やサービスの高度化に関する指針」について

「中小企業の特定ものづくり基盤技術及びサービスの高度化等に関する指針」とは、中小企業庁が定めている、中小企業が取り組むべき技術開発の方向性や具体的な開発手法を示す文書です。

これは、日本の製造業の国際競争力強化と、サービス業の生産性向上を目的に、研究開発に取り組む中小企業が参考にできるように示されています。

中小企業の特定ものづくり基盤技術及びサービスの高度化等に関する指針

この指針は、主に以下の2つの高度化を図ることを目標としています。

1.特定ものづくり基盤技術の高度化:

  • 製造業を支える基盤技術(デザイン、情報処理、精密加工など、12の技術分野)を高度化させること。
  • 単なる下請けではなく、独自の技術で高付加価値な製品を生み出す企業への転換を促すヒントが記載されていること。

2.サービスの高度化

  • 経済の大部分を占めるサービス業の労働生産性を向上させること。
  • IoT、AIなどの先端技術を活用した高度なサービス開発に関する事項も示されること。

要件について

(1)申請対象者(共同体の構成要件)

Go-Tech事業は、単独での申請はできず、複数の機関で構成される**「共同体(コンソーシアム)」として申請する必要があります。

構成要素 主な役割
中小企業者等 研究開発の主たる実施機関となり、技術の高度化と事業化を目指す。
大学・公設試等 技術的な知見や設備を提供し、研究開発を担う「研究等実施機関」または「アドバイザー」として参画。
事業管理機関 研究開発計画の運営管理、進捗管理、共同体内の調整、補助金の手続きを行う。
アドバイザー 研究開発、事業化、資金調達などに関する助言を行う(補助金は受け取らない)。

 

(2)共同体の要件

中小企業が中心: 中小企業者等が主たる研究等実施機関として参画し、リーダーシップを取る必要があります。

大学・公設試等の参画: 通常枠では、大学・公設試等(A機関)が「従たる研究等実施機関」または「アドバイザー」として参画することが必須です。

 

(3)補助対象事業の要件

研究開発計画そのものについても要件が定められています。

① 対象となる技術・サービス

「中小企業の特定ものづくり基盤技術及びサービスの高度化等に関する指針」に記載された内容に関する研究開発であること。

特定ものづくり基盤技術(精密加工、バイオなど12技術分野)の高度化。

    • IoT、AI等の先端技術を活用した高度なサービス開発。

② 事業化の明確性

事業化までの道筋が明確に描けていること。

研究開発計画の終了後1年以内までに、サンプル出荷など川下製造業者等からの評価を受けられる計画であることが求められます。

 

③ 支援対象外の活動

生産を目的とした設備導入や営利活動に関する経費は補助対象外です。

研究開発を伴わない生産を目的とした設備導入、販路開拓のみの事業は申請できません。

 

(4)補助金配分の要件

補助金総額のうち、中小企業者等が受け取る補助金の割合にルールがあります。

補助金の配分ルール 詳細
中小企業要件 中小企業者等が受け取る補助金額が、共同体全体の補助金総額の3分の2以上である必要があります。
財政的健全性 補助金は原則精算払(後払い)であるため、研究等実施機関の全てが、経費の立替払いが可能な財政的健全性を有している必要があります。

 

(5)追加要件

 出資獲得枠(追加要件)

補助事業終了後1年以内に、ファンド等の出資者から出資を受けることが見込まれていること。

補助金の上限額は、ファンド等が出資を予定している金額の2倍を上限とします。

出資者は中小企業への投資機能と事業化支援機能を有する法人等である必要があります。

審査項目について

Ⅰ.技術面からの審査項目

我が国製造業及びサービス業の国際競争力強化につながる研究開発であること、研究開発目的が明確で研究開発を適切に実施可能な研究開発体制を有していること等について審査します。

Ⅱ.事業化面からの審査項目

研究開発成果が事業化された場合どの程度の経済効果が期待できるか(共同体の事業化能力を含む)、市場のニーズを捉えているか、またコスト面において市場導入の可能性があるか等について審査します。

 

Ⅲ.政策面からの審査項目

申請された研究開発が、各政策に沿った計画であるかどうかについて審査します。

①経済産業政策との整合性

申請された研究開発が、ごく限られた企業等にのみ効果をもたらすものではなく、産業界における課題等を的確に把握し、新たな解決策となるなど、我が国産業の発展に資する計画であり、経済産業政策と合致していること。

②中小企業政策との整合性

申請された研究開発等が、当該事業に参加している主たる研究等実施機関(中小企業者等)自らが努力し、成長・発展していくような計画であること。

③国が推進する政策との整合性

 

Ⅳ.出資獲得面からの審査項目

①公的支援の必要性

民間ファンド等の出資者からの出資や自己資金のみでは取り組むことが困難な、リスクの高い研究開発であること。

②ファンド等の出資者のハンズオン支援体制

出資を行うファンド等の出資者が、事業・組織・資本戦略の策定、財務会計、市場分析や取引先の紹介等の販路拡大のサポートなど、十分なハンズオン支援体制を整えていること。

③出資金が企業価値の向上に与える効果の程度

出資を受けない場合と比べて、出資を受けることにより、どの程度企業価値の向上を加速化できるか。

 

A機関・B機関について

Go-Tech事業におけるA機関とB機関は、主に研究開発の支援機関や運営管理機関として共同体に参加する機関を区別するために用いられる分類です。特に、これらの機関が事業管理機関として参画する場合の補助率や共同体の構成に関わってきます。

A機関 (研究機関)

A機関は、主に研究活動を担う機関で、中小企業の技術開発を支援する役割を持ちます。

分類 具体的な機関の例
A機関 大学公益財団法人など
主な役割 研究等実施機関として、専門的な知識・設備を提供し、共同研究を実施する。また、アドバイザーとして助言を行う。
補助率 定額(上限額の範囲内で全額)または2/3以内。A機関が事業管理機関として共同体に参加している場合は、定額補助が適用されるケースがあります。

 

 B機関 (研究開発運営機関)

B機関は、研究開発そのものよりも、その成果を事業化に繋げたり、研究開発プロジェクトの運営を管理したりする役割を担います。

分類 具体的な機関の例
B機関 承認・認定TLO(技術移転機関)、第三セクター、その他研究開発の運営管理が可能な一般社団法人及び一般財団法人など
主な役割 事業管理機関として、研究開発計画の運営管理、共同体構成員間の調整、研究成果の普及などを主体的に行う。
補助率 2/3以内。B機関が事業管理機関として共同体に参加している場合は、補助率が2/3または定額となる場合があります。

 

A機関による事業者募集例

A機関による公募案内

 

Go-techナビとは

Go-Techなびは、Go-Tech事業のポータルサイトで様々な情報を提供しています。

  • 事業概要公募情報
  • 過去の採択企業成功事例の紹介
  • 注目の技術に関する情報
  • 関連イベント関連施策の紹介

「Go-Techナビ」ポータルサイト

スケジュール

本事業の補助対象は、事業化につながる可能性の高い研究開発、試作品開発及び販路開拓への取組までですが、事業化までの道筋が明確に描けているものが対象となります。そのため、研究開発計画の終了後1年以内までに、サンプル出荷等川下製造業者等からの評価を受けることが可能な計画となっていることが必要となります。また、売上高(見込み)を具体的な根拠に基づいて設定するとともに、事業化に向けた体制やスケジュールについて明記し、本事業の補助対象期間の終了後5年以内を目処に事業化を達成する目標が策定できる事業である必要があります。

まとめ

ご覧の通り本補助金は研究開発型の中小企業や国の重点政策振興分野の事業者の研究開発に手厚い支援内容となっております。公的機関との連携や産学連携して新製品開発に取り組む事業者にご検討いただける制度と思います。HKSでは専門家による申請サポート支援を行っています。補助金申請サポートご希望の方はこちらまでお申込ください。本日も最後までお読みいただいてありがとうございました。

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