HKSブログ
「事業再構築補助金」第2回公募結果 採択率アップ!
事業再構築補助金の第2回公募の採択結果が9月2日に発表されました。応募状況と採択結果の概要は次のとおりです。
② 申請要件を満たした件数:18,333件(88.1%)
③ 採択件数:9,336件
④ 採択率(③÷①):44.9%
第1回公募と比較し、応募件数は1,431件減少しましたが、採択件数は1,320件増加しました。採択率も36.1%から8.8ポイント上昇しています。
一方、申請要件を満たしていなかったものも2,467件あり、第1回公募時の2,992件より525件減少しまたが、依然として書類等の不備で審査されなかったものが多くあります。
募集が行われた6つの枠別に見てみると、中小企業等、中堅企業等とも、緊急事態宣言特別枠の採択率が高くそれぞれ66.6%、55.6%でした。それに対し、通常枠は中小企業等36.3%、中堅企業等35.6%です。第1回公募も同様の傾向にありましたが、第2回公募では中小企業等の緊急事態宣言枠と通常枠では30ポイントと大きな差があります。
全体の採択率は44.9%ですが、最も応募の多い通常枠の採択率は決して高くないので、応募の半数近くが採択されると誤解しないよう注意が必要です。
第2回公募では、グローバルV字回復枠の応募はありませんでした。
製造業、宿泊業・飲食サービス業で採択数、採択割合が高く
業種別では、第1回公募と同様、応募の構成比は製造業と卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業が高く、このトップ3で全体の5割以上を占めています。採択の構成比でもこの3業種の割合が高くなっていますが、採択率をみると、製造業と宿泊業・飲食サービス業が50%を超えています。
第1回公募の採択率と比較すると、全体の採択率が高まったことを反映し全ての業種で前回を上回っています。採択率が40%を超えたのは第1回公募では製造業と宿泊業・飲食サービス業の2業種のみでしたが、第2回では7業種となりました。
採択率で今回40%を超えた業種について、応募と採択の構成比、採択率等を第2回の数値から第1回の数値を減算し増減を比較したのが次表です。
製造業の応募件数が1,310件減少しているのが目立ちます。情報通信業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業は採択率が前回より10ポイント高くなっています。
中部、北陸、関西圏で採択率が高い
次に都道府県別に応募・採択状況を見てみます。
採択率が最も高かったのは山梨県で60.5%、次いで富山県56.7%でした。山梨県は第1回の41.4%から19.2ポイント上昇しています。
全体の平均採択率(44.9%)より高い県は20府県ありました。全国的にみると中部、北陸、関西圏の採択率が高くなっています。
第1回公募と比較すると、第1回は採択率50%を超えるところはありませんでしたが、今回は8県ありました。第1回より採択率が下がったところは4県でした。秋田県は第1回の採択率47.6%から25.5%と22.2ポイント減少しています。
最も採択率が上昇したのは、沖縄県で第1回の30.4%から21.3ポイント上げ51.6%となりました。
応募・採択金額は1,500万円以下と6,000万円に二極化
応募金額と採択金額の分布状況を見ると、応募金額では1,500万円以下が47%、採択金額でも52%と全体の約5割を占めています。
第1回公募も同様の傾向(応募金額1,500万円以下:44%、採択金額1,500万円以下:46%)でしたが、第2回公募の採択金額は、1,500万円以下は第1回より6ポイント増加しました。4,500万円〜6,000万円以下の区分では、第1回27%に対し第2回は6ポイント減少し21%となっています。第1回公募時より採択の金額分布が低額の方に若干ですがシフトしています。
応募金額件数の分布をみると、第1回と同様に1,000万円以下と6,000万円に2極化している状況がうかがえます。事務局でも分析していますが、3,000万円を超えると金融機関の確認が必要となるため金額を抑えている可能性があります。
実際の採択金額の総額は示されていませんが、応募金額別件数と応募総件数から平均応募金額を算出すると1申請あたり2,501万円になります。同様に算出した第1回公募時の平均応募金額は2,315万円でしたので約190万円増加しています。
今回の採択件数9,336件にこの平均応募金額2,501万円を掛け合わせると、約2,335億円となり、国の事業再構築補助金の予算額1兆1,485億の約20%となります。第1回公募時の試算では約2,000億円(約17%)でしたので、2回の公募で、4,335億(37%)を消化したものと想定されます。この予算であと3回の公募が予定されているようですが、これまでの応募、採択状況からみると、まだ予算は充分残っていると考えて良さそうです。
中小企業庁の姿勢から、予算消化のため審査が甘くなるということはありませんが、質の高い事業再構築計画を練って応募すれば採択される可能性は充分あります。
認定支援機関別では公益財団法人と商工会の採択率が高く
認定支援機関別に応募・採択状況を見てみます。
第1回公募と同様に地銀と信用金庫の応募件数、採択件数が多くなっています。
採択率は、公益財団法人が最も高く、商工会、民間コンサルティング会社、信用金庫、中小企業診断士の順となっています。また、「その他」を除きいずれの認定支援機関でも採択率は第2回が第1回を上回っています。計画書の作成スキルが蓄積されてきていることがうかがえます。
全体の平均採択率(44.7%)を上回る機関種別は約半数の8で、前回の11より減少しています。今後、支援機関で採択率に差が拡大するか注視していきたいところです。
申請前に書類のチェックを
第2回公募でも、せっかく応募したのに書類上の不備等で審査に進めなかったものが2,467件(11.9%)ありました。申請にあたって事業計画書の作成には多大な時間と労力を費やします。書類の不備等で申請要件を満たせないのはとてももったいないことです。事業再構築補助金事務局から「電子申請にあたってご注意いただきたいこと」という記事がホームページ上で公開されています。申請前にはぜひご確認ください。
ホームページ上では、主な注意点として次の4点が指摘されています。
<要件を満たさなかった申請の事例>
事例①:売上高減少要件に必要な月別売上高を証明する書類が添付されていない。
売上高減少として選択された年月とは異なる年月の書類が添付されている。
事例②:「認定経営革新等支援機関による確認書」に記載された法人名等が申請者と異なる。
認定経営革新等支援機関ではなく、申請者名で確認書が作成されている。
事例③:経済産業省ミラサポplusからの「事業財務情報」が添付されていない。
事例④:添付された書類にパスワードがかかっている、ファイルが破損している。
②以降は申請前に確認を怠らなければ防げます。
①の売上高減少に関する添付書類は、法人、個人事業主、決算月等で必要となる書類が異なり、種類も多いので特に注意が必要です。
補助金活用支援会のブログでも“よくある申請時の不備事例紹介”(8月13日)と題する記事で、申請要件を満たすために注意すべき点を詳しく解説していますのでぜひ一度ご覧ください。
さいごに
8月31日に経済産業省から令和4年度予算の概算要求が発表されました。事業再構築補助金とものづくり補助金で25.4億円の要求額となっています。来年度も事業再構築補助金は継続される見込みですが、2つの補助金でどのように予算が振り分けられるかまだ分かりません。令和2年度3次補正1兆1,485億円の残額と合わせても、今年度より予算総額がかなり少なくなり採択率も下がる可能性があります。
第3回公募締切りは9月21日ですが、その後、まだ2回、応募のチャンスがあります。
コロナ後を見据え、事業再構築をお考えの事業者様は、この機会を逃さずチャレンジしてはいかがでしょうか。
HKSパートナー 中小企業診断士 社会保険労務士