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交付決定後に金額が変わった! 計画変更はできるの?(事業再構築補助金)
円安やエネルギーの高騰で、あらゆるものの値段が上がっています。補助金を使って購入したいと思っていた物品の価格が、計画時より上がってしまった、というケースも見られるようになっています。
事業再構築補助金は、事業計画の採択から補助金の受領まで半年から1年近い期間を要する場合もあり、社会情勢の変化による影響を強く受けます。「交付決定を受けた事業計画を変更できるのか?」と、漠然と心配されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は交付決定後の計画変更の可否にまつわる素朴な疑問に解説します。
交付決定後の計画変更は条件付きで可能
結論から言うと、交付決定後の事業計画の変更は可能です。ただし、条件が設定されています。事業再構築補助金の交付規定には、以下の記載があります。
■事業再構築補助金 交付規程
(計画変更の承認等)
第12条 補助事業者は、次の各号のいずれかに該当するときは、あらかじめ様式第3-1、様式第3-2又は様式第3-3のいずれかによる承認申請書を中小機構に提出し、その承認を受けなければならない。
計画変更そのものが禁止されているわけではなく、「承認を受ければ」可能と明記されています。さらに、「補助事業の手引き」には、具体的な方法が記載されています。
■事業再構築補助金 補助事業の手引き
8p ②計画変更等
交付決定を受けた後、本事業の経費の配分若しくは内容を変更(50万円以上の建物、機械装置等の変更を含む)しようとする場合又は本事業を中止、廃止若しくは他に承継させようとする場合には、事前に事務局の承認を得なければなりません。承認が得られていない経費については、補助事業終了後の確定検査において補助対象経費の対象外となります。なお、本事業では、応募申請時の事業計画内容の審査を経て採択事業者を決定するものであり、成果目標、事業の主旨・目的等が変更される計画変更は認められません。(例:特段の理由なく、建物の建設場所を変更することで商圏が変更になる場合等)
下線部分がポイントです。
① 事務局の事前承認が必要
計画変更は事前に事務局の承認が必要です。
事務局の承認なく、提出した計画と異なる内容で事業を進めた場合、補助金を受け取れなくなる可能性があります。
事務局とのやり取りには相当の日数を要するため、購入予定だった機械が廃番になったなど、計画変更の必要性が予見された際には、余裕をもって申請することが肝要です。
② 事業の趣旨や根幹に関わる部分の変更は不可
補助金の対象となる事業計画は、厳密な審査を経て選抜されています。
そのため、成果目標、事業の主旨・目的といった、「事業そのものや根幹が変わってしまう」計画変更は不可とされています。
例外:軽微な変更は申請不要
事業計画の変更は、事業の根幹を変えない範囲なら可能だが、事前に事務局の承認が必要であることを見てきました。
実は上記の原則には、例外があります。交付規程を再び見てみましょう。
■事業再構築補助金 交付規程
(交付規定第12条より)
補助事業者は、次の各号のいずれかに該当するときは、(中略)その承認を受けなければならない。
(1)補助対象経費の区分ごとに配分された額を変更しようとするとき。ただし、各配分額の10パーセント以内の流用増減を除く。
(2)交付申請時に補助事業により取得するとしていた主な資産(単価50万円(税抜)以上の建物、機械装置・システム等)を変更しようとするとき。
(3)補助事業の内容を変更しようとするとき。ただし、次に掲げる軽微な変更を除く。
ア 補助目的に変更をもたらすものではなく、かつ、補助事業者の自由な創意により、より能率的な補助目的達成に資するものと考えられる場合
イ 補助目的及び事業能率に関係がない事業計画の細部の変更である場合
③ 各配分額の10%以内の流用増減は申請不要
「各配分額の10%以内の流用増減」は軽微な変更とされ、申請不要とされています。
配分額とは、建物費や機械装置・システム構築費といった、経費区分ごとの金額です。たとえば、「建物費100万円」「機械装置費80万円」としていた費用を、「建物費95万円」(△5%)「機械装置費85万円」(+6%)とする変更は、軽微な変更であり申請不要です。
あくまで10%という比率で判定されるため、変動金額自体は小さくても、軽微とみなされないケースがある点に留意しましょう。
④ 軽微な変更も申請不要 だが・・・
上記の他の軽微な変更も申請不要とされており、2つのケースが記載されています。しかし、規定が抽象的で、どのような変更なら「軽微な変更」に当たるのか判断するのは困難です。
補助金を受領できなくなるという最悪のケースを避けるためにも、都度、事務局に申請要否を確認するのが確実と思われます。
変更が認められる保証はない
事業計画の変更は条件付きで可能であり、例外的に申請不要なケースも存在することを解説してきました。
とはいえ、変更のために提出するべき書類の種類・量は多く、相当の時間・労力が必要なことは間違いありません。また、変更が認められる保証はありません。最悪、せっかく手にした補助金の権利を失ってしまう可能性も0ではないのです。あくまで緊急避難的な措置であり、最初から当てにするのは危険です。
結局、最も確実で手間も少ない方法は、精緻な事業計画を立て、粛々と実行することです。現実的な事業計画が、確実に補助を受けるために不可欠であることを忘れないようにしましょう。
補助金活用の専門家であるHKSは、「日本全国に高品質かつ適正価格で適切に支援する補助金活用コンサルティングサービスをお届けする」を理念に、中小事業者の有効な資金繰り施策である補助金活用を支援しています。一人でも多くの経営者の方に、適切な補助金活用方法を知っていただき、経営革新につなげて欲しいという想いを持って活動しています。事業計画作成もしっかりと支援させていただきますので、お気軽にご相談下さい。
今回の記事が、事業者様が補助金の利用を検討するための一助となれば幸いです。
補助金活用支援会(HKS)パートナー、中小企業診断士
中小事業者様の素朴な疑問に応える、分かりやすい記事作成を心がけています。