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小規模事業者持続化補助金へのよくあるご質問にお答えします
第13回小規模事業者持続化補助金(略称:持続化補助金)の公募が開始されました。
持続化補助金は、「小規模事業者が自ら」自社の経営を見つめ直し、経営計画を作成した上で行う販路開拓の取組を支援する補助金です。補助金額は大きくはありませんが、売上向上のための拡販施策が対象となるため、売上を拡大したい事業者様に活用して頂きたい補助金です。
持続化補助金はその目的に「小規模事業者が自ら」とある通り、経営計画を事業者様自身で作成頂くことが想定されております。そのため、事業者様が補助金の申請を準備するに当たって様々なご質問を頂くことがあります。よくあるご質問をご紹介し、持続化補助金への理解を深めて頂ければと思います。
今回お伝えしたいポイント1. 申請に当たって作成する(様式4)について、事前にご確認ください
2.拡販策としてウェブサイトやECサイトを対象とする場合は、対象金額が限定されます
3. 広報費を対象とする場合、利用できない経費がないかご確認ください
4. 賃金引上げ枠の適用を検討される場合、留意頂きたいこと
商工会/商工会議所に作成頂く(様式4)について
持続化補助金は、事業者が自ら策定した経営計画に基づいて、販路開拓等を「商工会/商工会議所の支援を受けながら」取り組むこととなっています。
公募要領に記載がある通り、申請に際して事業者様の地域の商工会/商工会議所に事業支援計画書(様式4)を発行を依頼頂く必要がありますが、この(様式4)の発行について、よく以下の質問を頂きます。
①商工会/商工会議所の会員ではないのですが、申請できるのでしょうか?
②発行はどのように依頼すればよいのでしょうか?発行までどれくらいかかりますか?
①については、会員/非会員いずれも申請する上で支障はありません。商工会/商工会議所では経営相談など、地域に適した支援策を用意していることがありますので、これを機に商工会/商工会議所の活動についても目を向けるのもよいかと思います。
②については、それぞれの商工会/商工会議所により、依頼方法と作成の流れが異なります。
東京23区内の商工会議所であっても、依頼方法は以下のような違いがあります。
・窓口に作成した事業計画をメールで送付する
・補助金申請に必要な情報を jGrants にすべて入力した後、申請情報と事業計画を専用のWebサイトに添付する。
・担当者と予約を取った後、訪問またはWeb会議で内容をチェックする
作成までの流れが異なるため、発行までかかる時間もまちまちです。
補助金の申請の締切とは別に、通常1週間前に(様式4)の発行の締切が設定されていますが、商工会/商工会議所により発行されるまでの時間や依頼方法が変わってきますので、事前に商工会/商工会議所に作成の流れを確認して頂くことをお勧めします。
ウェブサイトやECサイトでの拡販をご検討の場合
販路拡大の方策として、補助金を活用してウェブサイトの設置、ECサイトでのインターネット販売を検討される事業者様も多いと思います。持続化補助金でも補助対象経費として「ウェブサイト関連費」が用意されています。
ただし、この「ウェブサイト関連費」は単独では利用できず、補助対象額も制限がありますので、注意が必要です。公募要領P.15 に記述がありますので、ご確認ください。
ウェブサイト関連費についても、事業者様からよく頂くご質問を記載します。
①拡販施策として、検索サイトやSNSに連動した広告の掲載は広報費で計上できますか?
②システムの導入や開発を行いますが、委託費及び機械装置等費で計上できますか?
ご質問への回答としては、①、②共に、ウェブサイト関連費として計上する必要があります。
持続化補助金事務局から発行されている、「申請時によくあるご質問」にて、「Q3-10」「Q3-11」にも記載されています。
インターネット上の検索サイトやSNSを活用した広告、ECサイトの構築、自社のウェブサイトへのアクセス数を増加させるためのSEO対策など、インターネットに関連する項目については、すべてウェブサイト関連費として計上する必要があります。
ウェブサイトを活用した拡販を検討される事業者様は、他の補助対象経費、例えば広報費と組み合わせて利用頂くのがよいでしょう。
広報費で対象にならない経費がある
持続化補助金は地道な販路拡大を目指す事業者への補助金であり、その中心となる補助経費が広報費です。パンフレット・ポスター・チラシなど、対象に大きな制約はなく、拡販につながる活動が広く対象となっています。
事業者様からご相談を頂き予定されている拡販活動を伺った際に、よく頂くご質問、ご注意頂きたい内容を次にまとめます。
①店舗や会社の広告を出したいのですが、どのような広告でも大丈夫でしょうか?
②フランチャイズに加盟しており、本部で主催するセールの広告は対象となりますか?
③試供品を作って見込み顧客に配布したいのですが、対象となりますか?
それぞれについて、注意頂きたい点をお答えしていきましょう。
①:雑誌の広告やチラシ・ポスターの作成、ダイレクトメールの送付など、媒体や方法に制限は特になく、事業者様に最も効果的な方法をご利用いただけます。ただし、事業者様の補助計画をもとにした拡販活動に対する補助、という補助金の性格上、会社や店舗の案内ではなく、取り扱う商品・サービスの宣伝広告である必要があります。
②:フランチャイズに加盟されている場合、本部が主催するイベントに合わせて、自社/自店舗の商品・サービスを広報する宣伝広告は問題ありませんが、フランチャイズ本部が作製する広告物の購入は、事業者の経営計画に基づいた拡販活動とはみなされないため、補助対象とはなりません。
③:見込み顧客への試供品の提供も補助対象経費となります。新商品による顧客層の拡大などに活用できます。ただし、販売用の商品と同じものを提供する場合は対象となりません。販売用の商品よりサイズを小さくするなど、販売品とは異なる試供品を用意する必要があります。
賃金引上げ枠の適用時の注意点
持続化補助金には補助金の上限額を引き上げる特別枠がいくつか用意されています。最低賃金引上げが行われる中、補助事業による販路拡大により経営を安定させ、従業員の賃金を引上げる事業者様に対して「「賃金引上げ枠」が用意されています。
賃金引上げ枠の内容や活用のポイントについては、補助金活用支援会(HKS)のブログでも以前紹介していますのでご覧ください。
賃金引上げ枠は、従業員の賃金を最低賃金以上に引上げることを条件に、受けられる補助額の拡大ができるため、活用をぜひ検討頂きたいのですが、適用に当たり事業者様が疑問となるポイント、よくご相談を受けるポイントを紹介します。
①従業員は正社員でなくてもよいのでしょうか?
②申請後に特別枠の適用をやめることはできますか?
③補助事業を実施している期間中に条件を満たせなくなった場合はどうなりますか?
ご質問への回答は次の通りです。
①:賃金引上げ枠の対象の給与は、正社員だけではなく、パート・アルバイトも対象とすることができます。パート・アルバイトの給与を引き上げることで「賃金引上げ枠」を適用することが可能です。事務局から発行されている、「申請時によくあるご質問」にて、「Q6-8」にも記載されています。
②・③:持続化補助金を特別枠である「賃金引上げ枠」で申請後に、従業員が辞めてしまったり、経営状況の変化で特別枠の適用が難しくなくなり、特別枠の適用をやめて通常枠に戻せないか、とご質問を受けることがあります。
しかしながら、申請後に特別枠の適用を取りやめることはできませんので、「賃金引上げ枠」を適用する場合は、補助対象である補助事業が終了するまで、確実に賃金を引上げる必要があります。
「申請時によくあるご質問」にて、「Q6-17」「Q6-18」に記載されています。
おわりに
持続化補助金について、よくあるご質問をまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。販路の開拓に幅広く活用できる補助金ですので、経営改善活動にお役立ていただければと思います。
HKSでは持続化補助金だけでなく、事業者様の経営をサポートするための補助金の活用方法をご提案しております。ご相談をお待ちしております。
補助金活用支援会(HKS)パートナー、中小企業診断士
ひとこと:補助金制度を活用して、中小事業者様の発展と経営改善に貢献できるよう、分かりやすく役立つ情報を提供します。