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海外市場開拓に役立つ補助金と支援策とは

3年前、ドル円為替は1米ドル100円台でしたが、昨年の今頃(2022年7月)から130円から140円台で推移しています。
この円安環境で、自社の技術や製品を海外市場で展開できないかと考えている事業者さんも、多いのではないでしょうか。
今回のブログでは、事業者さんの輸出への挑戦を支援する補助金を紹介します。
また、令和4年度第2次補正予算により、経済的な面以外でも中小企業の輸出への取組みを後押しする国の施策が実施されています。
そのご紹介もしましょう。

今回お伝えしたいポイント1.   革新性のある製品の輸出に「ものづくり補助金(グローバル市場開拓枠)」を利用すれば、設備投資費用に加え、市場開拓の費用も補助されます。

2.小規模事業者の方は、「小規模事業者持続化補助金」により、海外での販路開拓に必要な資金が補助されます。

3.「新規輸出1万者支援プログラム」に登録すると、輸出のための様々な支援が公的機関から受けられます。

ものづくり補助金「グローバル市場開拓枠」

中小企業・小規模事業者等が取り組む、革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセス改善を行うための設備投資等を支援する国の補助金が、ものづくり補助金です。
正式名称は、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。

そして、その特別枠のひとつ「グローバル市場開拓枠」が、海外市場をねらう事業者さんの資金確保に役立ちます。
ものづくり補助金は、16次の公募が7月28日に発表されました。

「ものづくり補助金」のポータルサイトはコチラ

「ものづくり補助金」の全体像の解説記事はコチラ

グローバル市場開拓枠の概要

グローバル市場開拓枠は、「海外事業の拡大・強化等を目的とした『製品・サービス開発』又は『生産プロセス・サービス提供方法の改善』に必要な設備・システム投資等を支援」する特別枠です。
市場開拓の方法とターゲットにより、4つの類型があります。

国内事業所で製造した製品を海外で販売する一般的な輸出では、2.の「海外市場開拓類型」での補助金申請になるケースが多いでしょう。
「海外市場開拓類型」では、海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝費・販売促進費まで補助対象の経費に含まれますので、製品開発から販路開拓までの資金支援が得られます。
そして、補助率1/2、最大3,000万円の補助は、大きな魅力ではないでしょうか。

「海外市場開拓」類型の申請要件

申請のためには、提出する事業計画や関連資料について、ものづくり補助金共通の基本要件と、特別枠ごとに設けられた追加要件を満たす必要があります。
基本要件は、給与支給総額の増加率、事業所内最低賃金の水準、付加価値額の増加率の点で、指定の数値目標をクリアする事業計画を立てることです。
「グローバル市場開拓枠・海外市場開拓類型」の追加要件は、国内で設備投資等を行い、製品等の最終販売先の半数以上が海外顧客であり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回ることです。

 

事業計画

「グローバル市場開拓枠・海外市場開拓類型」で申請する際、事業計画書(その1、その2、その3)に記載する事項は、以下のとおりです。
広告宣伝費や販売促進費を補助対象の経費に含める場合、マーケティング戦略の説明は必須です。
また、追加資料として「グローバル市場開拓の専門性について」を作成し、申請者自身に、あるいは外部専門家の活用により輸出の実行力があることを示す必要があります。

審査項目

事業計画書の作成に当たっては、審査項目に書かれた審査のポイントを踏まえることが、採択への何よりの近道です。
ものづくり補助金には、各枠に共通な技術面、事業化面、政策面の審査項目がありますが、特別枠にはそれぞれに固有の審査項目が設けられています。
「グローバル市場開拓枠」では、専門性も含めた実施体制がしっかりしていること、事前の市場調査が十分されていること、さらに地域経済に寄与することも審査対象ですので留意が必要です。

加点項目

国の政策に合致した取組みを行うと、審査の際に加点されます。
以下の図表の1~11は、ものづくり補助金の各枠共通の加点項目です。
12の「新規輸出 1 万者支援プログラム」は、「グローバル市場開拓枠」のうち「海外市場開拓類型」の申請者のみが対象になっています。
令和4年度第2次補正予算で実施することとなった、輸出に挑戦する中小企業を掘り起こすための施策です。
専用ポータルサイトから参加登録すると加点がもらえますので、補助金申請するのであればぜひ登録することをお薦めします。


パートナーシップ構築宣言についての記事はコチラ
事業継続力強化計画についての記事はコチラ
ワーク・ライフ・バランス等の推進の取組み加点についての記事はコチラ

ものづくり補助金 16次公募

7月28日(金)に発表された、ものづくり補助金16次の公募スケジュールは、次のとおりです。
既に、補助金申請を考えている事業者さんは、具体的な準備をお願いします。

申請受付:  8月18日(金)17時~
応募締切: 11月 7日(金)17時

中小企業庁の資料では、ものづくり補助金は「令和4年度補正~令和6年度にかけて、切れ目なく事業を実施」となっています。
17次以降も公募が行われる予定ですが、特別枠は年度替わりで変更になる可能性が高いので、ご注意ください。


【出典】中小企業庁資料「ものづくり・商業・サービス補助金令和4年度2次補正予算関連」(令和5年1月)

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者であれば、輸出のために販路開拓等の取組みを支援する「小規模事業者持続化補助金」を利用できます。
ものづくり補助金に比べると補助額が低くなりますが、越境ECサイトの構築、越境ECサイトへの出展、海外の展示会・商談会出展等の経費が補助されます。
事業者は、輸出を販路開拓の取組みとして位置付ける経営計画を策定し、申請する必要があります。


「小規模事業者持続化補助金」(商工会議所エリア)のポータルサイトはコチラ
「小規模事業者持続化補助金」(商工会エリア)のポータルサイトはコチラ

「小規模事業者持続化補助金」の全体像の解説記事はコチラ

輸出を後押しする補助金以外の支援

以上、輸出に役立つ補助金のご紹介をしてきました。
輸出については、国内取引よりもハードルが高いため、資金面以外での支援を求めている事業者さんも多いのではないでしょうか。
初めて輸出に取組む事業者さんもいらっしゃるでしょう。
そのような事業者さんは、「ものづくり補助金(グローバル市場開拓枠)」の加点項目でもある「新規輸出1万者支援プログラム」の利用を考えてはいかがでしょうか。

「新規輸出1万者支援プログラム」とは

今日の円安を契機として、2022年12月から開始された、国、ジェトロ(日本貿易振興機構)及び中小機構(中小企業基盤整備機構)が中心となって実施する、中小企業者のための輸出振興プログラムです。
①輸出の可能性に関する専門家との個別相談や、②輸出に向けた経営計画の策定から具体的な準備までの伴走支援、③輸出用の商品開発や売込みにかかる費用への補助、④輸出商社とのマッチングやECサイト出展への支援など、事業者さんの状況やニーズに応じた支援を受けられる仕組みが用意されています。


【出典】経済産業省資料「新規輸出1万者支援プログラム」(令和4年12月16日)
経済産業省資料「新規輸出1万者支援プログラム」はコチラ

カウンセリングで支援策とマッチング

「新規輸出1万者支援プログラム」には、ジェトロのウェブサイトに専用ポータルサイトがあります。
「新規輸出」となっていますが、輸出経験があっても支援は受けられます。

ポータルサイトで利用登録を行うと、事業者は電話またはオンライン面談の形で、専門家の無料カウンセリングを受けることができます。
カウンセリングでは、さまざまな支援策の中から事業者の状況やニーズに見合った支援策の提案があります。

【出典】ジェトロ「新規輸出1万者支援プログラム」ポータルサイト
「新規輸出1万者支援プログラム」ポータルサイトはコチラ

支援策のバラエティ

では、「新規輸出1万者支援プログラム」で利用できる具体的な支援策には、どのようなものがあるでしょうか。
主なものをまとめたのが次の図表です。

さらにもう少し詳しい内容は以下の図表をご覧ください。
無料のサービスが多いことをご理解いただけると思います。
クリックすると図表が拡大されますのでご利用ください。


【出典】「新規輸出1万者支援プログラム」ガイドブック
「新規輸出者1万者支援プログラム」ガイドブックはコチラ

さいごに

今回は輸出に役立つ補助金と支援策についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
補助金に関するこのブログの説明は、公募要領から筆者が要約したものです。
申請を具体的に考えている事業者さんは、公募要領をお読みいただくようお願いします。
補助金の申請にあたって、分からない点や相談したいことがありましたら、HKS(補助金活用支援会)にお声をおかけください。
ものづくり補助金「グローバル市場開拓枠」を含め多くの実績があり、事業者さんに寄り添う支援をしています。
最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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