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インバウンド時代の外国人創業のすすめ
日本政府観光局 (JNTO) の推計によると、2024年7月の訪日外客数は3,292,500人(2019年比+10.1%)で、単月として過去最高となっています。また、公益財団法人アジア成長研究所の調査報告書によると、インバウンド観光客数が、外国人起業家数に対してプラスの影響を与えていることを示しています。今まさに外国人創業ブーム前夜に我々はいる状況と捉えることができます。外国人の方にとっては創業の良いタイミングが来ていると言えます。
創業できれば、もちろん補助金の活用は可能ですが、外国人の場合、そもそも日本での創業がかなり困難であるという現実があります。このようなことを鑑み、日本政府や東京都などは、2015年ごろから、在住外国人の創業・起業促進事業に本格的に取り組んでいます。
今回は、都内在住外国人の方が創業の際に利用できる「外国人創業人材受入促進事業」についてわかりやすく解説します。
今回お伝えしたいポイント1. 訪日外国人数の推移
2.外国人創業人材受入促進事業とは?
3.制度利用の流れ
4.まとめ
訪日外国人数の推移
近年、都内で電車に乗るとスーツケースをもった多くの外国人に出会う機会が増えていることに気づきます。訪日外国人数の推移やその内訳を見てみたいと思います。
訪日外国人数の推移
コロナ感染症の影響がある2022年上半期までは、都内の電車に乗っても外国人を見るどころか日本人さえも少ない状況でした。2022年下半期以降、コロナ感染症の影響が少なく、円安の影響も重なり訪日外国人は右肩上がりに推移し、2024年7月には単月約330万人と過去最高となりました。日常の肌感覚とも合致している数字かと思います。
出典:日本政府観光局 (JNTO) 発表統計よりJTB総合研究所作成
国・地域別訪日外国人数 (2023年)
訪日外国人数が単月として過去最高となりましたが、ではどこの国・地域から日本へ来ているのでしょうか。以下の円グラフは2023年の国・地域別訪日外国人数を示しています。これより、韓国、台湾、中国の順に訪日していることが分かります。
出典:日本政府観光局 (JNTO) 発表統計よりJTB総合研究所作成
外国人創業人材受入促進事業とは?
外国人の東京での創業をスムーズにするため、東京都では独自の支援を行っています。
通常、外国人が日本で創業する場合、在留資格「経営・管理」を取得する必要があります。この在留資格を取得するため、入国前に事務所の開設に加え、常勤2名以上の雇用又は500万円以上の国内での投資等の要件を満たしている必要があります。つまり、外国人が日本国内のパートナーなしに、一人で創業することは極めて困難となっていました。
そこで、この問題を解決するため、東京都の特区制度「外国人創業人材受入促進事業」では、入国時の出入国在留管理局(入管)の審査前に、東京都が事業計画等を確認することで、特例的に6か月間の在留資格「経営・管理」が認められるようにしました。
創業予定の外国人は、この6か月を活用して入国後に創業準備活動を行うことができます。
制度利用の流れ
通常の流れ
在留資格「経営・管理」の申請時に、以下の要件を満たしている必要があります。
取得要件
①事務所の開設
②常勤2名以上の雇用又は500万円以上の国内での投資等
通常は、入国前に上記の要件を満たさなければなりませんでした。
したがって、入国前にビジネスパートナーの確保や事務所の賃貸契約等の準備活動を行う必要がありますが、一人で創業することは極めて困難な状況でした。
出典:東京都のビジネスサポート「外国人創業人材受入促進事業」
制度利用の流れ
「外国人創業人材受入促進事業」の制度を利用すると、入国後 の6か月間で創業活動ができます!
6か月間で在留資格「経営・管理」1年更新の要件を満たせばよいこととなり、準備活動がスムーズに行えます。さらに、東京都の場合、ビジネスコンシェルジュ東京(BDCT)の赤坂窓口や丸の内窓口に行くと、英語で対応可能な中小企業診断士がビジネス相談員としてサポートしてくれますので、安心して制度を利用することができます。
出典:東京都のビジネスサポート「外国人創業人材受入促進事業」
在留資格を「留学」から「経営・管理」に変更する流れ
日本に留学中にビジネスチャンスを得て、そのまま日本にとどまり起業する場合は、在留資格の新規取得ではなく、「留学」から「経営・管理」に変更することも可能です。
出典:東京都のビジネスサポート「外国人創業人材受入促進事業」
まとめ
今回は、訪日外国人の推移から未来を推察し、外国人創業の良いタイミングであることをお伝えしました。また、外国人の方が一人で創業可能な制度「外国人創業人材受入促進事業」についてわかりやすく解説しました。この記事が、外国人創業の一助となることを願っています。
外国人の方が一人で起業するのは大変ですが、一度起業すれば日本の豊富な補助金制度を活用できます。補助金は、事業を次のステップへと進めるための大変貴重な支援となります。ただし、補助金の特徴や特性を理解し、正確に申請して、その資金を効果的に使うためには、詳しい情報の収集と入念な準備が不可欠です。
起業後に、もしも補助金の申請プロセスが難しく感じられる場合は、我々のような専門家の助けを求めることも一つの手段です。当社では、補助金に関する最新の情報や、申請に役立つ独自のノウハウを多年にわたり蓄積しており、申請が難しいと感じたら、どなたでも気軽にご相談いただけます。
補助金申請の道のりは複雑に思えるかもしれませんが、事業成長に向けた一歩となることを心から願っています。どんなに小さな疑問や不安も、専門家が解決の手助けをいたします。補助金を通じて、事業の新たな高みを目指しましょう!
今回は以上となります。最後までお読みいただきありがとうございました。
HKSパートナー 博士(工学)、中小企業診断士、認定経営革新等支援機関
ひとこと:補助金という言葉は聞いたことあるかもしれませんが、具体的にどう申請したらよいのか、どんな点に注意したらよいのか、まったく見当がつかない方も多くいらっしゃるかと思います。そんな方のために丁寧な説明を心がけたいと思います。