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「事業承継・引継ぎ補助金」のご紹介

「事業承継・引継ぎ補助金」は、事業承継を機に経営革新や事業転換をする中小企業を支援する「事業承継補助金」と、経営資源を第三者に引き継ぐときの費用を補助する「経営資源引継ぎ補助金」がまとめられたものです。2020年(令和2年)12月に閣議決定され、2020年度第3次補正予算案と2021年度当初予算に盛り込まれています。補助金事業者も先月決定しました。

前身の事業承継補助金は昨年3月末に公募要領が開示されており、本年も近々公募要領が開示されるものと思われます。本稿では、現時点で中小企業庁より開示されている補助金の概要と、旧事業承継補助金の分野に関するポイントを解説します。

 

事業承継・引継ぎ補助金の種類、申請可能な経費

事業承継・引継ぎ補助金は、昨年までの2つの補助金事業の流れを受け、2つの種類があります。さらに細かく類型に分かれています。

1.事業承継を契機として新たな経営革新(新商品や新サービスの開発)を行う事業者への支援

旧 事業承継補助金に相当します。事業承継に伴う新たな取組みや廃業に関する費用の補助です。承継に伴い新たな市場を開拓するために、新商品開発に必要な設備を購入するようなケースが該当します。今回、創業型が新たに追加されました。

類型 内容
創業支援型 他の事業者が保有している経営資源を引き継いで創業した事業者への⽀援
経営者交代型 親族内承継等により経営資源を引き継いだ事業者への⽀援
M&A型 M&A(株式譲渡、事業譲渡など)により経営資源を引き継いだ事業者への⽀援

申請可能な経費: 人件費、店舗等借入費、設備費、原材料費、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、外注費、委託費、マーケティング調査費、会場借料費、広報費

<廃業費用活用の場合のみ> 廃業登記費、在庫処分費、解体費、原状回復費、移転・移設費用

2.事業承継の円滑な実施のためのM&Aなどの専門家活用費用の支援(専門家活用型)

旧 経営資源引継ぎ補助金に相当します。仲介⼿数料、デューデリジェンス費⽤、企業概要書作成費⽤など、事業引き継ぎで⼠業専⾨家を活⽤するときの費⽤の一部が補助されます。買い手支援と売り手支援の2類型があります。

類型 内容
買い手支援型(譲り受け) 事業再編・事業統合等に伴う経営資源の引継ぎを行う予定の中小企業・小規模事業者への支援
売り手支援型(譲り渡し) 事業再編・事業統合等に伴い自社が有する経営資源の引継ぎが行われる予定の中小企業・小規模事業者への支援

申請可能な経費: 謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料
<廃業費用活用の場合のみ> 廃業登記費、在庫処分費、解体費、原状回復費

事業承継・引継ぎ補助金の補助率・補助上限額

補助率・補助上限額は下記の通りです。

1.事業承継を契機として新たな経営革新(新商品や新サービスの開発)を行う事業者への支援

類型 補助率 補助上限額
創業支援型 2/3 400万円
経営者交代型 2/3 400万円
M&A型 2/3 800万円

2.専門家活用型

類型 補助率 補助上限額
買い手支援型(譲り受け) 2/3 400万円
売り手支援型(譲り渡し) 2/3 400万円

なお、廃業費用を活用した場合の補助上限額は、それぞれの欄に示す額に200万円が追加されます。ただし、買い手支援型(譲り受け)の場合のみ廃業費用の支援はありません。

旧 事業承継補助金対象者の要件

昨年の事業承継補助金では、補助対象者として下記が定められていました。本年も踏襲される可能性が高いと思われます。

1.後継者承継支援型

以下の3点を満たす者とされています。

  • 2017年4月1日から、補助事業期間完了日(最長2020年12月31日)までの間に事業承継(代表者の交代)を行った、または行うこと。
  • 取引関係や雇用によって地域に貢献する中小企業者等であること。
  • 経営革新や事業転換などの新たな取組を行うこと。

2.事業再編・事業統合支援型

以下の3点を満たす者とされています。

  • 2017年4月1日から、補助事業期間完了日(最長2020年12月31日)までの間に事業再編・事業統合を行った、または行うこと。
  • 取引関係や雇用によって地域に貢献する中小企業者等であること。
  • 経営革新や事業転換などの新たな取組を行うこと。

また、事業承継が申請時点で完了していない場合は、承継者の代表者は、下記のいずれかを満たす必要があります。

1.経営経験を有している(事業)者

  • 対象企業の役員として3年以上の経験を有する者
  • 他の企業の役員として3年以上の経験を有する者
  • 個人事業主として3年以上の経験を有する者
  • 上記について、2020年12月31日までに上記基準の年数を超えること。

 

2.同業種での実務経験などを有している(事業)者

  • 対象企業・個人事業に継続して6年以上雇用され業務に従事した経験を有する者
  • 対象企業・個人事業と同じ業種において通算して6年以上業務に従事した経験を有する者
    ※上記について、2020年12月31日までに上記基準の年数を超えること。

 

3.創業・承継に関する下記の研修等を受講した(事業)者

  • 産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援等事業を受けた者
  • 地域創業促進支援事業(平成29年度以降は潜在的創業者掘り起こし事業)を受けた者
  • 中小企業大学校の実施する経営者・後継者向けの研修等を履修した者
    ※補助事業期間内に受講する場合を含む。

補助金申請の公募期間

昨年の事業承継補助金のでは、公募期間は下記の期間でした。

  • 公募要領公開: 令和2年3月31日
  • 申請受付: 令和2年4月10日~5月29日

公開後最終の締切まで2カ月しかありません。本年もそろそろ公募要領公開の時期と思われます。応募を検討されている事業者様においては、早めに専門家に相談し、事業計画などの具体的検討に着手することがおすすめです。

なお、申請にあたっては「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要です。GビズID取得は、通常2週間ほどかかります。ただし、現在大変混み合っているとの情報があり、2週間以上の時間を要する可能性があります。他の補助金申請でも必要となりますので、未取得の方はできるだけ早めに利用登録するとよいでしょう。

補助金対象事業の実施期間

補助金申請が採択された場合、その対象事業を実施する期間も定められています。

昨年の事業承継補助金の場合、交付決定日(2020年7月15日)から2020年12月31日までの間に実施しなければなりません。また、該当事業の完了日から30日以内に実績報告を行う必要があります。

旧 事業承継補助金の申請書について

昨年の事業承継補助金の場合、下記の書類が必要でした。応募を考えている事業者様は、早めの確認・準備をおすすめします。

承継者

  • 認定経営革新等支援機関による確認書

 

承継者(法人の代表者又は個人事業主)・被承継者(法人の代表者又は個人事業主)

  • 住民票(交付申請日以前3ヵ月以内に発行されたもの)

 

承継者・被承継者が法人の場合

  • 履歴事項全部証明書(発行から3ヵ月以内に発行されたもの)
  • 直近の確定申告書(確定申告書は、税務署受付印のあるもの。電子申告の場合は受付結果などを添付する。)
  • 直近の確定申告書の基となる直近の決算書(貸借対照表・損益計算書)

 

承継者・被承継者が個人事業主の場合

  • 直近の確定申告書B
  • 青色申告決算書

 

承継者・被承継者が特定非営利活動法人の場合

  • 履歴事項全部証明書(3ヶ月以内に発行されたもの)
  • 定款
  • 直近の事業報告書・活動計算書・貸借対照表

 

その他

  • 承継者の要件を示す書類
  • 加点事由に関する書類
  • Ⅱ型(M&A型)の場合は、事業再編・事業統合のスキームがわかる模式図
  • その他補足説明資料

 

HKSでは経営革新等支援機関です。事業承継・引継ぎ補助金の支援も行っています。ご検討されている事業者様は、ぜひお早めにご相談ください。

 

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