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数字で見る補助金の効果!事業成長を加速させる活用ポイントとは?

今回は、「数字で見る補助金の効果」についてご紹介します。
今回お伝えしたいポイント1.中小企業の経営環境の変化に対応して、補助金の活用が促進されている
2.補助金を活用する企業は、事業成長を達成しやすい傾向がある
3.補助金を活用して事業成長を実現するには、目的を明確化し、適切に事業を管理していくことが必要
中小企業の持続的な成長を支援するため、政府および自治体はさまざまな補助金制度を整備しています。
特に、「ものづくり補助金」などは、企業の競争力強化や市場参入を促進するための重要な施策として機能しています。
本記事では、補助金が企業成長に与える影響について、データに基づいた分析を行いながら、適切な活用方法を解説します。
補助金申請を検討している企業経営者や担当者の皆様が、事業成長のための補助金活用を検討する際の参考になれば幸いです。
1. なぜ中小企業にとって補助金活用が重要なのか
①中小企業の事業環境の厳しさが増している
近年、中小企業の経営環境は一段と厳しさを増しています。
市場の競争激化や技術革新の加速、さらには社会構造の変化が、中小企業に新たな課題をもたらしています。
特に以下の点が中小企業を取り巻く事業環境の変化として重要です。
- 人手不足の深刻化:労働力人口の減少により、採用競争が激化し、必要な人材の確保が困難になっています。リクルートワークスは、2030年には約341万人の労働供給不足が発生すると試算しています。(出所:リクルートワークス 未来予測2040 労働供給制約社会)
- 事業承継の問題:経営者の高齢化が進む中で、後継者が見つからず、事業の存続が危ぶまれています。帝国データバンクによれば、2024年時点で後継者不在率が52.1%と発表しています。(出所:帝国データバンク「全国「後継者不在率」動向調査(2024年)」)
- デジタル化の遅れ:特に中小企業においては、約25%の企業が、予算の制約により、DXの進展が阻害されていると考えられています。(出所:中小機構 「中小企業のDX推進に関する調査(2024年)」
- コスト増加による収益圧迫:原材料費やエネルギー価格の上昇を、多くの中小企業が経営課題として捉えています。(出所:中小企業庁 「2024年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要」)
こうした経営環境の変化に対応するため、中小企業は持続可能な成長戦略を策定し、新たな事業領域への展開や業務効率化を進める必要があります。しかし、そのためには一定の資金が必要となり、資金調達の手段として補助金の活用が不可欠になっています。
②そのために、中小企業向けの補助金が整備されている
こうした課題に対応するため、政府や自治体は中小企業向けの補助金制度を拡充し、成長を支援しています。
補助金は単なる資金援助ではなく、企業が直面する課題を解決し、持続的な成長を実現するための重要な政策ツールとして設計されています。
各課題に対応する補助金とその概要・直近の公募状況は以下の通りです。
課題 | 補助金 | 概要 | 今後の予定 | 解説記事 |
人手不足の解消 | 省力化投資補助金 | デジタルツールの導入や自動化設備の導入を支援し、業務効率化を実現。 | 3月中旬 申請受付開始予定 |
https://hksllc.co.jp/2024/10/20/shoryokuka-3/ |
事業承継の促進 | 事業承継・引継ぎ補助金 | 後継者の育成、M&A支援、経営権の円滑な移行を支援。 | 開始時期未定 | https://hksllc.co.jp/2024/01/15/shoukei-3/ |
デジタル化の推進 | IT導入補助金 | 企業のデジタル化を促し、業務効率向上と競争力の強化を図る。 | 3月31日 受付開始予定 |
https://hksllc.co.jp/2025/02/02/it2025/ |
コスト増加への対応 | ものづくり補助金・省エネ補助金など | 最新設備の導入による生産性向上やエネルギーコスト削減を支援。 | 4月11日 申請開始予定 |
https://hksllc.co.jp/2025/01/26/monohojyo2025/ |
経営再構築 | 事業再構築補助金 | 新たな市場や事業モデルへの転換をサポートし、売上回復を図る。 | 3月26日 応募締切 |
https://hksllc.co.jp/2024/06/02/saikouchiku12/ |
これらの補助金を活用することで、中小企業は成長機会を広げ、持続可能なビジネスモデルを構築することができます。
2. 補助金による事業化/財務成長への影響
補助金の活用によって、実際に中小企業は、経営課題の解決や、事業成長を実現できているのかについて、中小企業庁の事業再構築補助金の効果検証分析結果を用いながら、解説します。
(出所:中小企業庁「中小企業等事業再構築促進事業」に係る効果検証(初期的分析))
① 事業化の進捗
調査によると、補助金を受けた企業の56%が事業化段階3以上(新規製品またはサービスの販売が開始)に到達し、具体的な製品やサービスの提供を開始しています。
また、13%の企業が収益化に成功し、継続的な販売と利益創出を確立しました。
この結果は、補助金が単なる資金援助ではなく、新規事業の立ち上げにおける重要な推進力であることを示しています。
特に、製造業やサービス業においては、補助金を活用することで、開発プロセスの短縮や市場投入の成功確率を高めることができます。
② 財務成長への影響
財務成長の観点からも、補助金の影響は顕著です。
補助金を受けた企業の財務指標の年率平均成長率は、以下のように高い水準を示しています。
- 付加価値額の年率平均成長率:16.8%(不採択企業 12.3%)
- 売上高の年率平均成長率:14.7%(不採択企業 10.2%)
- 営業利益の年率平均成長率:9.3%(不採択企業 -10.0%)
これらの指標は、補助金を活用することで、企業の収益基盤が強化されることを示しています。
特に、補助金を活用した企業では、生産性向上や新規事業の収益化が進み、業績向上に直結している点が注目されます。
③ 分析結果を踏まえた、自社での補助金活用における注意点
これらの分析結果は、補助金活用による効果を示すものです。
しかし、自社での補助金活用にあたっては、下記のような観点を留意することが必要です。
- 業種による影響の違い:製造業では設備投資による生産性向上が直接業績に結びつきやすい一方、飲食業やサービス業では、消費者需要や競争環境の変化に左右されやすい。
- 補助金依存のリスク:一時的な財務改善にとどまらず、補助金後の事業継続性を確保することが重要。
- データの制約:自己申告バイアスや報告データの不均衡を考慮し、補助金の影響を過大評価しないようにする。
このように、補助金は事業化のスピードを加速し、財務基盤の強化に寄与するものの、業種や企業ごとの適用状況を見極めることが必要です。
適切な活用戦略を持つことで、補助金のメリットを最大限に引き出すことができるでしょう。
3. 補助金を活用して、成長するためのポイント
上記のように補助金を活用し、事業成長を実現するためには、補助金活用において、適切な戦略と事業管理が求められます。
以下の3つのポイントを押さえることで、事業成長を実現しやすいと考えます。
目的の明確化と戦略的活用
補助金は、単なる資金調達手段ではなく、企業の成長を加速させるための戦略的なツールです。
補助金の目的を明確にし、どの事業にどのように活用するのかを明確にすることが成功の鍵となります。
補助金活用の目的例:
- 新規事業の創出:市場調査を行い、競争力のある事業計画を策定する。
- 設備投資の最適化:生産性向上につながる最新設備の導入を検討する。
- デジタル化の推進:IT導入補助金を活用し、業務の自動化を進める。
実現可能な事業計画の策定
補助金の申請には、具体的かつ実現可能な事業計画が求められます。
市場分析、競争戦略、資金計画などを精査し、持続可能な成長を見据えた計画を立てることが重要です。
事業計画の観点:
- 売上目標の設定:売上・利益・顧客数などのKPIを具体的に定める。
- 市場分析の実施:競争環境やターゲット市場を調査し、戦略を策定する。
- 収益モデルの構築:補助金終了後も継続可能なビジネスモデルを確立する。
成果の最大化を図る管理手法
補助金を活用した事業の進捗を適切に管理し、成果を最大化するための体制を整えることが求められます。
事業管理の方法例:
- KPIの定期的なモニタリング:売上、利益、コストの推移を定期的に分析する。
- 補助金報告義務の遵守:事業の進捗を適正に管理し、報告義務を果たす。
- 柔軟な事業戦略の見直し:計画と実績を比較し、必要に応じて軌道修正を行う。
補助金を活用することで、企業は持続的な成長を実現できる可能性が高まります。
適切な管理を行い、最大限の成果を引き出しましょう。
さいごに
今回は「数字で見る補助金の効果」についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
補助金は、企業が持続的な成長を遂げるための有力な手法ですが、活用の仕方によって成果が大きく異なります。
適切な戦略をもって補助金を活用することで、中小企業の成長速度を加速させることが可能となります。
HKSでは、あらゆる補助金活用に向けた採択支援から、採択後の事業フォローまで、専門家が対応いたします。
補助金活用により、さらなる事業成長に向けたご相談はぜひ、HKSまでご相談ください。
今回は以上となります。最後までお読みいただきありがとうございました。

HKSパートナー、中小企業診断士。