HKSブログ

事業再構築補助金の第3回公募が始まりました

事業再構築補助金の第3回公募が始まりました。公募期間は7月30日18:00から9月21日18:00までとなっています。申請受付は8月下旬からです。今回の変更点についてまとめました。

事業再構築補助金HPはこちら:https://jigyou-saikouchiku.go.jp

一部事業者様に関して上限の引き下げがあるものの、最低賃金引き上げ決定への支援拡充、売上高減少要件や新たに取り組む事業(製品等/市場/製造方法等)の新規性の各要件の緩和など、全般的に支援範囲が広まっています。特に売上高減少要件や新たに取り組む事業の新規性要件の制約で、応募を諦めざるを得なかった事業者様は、あらためて応募を検討されてみてはいかがでしょうか?

 

第3回公募スケジュールと変更点

公募開始 7月30日 18:00
申請受付 8月下旬より
申請締切 9月21日 18:00
採択発表予定 11月中旬~下旬頃

第2回からの主な変更点は下記の4点です。

  1. 通常枠の補助上限の区分見直し
  2. 最低賃金枠大規模賃金引上げ枠の創設
  3. 売上高減少要件の運用見直し
  4. 新たに取り組む事業(製品等/市場/製造方法等)の新規性要件の見直し

【変更点1】通常枠の補助上限の区分見直し

通常枠の補助金額の上限は、第2回までは、中小企業者等、中堅企業等の2区分でしたが、第3回では従業員数に応じた3区分に変更となっています。従業員が20人以下の事業者様の場合、上限が4000万円と低くなりました。

第3回の補助金額(通常枠)

区分 補助金額(通常枠)
従業員数20人以下 100万円~4,000万円
従業員数21~50人 100万円~6,000万円
従業員数51人以上 100万円~8,000万円

(※参考:第2回までの上限金額 中小企業者等 6,000万円、中堅企業等 8,000万円)

補助率区分は第2回と同じで、中小企業者・中堅企業の2区分です。一定金額を超えると補助率が小さくなります。

区分 補助率
中小企業者等 2/3 (6,000万円超は1/2)
中堅企業等 1/2 (4,000万円超は1/3)

【変更点2】大規模賃金引上げ枠・最低賃金枠の創設

第2回までは、「通常枠」、「卒業枠」、「グローバルV字回復枠」、「緊急事態宣言特別枠」の4つの事業類型がありました。第3回では、これらに加え「大規模賃金引上枠」、「最低賃金枠」の2事業類型が創設されました。

この2類型は、最低賃金の引上げに向け、賃上げの前提となる生産性向上を図るための支援策として設けられたものです。7月14日に、中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会が、2021年度の最低賃金を全国平均28円目安で引き上げを決めたことを受けたものと考えらえれます。

また、「卒業枠」、「グローバルV字回復枠」、「緊急事態宣言特別枠」、「大規模賃金引上枠」、「最低賃金枠」は全て、本枠で不採択の場合、通常枠で再審査されます。

(1)大規模賃金引上げ枠

多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる中小企業等の事業再構築を支援するものです。従業員数101人以上の企業が対象で、すべての公募回の合計で150社限定です。

中小企業者等、中堅企業等ともに同じ補助金額です。

区分 補助金額(大規模賃金引上げ枠)
従業員数101人以上 8,000万円超~1億円

補助率は通常枠と同じです。

区分 補助率
中小企業者等 2/3 (6,000万円超は1/2)
中堅企業等 1/2 (4,000万円超は1/3)

継続的な賃金引上げと多くの従業員雇用に対する支援のため、通常枠に下記の2要件が追加されています。(通常枠の要件はこちらを確認ください)

賃金引上要件 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること
従業員増員要件 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%以上)増員させること

(2)最低賃金枠

最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等が取り組む事業再構築に対する支援です。

補助金額(最低賃金枠)

区分 補助金額(最低賃金枠)
従業員数5人以下 100万円~500万円
従業員数6~20人 100万円~1,000万円
従業員数21人以上 100万円~1,500万円

補助率は通常枠より高くなっています。

区分 補助率
中小企業者等 3/4
中堅企業等 2/3

最低賃金底上げの原資確保に対する支援のため、通常枠に下記の2要件が追加されています。(通常枠の要件はこちらを確認ください)

最賃売上高等減少要件 以下の(ア)又は(イ)のいずれかの要件を満たすこと
(ア)2020年4月以降のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で30%以上減少していること
(イ)(ア)を満たさない場合には、2020年4月以降のいずれかの月の付加価値額(※)が対前年又は前々年の同月比で45%以上減少していること
最低賃金要件 2020年10月から2021年6月までの間で、3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員全従業員数の10%以上いること。

※付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものです

【変更点3】売上高減少要件の運用見直し

売上高減少要件が2つの点で緩和されました。

  1. 売上高 10 %減少要件の対象期間拡大(2020年4月以降に拡大
  2. 付加価値額の減少だけでも売上高減少要件を満たす

公募要領に記載されている具体的内容は下記です。

第2回まで 2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
第3回 2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少しており、2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して5%以上減少していること
(※)売上高に代えて付加価値額を用いることも可能です

以下、変更点を説明します。

(1)売上高 10 %減少要件の対象期間拡大

売上高減少の対象となる期間が2020年10月以降から、2020年4月以降に半年拡大されました。ただし、2020年4月~9月を対象とする場合、2020年10月以降の売上も5%減少していることが要件となっています。

(2)付加価値額の減少だけでも売上高減少要件を満たす

売上高は増加しているものの利益が圧迫され、業況が厳しい事業者を対象とするため、付加価値額の減少でも要件を満たすこととなりました。付加価値額の場合、売上高より求められる減少率が高い点(15%以上に注意ください。

  • 2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計付加価値額が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計付加価値額と比較して15%以上減少しており、2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計付加価値額が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計付加価値額と比較して7.5%以上減少していること
  • 付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものです。

【変更点4】新たに取り組む事業(製品等/市場/製造方法等)の新規性要件の見直し

事業再構築指針の手引きにある、新たに取り組む事業(製品等/市場/製造方法等)の「新規性」の判定条件が緩和されています。

第2回までの新規性要件は、事業再構築に取り組む事業者にとって新規性のある事業という意味で「 過去に製造等した実績がない」と記載がありました。

第3回では、2020年4月以降に新たに取り組んでいる事業について、「新規性」を有するものとみなします。」との注意書きが加わっています。また、補助金事務局資料「第3回公募からの主な変更点」にも

  • 本補助金を活用し、新たに取り組む事業の「新規性」の判定において、「 過去に製造等した実績がない」を「 コロナ前に製造等した実績がない 」に改める。

とあり、新規性の定義がより明確になりました。

言い換えると、新たに取り組む事業の開始時期について、2020年4月までの遡及が可能になっており、コロナ後(2020年4月以降)に既に開始している新規事業(製品等/市場/製造方法等)も対象になるということです。コロナ禍で事業転換にいち早く着手した事業者様への大きな支援策と言えます。

 

関連記事

コメントは利用できません。