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事業再構築補助金:分かりにくい&要注意!「抵当権」のポイント解説

第4回 事業再構築補助金の申請受付開始

10月28日から12月21までが公募期間である「第4回 事業再構築補助金」ですが、11月17日18時より「公募申請の受付」が開始されました。

※画像をクリックすると公募ポータル画面に移動します。

 

いよいよ第4回となる 事業再構築補助金の受付開始です!公募期間は12月21日まで。

今回応募をご検討の事業者様も多いのではないでしょうか。そんな皆様にぜひ読んでいただきたい記事があります。

 

関連記事① 事業再構築補助金:採択された7つの事例に学ぶ(8月24日)

関連記事② 速報:事業再構築補助金 第4回公募開始!(10月29日)

 

関連記事①は、第1回公募の採択事例を国が公開しており、それを元に「事業再構築補助金で採択されるためのポイント」を紐解こうとチャレンジした当サイトの人気記事です。初挑戦の方、これまで採択されたことがない事業者様にとって何か役立つヒントが見つかるかもしれないので、よければ一度ご覧下さい。

 

関連記事②は、第4回公募に特化した特集記事となっており、「前回までと今回の変更点」や「公募に向けてまず着手すべきこと」がまとめられています。

特に「今回の変更点」がまとめられた一覧表はどれも大事なことばかり。様式不備などで不採択とならないよう、ぜひご確認下さい。

さて今回は、この中でも特に分かりにくい「抵当権」について解説したいと思います。

 

☆関連記事(こちらもオススメです)

事業再構築補助金☆「認定支援機関」の選び方(7月29日)

事業再構築補助金 よくある申請時の不備事例紹介(8月13日)

 

事業再構築補助金で気にすべき「抵当権」とは?

第4回の公募要項から追加された内容として「建物と土地の抵当権に関する留意点」があります。今回はこの「抵当権設定」について紐解くことで事業者様のお役に立てればと思います。

 

そもそもの話ですが、事業再構築補助金の最大の売りは「建物の新築も補助対象経費に含まれること」です。

建物費(特に新築)は金額が大きくなる場合はほとんどですので、他の補助金ではほとんどの場合、対象外となります。この、建物の建設・改修・撤去費用が補助対象になるという発表は、国の再構築補助金事業に対する本気度と期待を伺わせるものでした。

 

そして、この建物費を計上する場合に気を付けなければいけないのが「抵当権」と「根抵当権」ということになります。

まず、公募要項の記載内容を見てみたいと思います。

 

(2)補助対象経費全般にわたる留意事項の⑦⑦ 補助事業により建設した施設等の財産に対し、抵当権などの担保権を設定する場合は、設定前に、事前に事務局の承認を受けることが必要です。補助事業遂行のための必要な資金調達をする場合に限り、担保権実行時に国庫納付をすることを条件に認められます。なお、補助事業により整備した施設等の財産に対して根抵当権の設定を行うことは認められません。
また、根抵当権が設定されている土地に建物を新築する場合は、根抵当権設定契約において、建設した施設等の財産に対する追加担保差入条項が定められていないことについての確認書を交付申請時に提出する必要があります。(27ページ)

 

「抵当権」や「根抵当権」など、似ているものの明らかに同じ意味と捉えてはいけなそうな、解釈を間違うと不採択となりかねない感じの文言が並んでいます。

 

お忙しい事業者様にとって少しでも分かりやすくなるように、上記の記述を図解してみました。

 

 

抵当権設定前に承認を得るために中小機構に提出する承認申請書(様式11)は次のような書式です。

 

■担保権設定承認申請書

 

そもそも「抵当権」とは、身近な例としては、例えば住宅ローンなどでお金を借りる際に購入する土地や建物に対して金融機関が設定します。抵当権を設定することにより、金融機関は返済が滞った場合に土地や建物を差し押さえて競売するなどで資金を回収しようとするためです。

事業者様は、補助金以外の資金を自己資金かいずれかの手段により調達する必要があります。補助率2/3の場合は1/3を、1/2の場合は残りの1/2を用意しなければ、補助金だけでは事業を行えません。

その調達に際して、または既に保有する土地に建物を建設する場合はその土地についても、上記の担保権に関する注意点に気を付けていただく必要があります。

ところで、「”根”抵当権」とは何でしょうか。

 

事業再構築補助金で気にすべき「根抵当権」とは?

抵当権は通常、債権(金融機関等にとっては貸付)とともに、返済によって減り、完済すると消滅します。

これに対し、根抵当権は「根抵当権の金額枠」を設けてその枠内であれば何度も借入できる点と、都度の返済では根抵当権が消滅しない点が異なります。

こちらも図解してみました。

 

 

抵当権は、設定時に登記費用がかかります。個人が住宅や土地を購入する際はそれらに対して抵当権を頻繁に設定することはないので根抵当権を選択しません。

一方で、企業の場合は建物や土地を担保に何度も借入を行うことが考えられ、その場合、毎回設定時に登記費用がかかってしまいます。

そういった理由で、あらかじめ設けた限度額内であれば何度でも借入できる「根抵当権」を選択することがあります。

 

この記事をお読みいただいている事業者様は、保有されている土地に、根抵当権を設定されていますか?

 

根抵当権が設定されている土地に建物を新築する場合

この「根抵当権」に関して、第3回と今回の第4回公募要領で記載されている内容の変更点があります。第4回公募要領では、次の赤文字の部分が加筆されました。

 

(2)補助対象経費全般にわたる留意事項の⑦⑦ 補助事業により建設した施設等の財産に対し、抵当権などの担保権を設定する場合は、設定前に、事前に事務局の承認を受けることが必要です。補助事業遂行のための必要な資金調達をする場合に限り、担保権実行時に国庫納付をすることを条件に認められます。なお、補助事業により整備した施設等の財産に対して根抵当権の設定を行うことは認められません。
また、根抵当権が設定されている土地に建物を新築する場合は、根抵当権設定契約において、建設した施設等の財産に対する追加担保差入条項が定められていないことについての確認書を交付申請時に提出する必要があります。(27ページ)

 

 

根抵当権が設定されている土地に建物を新築する場合、建物に「根抵当権が及ぶか、及ばないか」がポイントになります。

建物の建築予定地に根抵当権が設定され、「追加担保差入条項」が設定されている場合には、補助事業によって新築・改修等を行う建物に対しても新たに根抵当権が設定されることとなってしまいます。これが、補助事業として遵守すべき事項に違反が生じると判断されてしまうことになります。

事業再構築補助金では、補助事業により新築・改修する建物に対して「根抵当権」の設定を行うことが認られないからです。

 

では、どうすればよいのか。

 

この件に関しては、第1回・第2回公募の採択者に対して事業再構築補助金の事務局からのアナウンスがありました。

 

上記のポータルサイトからのリンク先がこちらです。

【第 1 回・2 回採択事業者における建物費を計上される場合の宣誓・同意書の提出について】

 

この文書には、「補助事業の遂行にあたっては、権利者である金融機関等より建物部分に係る根抵当権を設定する義務の免除についての同意を得ていただく必要があります。」と書かれています。

一応、これが「どうすればよいのか」の答えとされています。

 

事業再構築補助金事務局のポータル画面からのリンク先に、宣誓・同意書の見本(チェックリスト)が掲載されています。

 


 

新築する場合の建物の建設予定地と、改修する場合の建物は、どちらも第三者が保有するものであれば問題ないことが分かります。

 

第1回・第2回採択事業者様であっても、建設費を計上しない場合は対応は不要です。

 

根抵当権の解除に関する実際のところ

先述の通り、事務局の文書には「補助事業の遂行にあたっては、権利者である金融機関等より建物部分に係る根抵当権を設定する義務の免除についての同意を得ていただく必要があります。」と書かれているものの、実際はどうなのでしょうか。

 

「根抵当権」の借りる側にとってのメリットは毎回設定時の登記費用や煩雑な手続きを回避できることですが、当然ながら金融機関もメリットがあって行っています。

根抵当権を設定した場合、その事業者は他の金融機関から融資を受けられなかったり、金融機関側にとっては根抵当権の限度額内で継続的に繰り返し融資を行うことができたりと、根抵当権により囲い込むことができます。

そのため解約には消極的な姿勢を示す場合がほとんどであるはずです。

 

実際に事業者様が全ての返済を完了しており「事業再構築補助金を得るために根抵当権の解除に応じてほしい」と願い出ても、金融機関としては「そう簡単に応じられない」というのが実態ではないかと思われます。

金融機関によっては、担保権を解除すると保全率が下がり既存金利を上げる必要が生じるなどの理由から「補助金ではなく融資での対応」を要請されたり、代わりの担保を普通抵当権で求められるなど、根抵当権を外すだけではない対応を求められる可能性もあるでしょう。

 

もちろん、金融機関との関係性次第でケースバイケースの判断もあるかと思います。

根抵当権の解除に関しては、板挟みとなる金融機関側の事情にも配慮しつつ、できる限り丁寧な説明を行い理解を得て頂けたらと思います。

 

おわりに

今回は「抵当権」と「根抵当権」の違いについて解説しました。

実際に、審査の結果せっかく採択されたのに、いざ交付申請する段階になってバタバタしてしまうことがあります。

もし補助対象経費に建物費を考えている場合には、「土地や建物に付いている担保権の種類」「金融機関の融資契約に記載されている追加担保差し入れ条項の有無」をまず確認し、もし心配があるようでしたら補助金申請前から金融機関に相談することをオススメします。

 

この記事によって、様式不備や解釈の勘違いによる不採択の事例が1件でも減ることを願います。

 

抵当権に限らず、事業再構築補助金に関するお問い合わせやご相談は、補助金活用支援会/HKSまでご連絡下さい。

 

 

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