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同時に複数の補助金を併用できるのか?
ものづくり補助金、事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金など、補助金には様々な種類が存在します。また、それらとは別に、助成金等の名称で都道府県から支払われる制度も存在します。
複数の制度を活用できれば、事業の資金繰りを大きく改善することができます。複数の補助金を併用することは可能なのでしょうか。
補助金の併用は可能なのか
結論から申し上げます。補助金の併用は、一定の条件を満たせば可能です。
制度併用の可否は、各補助金・助成金の公募要領や補助金のホームページ(多くの場合、「よくある質問」の中)に明記されます。例えば、代表的な補助金制度のホームページには、下記の記載があります。
■事業再構築補助金 よくあるご質問
4 ものづくり補助金などの他の補助事業との併用は可能か。
内容が異なる別の事業であれば、同じ事業者が異なる補助金を受けることは可能です。ただし、同一事業で複数の国の補助金を受けることはできません。
10 持続化給付金・事業復活支援金の給付を受けているが、事業再構築補助金に申請することはできるか。
可能です。同一事業で複数の国の補助金を受けることはできませんが、持続化給付金や復活支援金等の給付金は事業継続を支援することを目的とした使途に制約のない資金であって、補助金ではありませんので、併用されることに制限はありません。
■小規模事業者持続化補助金 よくあるご質問
Q2-7 他の補助金との併用はできますか?
A2-7 同一事業者が同一内容で、本制度と本制度以外の国(国以外の機関が、国から受けた補助金等により実施する場合を含む)の補助事業との併用はできません。
■IT導入補助金 よくあるご質問
19 国の他の助成金・補助金との併用が可能ですか。
国の他の助成金・補助金との併用は不可です。ただし、補助対象となる事業内容(サービス・ソフトウェア、経費等)が重複しない場合は申請が可能です。
表現は違えど、いずれもほぼ同じ内容であり、一定条件下での併用を容認しています。一見、併用を禁止しているように見える文言にも注釈が付いており、条件によっては併用できる趣旨となっていることにお気付きいただけるでしょうか。
注目するべきは、繰り返し出てくる「同一事業(内容)」という下線箇所です。同一の事業とは同一目的とほぼ同義で、例えば、特定の生産設備1台を購入するのに2つの補助金を受け取ることはできないということです。「同一の事業内容に対して補助金や助成金の併用は不可」、これは補助金・助成金の原則的なルールです。
このルールは同時に、異なる事業内容や設備であれば、補助金や助成金の併用は可能なケースがある、ということを意味しています。
併用できるケース、できないケース
では、どのようなケースで併用可能か、代表的な補助金制度で考えてみましょう。例えば、典型的なケースとして、以下のような場合が考えられます。
① ものづくり補助金で工場の生産設備を新規導入
② IT導入補助金で会計ソフトウェアを導入
③ 小規模事業者持続化補助金でホームページ制作や展示会出展
上記①~③は明確に補助対象が異なるため、併用可能と考えられます。うまく利用すれば、新規事業に係る一連のコストを幅広くカバーすることができ、相応の資金負担を軽減できます。
逆に、事業再構築補助金で補助対象とした生産設備を、ものづくり補助金でも補助対象とし、2つの制度で金銭の交付を受けるケースは、同一事業のため認められません。
上記に挙げた代表的な補助金の他にも、都道府県や地方自治体が実施する補助金・助成金の中には、併用可能なものがあるかもしれません。制度設計は様々なので、併用を検討の際は、公募要領やホームページをよく確認する必要があります。
同一事業でも「申請」は可能
同一事業に対して2つの補助金を受け取ることはできないという大原則を見てきました。
一方で、同一事業に対して、複数の補助金に「申請」することは可能とされています。補助金を受け取れるかどうかは、事務局の審査を経て、採択・不採択が決定されて初めて明らかになります。場合によっては、複数申請しても、すべて不採択となり、補助金を受け取れない可能性もあります。そのため、複数の補助金に「申請」すること自体は認められています。
もし、複数の採択を得た場合は、受領する補助金を1つに定めるため、他の補助金を辞退する必要があります。あくまで、同一事業に対して、複数の補助金を「受領」することは禁止されている点に、十分注意する必要があります。
補助金の補助率は3分の2など、拠出費用の半額以上を補填するものが少なくないため、同一事業に対して2種類の制度を活用した場合、元の価格以上の補助金を手に入れられるケースが出てきます。過剰でいびつな支援を避けるため、同一事業に対して複数の制度を併用し、補助金を「受領」することは禁止されていることを理解しておきましょう。
まとめ
補助金の併用について解説してきました。
原則として、同一の生産設備など、補助対象が同じである場合は、併用は不可です。異なる事業であれば、代表的な補助金の併用は可能です。都道府県の助成金などは、制度ごとに規定が異なるため、ホームページや公募要領をよく確認する必要があります。
どういった場合にどの種類の補助金なら併用できるかなど、判断が難しい場合は専門家にご相談ください。専門家が、補助金活用を通じて事業者様の資金繰りを支援させていただきます。
補助金活用の専門家であるHKSは、「日本全国に高品質かつ適正価格で適切に支援する補助金活用コンサルティングサービスをお届けする」を理念に、中小事業者の有効な資金繰り施策である補助金活用を支援しています。一人でも多くの経営者の方に、適切な補助金活用方法を知っていただき、経営革新につなげて欲しいという想いを持って活動しています。
今回の記事が、事業者様が補助金の利用を検討するための一助となれば幸いです。
補助金活用支援会(HKS)パートナー、中小企業診断士
中小事業者様の素朴な疑問に応える、分かりやすい記事作成を心がけています。