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ものづくり補助金のデジタル枠とは?応募時の注意点や加点項目について解説!
中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものづくり補助金は、第14次公募においては以下の5枠が存在します。
- 通常枠
- 回復型賃上げ・雇用拡大枠
- デジタル枠
- グリーン枠
- グローバル市場開拓枠
今回の記事では応募要件や加点項目が特殊な、デジタル枠に焦点を当てて解説します。
※ものづくり補助金の全体概要については、以下のHKSの記事にまとめています。こちらもぜひご覧ください。
【参考リンク】
今回お伝えしたいポイント1. ものづくり補助金のデジタル枠とはどんな特別枠なのか?
2.どんな場合に応募できるのか?
3.応募する際の注意点は何か?
ものづくり補助金デジタル枠とは
デジタル枠は2022年3月に公開された、ものづくり補助金第10次公募から新設された特別枠です。2023年3月現在で募集されている14次公募(2023年4月19日締切)における通常枠との比較は以下の表のとおりです。
(出所:ものづくり補助事業公式ホームページ 公募要領より加工 ※画像はクリックで拡大できます。)
通常枠のものづくり補助金の対象となるような設備やシステム投資の中で、さらにDXに資する投資であれば補助率が上がる点が、デジタル枠の特徴です。
ただしデジタル枠での応募にあたっては、クリアすべき要件が通常枠より多く存在します。まずは通常枠同様に以下の基本要件を満たす必要があります。
基本要件
<以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画を策定する>
- 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加。(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年 率平均1%以上増加)
- 事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とする。
- 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加。
(出所:ものづくり補助事業公式ホームページ 公募要領より加工)
通常枠の基本要件に追加してデジタル枠へ応募するためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
デジタル枠申し込みにあたっての追加要件
- 次の①又は②に該当する事業であること。
①DXに資する革新的な製品・サービスの開発
②デジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善 - 経済産業省が公開するDX推進指標を活用して、DX推進に向けた現状や課題に対する認 識を共有する等の自己診断を実施するとともに、自己診断結果を応募締切日までに独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に対して提出していること。
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の 「★ 一つ星」または「★★ 二つ星」いずれかの宣言を行っていること。
(出所:ものづくり補助事業公式ホームページ 公募要領より加工)
加点項目について
ものづくり補助金においては加点項目が存在し、採択される可能性を上げるためにもぜひ取得しておきたいところです。
ものづくり補助金の加点項目については以前にこちらのHKSブログで紹介しています。ぜひご覧ください。
ものづくり補助金のデジタル枠においては、通常枠などとは別で以下のような独自の加点項目が存在します。もし対応可能な加点項目があれば、積極的に取りにいきましょう。
デジタル枠のみの加点項目(デジタル技術の活用及びDX推進の取組状況)
A.経営の方向性及びデジタル技術等の活用の方向性の決定している。
- デジタル技術が社会や自社の競争環境にどのような影響を及ぼすかについて認識、その内容について公表している。
※ホームページの URL と掲載場所等を記載する必要があります。 - 上記1.を踏まえた経営ビジョンやビジネスモデルを策定・公表している。
※ホームページの URL と掲載場所等を記載する必要があります。
B.上記A.の経営ビジョンやビジネスモデルを実現するための戦略を公表している。
※ホームページの URL と掲載場所等を記載する必要があります。
C.上記B.の戦略を推進するための体制・組織(CIO(最高情報責任者)の配置、担当部門の配置等)を示し、公表している。
※ホームページの URL と掲載場所等を記載する必要があります。
D.「DX推進指標」自己診断フォーマットの定量指標における「人材欄」(688~ 690 行目/Ver.2.3 以降の場合はシート「ITシステム構築の取組状況(定量指標)」の11~13 行目)を全て記載している。
E.申請時点において、「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を利用している。
(出所:ものづくり補助事業公式ホームページ 公募要領より加工)
上記の加点項目は、経済産業省が推し進めるDX認定制度における認定基準(デジタルガバナンス・コード)と近しい形で設定されています。経済産業省DX認定制度のページもぜひ考え方や方向性を理解するための参考としてご覧ください。
ものづくり補助金デジタル枠の活用事例
ものづくり補助金のデジタル枠については、以下のような想定活用事例が中小企業庁から公表されています。
【想定活用事例】
飲食・小売店と食品製造工場を所有する企業において、以下のような場合が紹介されています。
- 店舗に需要予測システムを導入することで、販売機会損失と廃棄量を削減を目指しています。
- また新製品開発とあわせて、工場の製造ラインにAIを活用した不良品検知のシステムを導入し、生産性と付加価値の向上を目指しています。
上記のような場合、AIを活用した不良検知システム構築にかかる費用や、需要予測システム関連のクラウドサービス利用費、新商品開発用の機械装置費などを補助対象経費となります。
(出所:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 令和3年度補正予算の概要 )
またものづくり補助金のデジタル枠の事例ではありませんが、以下リンクの経済産業省の資料では、中小企業や中堅企業が行ってきたDXの事例や中堅・中小企業におけるDXの進め方が紹介されています。今後の自社のDX施策を考える上で参考になりますので、一読してみることをお勧めします。
中堅・中小企業等向け「デジタルガバナンス・コード」実践の手引き(要約版)
14次公募からの注意点
13次公募までのものづくり補助金では、デジタル枠で申請して採択されなかった場合、通常枠で再審査されていました。しかし第14次公募より、デジタル枠で不採択の場合に通常枠で再審査されることがなくなりました。
さいごに
今回は「ものづくり補助金デジタル枠」についてご紹介しました。
DXに関連する投資を行う際には、ぜひ一度本補助金の利用を検討してみてはいかがでしょうか?
HKSではものづくり補助金において、多くの支援実績がございますので、申請を検討している方はぜひ一度ご相談ください。
今回は以上となります。最後までお読みいただきありがとうございました。
補助金活用支援会(HKS)パートナー、中小企業診断士