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事業再構築補助金の加点項目 地域未来牽引企業、地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画の概要について説明します。
今回は、「地域未来牽引企業」、「地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画」の概要についてご紹介します。
今回お伝えしたいポイント1. 地域未来牽引企業とは何か?
2.地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画とは何か?
3.雇用の創出や地域の経済成長を牽引する事業の要件はどんなものか?
地域の経済成長を牽引する事業とは、どんな事業?
事業再構築補助金【サプライチェーン強靱化枠を除く】公募要領(第10回)の表1:審査項目(4)政策点では、
と記載されているところがあります。
この「雇用の創出や地域の経済成長を牽引する事業」とは、どんな事業でしょうか?
また、牽引する事業となることが期待できるか否か、その判断基準はどんなものなのでしょうか?
公募要領では、続いて、
と記載されています。
どうやら、「雇用の創出や地域の経済成長を牽引する事業」については、「地域未来牽引企業」や「地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画」の内容にヒントがありそうです。
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地域未来牽引企業制度とは?
「地域未来牽引企業」とは、経済産業大臣により選出された、地域経済の中心的な担い手となりうる事業者のことです。これまで、2017年~2020年度で、4,743社が選定されています(経済産業省HP 地域未来牽引企業 選定一覧では、4,730社の事業者の詳細を確認することができます)。
選定の方法
地域未来牽引企業の選定方法には、「データ」と「推薦」の2方式により、外部有識者委員会の検討も踏まえて選定されています。
・データ部門
民間調査会社が保有する、企業の経営情報等に関するデータベースを活用して企業の順 位付けを行い、各都道府県で上位に位置する企業を選定。
【データ部門選定の評価項目】
① 売上高
② 営業利益
③ 従業員数
④ 当該事業者が所在する都道府県外での販売額
⑤ 当該事業者が所在する都道府県外での仕入額
等
・推薦部門
地方公共団体等の関係機関から推薦された企業を、有識者による評価に基づき選定。
【推薦部門選定の評価項目】
選定のメリット
「地域未来牽引企業」に選定されるメリットとして、次の3点が挙げられます。
(1) 企業のブランド価値向上が期待できる
認定企業は経済産業省のウェブサイトで公表されるため、知名度が向上します。
知名度の向上により、学生採用や取引につながった事例もあります。
(2)重点支援策が受けられる
経済産業省の補助金等を中心に、審査時の地域未来牽引企業優遇措置が図られます。
(3)課題解決のための相談や情報を受けることができる
地域未来コンシェルジュが、企業相談や各種情報提供を一元的に対応します。
地域未来牽引企業に求められること
地域未来牽引企業は、中心的な担い手となって地域経済を牽引していくことが期待されているため、地域での役割と、地域経済を牽引する機能 (4類型、複数選択も可)に応じた目標を設定し、その実現に向け事業活動に取り組むことが求められています。また、経済産業省は、その取り組みを重点的に支援することで、地域経済の活性化を実現していくとしています。2020年度から、目標達成に向けた取り組みに対し、重点支援を行った後、2024年度に、各者の意向も踏まえつつ、更新を判断するスケジュールで進められています。
地域未来牽引企業の機能 (4類型、複数選択も可)に応じた役割と目標例
(出所:経済産業省「地域未来牽引企業ハンドブック」)
地域未来牽引企業の取り組み例
経済産業省の広報サイト「METI Journal」上で、キーワード「地域未来牽引企業」と入力して検索すれば、選定企業の取り組みを見ることが可能です。
地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画とは?
続いて、地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画の概要についてご説明します。
地域未来投資促進法の制度
「地域未来投資促進法」(正式名称:地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律)は、地域の特性を活かして、高い付加価値を創出し、地域の事業者に対する相当の経済的効果を及ぼす「地域経済牽引事業」を促進することを目的とする法律です。
①国が策定する基本方針に基づき、市町村・都道府県が連携して「基本計画」を作成し、主務大臣の同意を受けるものです。
②事業者は、工場等の新設・増設や設備投資を行う場合、「基本計画」に沿った「地域経済牽引事業計画」を策定の上、都道府県知事に申請し、承認されると、税の優遇、融資での支援、予算事業での優遇、規制の特例の4つの観点で支援措置を受けることができます。
③また、地域経済牽引事業の支援を行う「地域経済牽引支援機関」による「連携支援計画」を国が承認します。
事業者が地域経済牽引事業計画の承認を受けるためには
事業者が地域経済牽引事業計画の承認を受けるためには、市町村・都道府県が連携して作成した基本計画に沿って、以下の要件等を記載して申請する必要があります。
(1)地域の特性を活かすものであること
ものづくりや観光など、都道府県・市町村が「基本計画」で定める地域の特性及び活用戦略に合致する事業であること
(2)高い付加価値を創出するものであること
都道府県・市町村が「基本計画」で定める基準額以上の付加価値額を創出すること
(3)地域の事業者への経済的効果を有すること
売上げ・地域取引額・雇用者数・給与総額といった都道府県・市町村が「基本計画」で定める基準を満たすこと
地域未来投資促進法における地域経済牽引事業計画のガイドライン
各市町村・都道府県の「基本計画」は、経済産業省のサイトで確認することができます。
経済産業省:地域未来投資促進法 同意基本計画一覧(概要を含む)
各市町村・都道府県の「基本計画」をコンパクトに一頁でまとめた「基本計画の概要」も掲載されています。
「基本計画の概要」例(新潟県燕市における基本計画の概要)
(出所:経済産業省「地域未来投資促進法 同意基本計画一覧」)
おわりに
今回は、「地域未来牽引企業」と「地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画」の概要についてご紹介しました。
「地域未来牽引企業」でなくても、「地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画」の承認を受けていなくても、これらの要件に準じるものを備えていれば、「雇用の創出や地域の経済成長を牽引する事業」として評価されると考えられます。
事業再構築補助金やものづくり補助金を申請する際は、地域未来牽引企業の取り組み例や、地域未来投資促進法に基づく「基本計画の概要」を参考に、事業計画と産業政策や地域政策等との整合性を確認することをお薦めいたします。
また、HKSでは、事業再構築補助金やものづくり補助金をはじめ、様々な補助金の申請・活用方法を提案しサポートを行っております。ぜひご相談ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
補助金活用支援会(HKS)パートナー、中小企業診断士