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新社長の挑戦を後押し!事業承継・引継ぎ補助金「経営革新枠」 獲得への2ステップとは

4月1日より、「事業承継・引継ぎ補助金」の9次公募の申請受付が始まりました。
親から子へ、オーナーから社員へ、売り手から買い手へ。
事業承継を経て新社長となった皆さんは、新たな取組みに挑戦し、受け継いだ会社をこれからの時代を勝ち抜く企業にしたいのではないでしょうか?
そのような新社長の思いを後押しする補助金、それが「事業承継・引継ぎ補助金『経営革新枠』」です。
HKSブログでは、2024年1月に「事業承継・引継ぎ補助金」を取り上げ、それぞれ異なる種類の経費を補助対象とする3つの「枠」を紹介しました。

今回のブログでは、そのうち、引き継いだ経営資源を活用した「経営革新」に取り組みの活用できる「経営革新枠」にスポットを当てます。
そして、補助金獲得への2段階のステップを解説します。

今回お伝えしたいポイント1.  新社長のチャレンジを後押しするのが事業承継・引継ぎ補助金「経営革新枠」です。

2.9次公募が4月1日から始まりました。申請期間は4月末までです。

3.この補助金の獲得には、さまざまな要件や類型への適合が必要です。

4.この補助金の獲得には、審査の着眼点に示された事項に関し、申請書でしっかり回答することが必要です。

9次公募が始まりました!

事業承継・引継ぎ補助金は、中小企業庁が管理する国の補助金です。
4月1日に申請受付が始まった9次公募の概要を示したのが、次の図表です。

事業承継・引継ぎ補助金9次公募 公募要領ダウンロードページはコチラ

補助上限額・補助率・補助対象経費


(出典)中小企業庁「令和5年度補正予算 事業承継・引継ぎ補助⾦」チラシ

「経営革新枠」の補助の枠組みは、8次公募と同じです。
基本の補助上限額と補助率が、それぞれ600万円、1/2
経営革新に1,200万円の経費がかかるのであれば、国から上限600万円の補助があります。
一定の賃上げをした場合は補助上限額は800万円に引き上げられ、補助対象者が「小規模事業者」等に該当する場合は補助率が2/3にアップします。
補助対象の経費には、店舗等借入費、設備費、原材料費のほか、展示会出展費用等の広報費も含まれています。

事業承継・引継ぎ補助金の総合的な情報はコチラ

事前準備から事業終了までの流れとスケジュール

事業承継・引継ぎ補助金の「事前準備から事業終了までの流れ」と、9次公募の実施スケジュールは、下の2つの図表をご覧ください。

(出典)中小企業庁「令和5年度補正予算 事業承継・引継ぎ補助⾦」チラシ

公募申請期間は、4月1日から30日までです。
これから着手する取組みの資金として補助金活用を考えていた事業者さんは、申請の検討をお急ぎください。
交付決定の予定が6月上旬。交付決定を受けた事業者さんは、補助事業を11月22日までに完了させる必要があります
12月2日までに実績報告をすると、12月中旬以降、補助金の交付手続き(支払手続き)が行われます。
補助金の交付は、交付決定額を上限とする実績に基づく後払いであり、交付決定日前の発注に基づく経費は一部の例外を除いて対象外ですので、ご注意ください。
なお、2024年の事業承継・引継ぎ補助金の今後の公募予定は、回数・時期とも、公表されていません。

事事業承継・引継ぎ補助金の交付決定率

事業承継・引継ぎ補助金は、申請件数に対してどの位の割合で交付決定されているのでしょうか。
この補助金も、他の補助金と同様に審査があり、審査に合格した申請に対して交付決定がなされます。
以下の図表は、事業承継・引継ぎ補助金の各枠の申請件数、交付決定件数、交付決定率(交付決定件数÷申請件数×100)の推移です。

(出典)中小企業庁公表のデータより筆者が作成

図表からわかるのは、経営革新枠の交付決定率がほぼ60%で安定していることです。
審査においては、審査基準に照らして得点化し、上位60%の申請に対して交付決定していると考えられます。
国が公募する他の補助金の直近3回の交付決定率は、事業再構築補助金が40%*、ものづくり補助金*が50%、小規模事業者持続化補助金が58%です。
それらに比べると、事業承継・引継ぎ補助金は、申請に対して交付決定される割合が高くなっています。
* 事業再構築補助金、ものづくり補助金は採択率(採択件数÷申請件数×100)

獲得への第1ステップ:さまざまな要件への適合性を確保

補助金の獲得に向けては、まず、公募要領に示されたさまざまな要件項目に対して、申請者の属性や申請の内容等が適合していなくてはなりません。
事業承継・引継ぎ補助金「経営革新枠」の特徴は、事業承継に関連する要件と、「経営革新」の取組に関する要件の2種類があるため、適合を示す必要のある項目がとても多いことです。
補助金の審査・選考は、資格審査、書面審査の2段階で行われます。
事業者さんは、さまざな要件項目への適合を適切な書類等によって示し、第1ステップの資格審査をクリアする必要があります。
主要な要件項目としては、補助事業者の要件事業承継の要件(時期に関するもの、形態に関するもの)補助対象事業の要件の3点があります。

補助対象者

まず何より、補助対象者は、中小企業基本法に定める「中小企業者等」である必要があります。
それ以外で重要な補助対象者の要件は、「地域経済に貢献している中小企業者等」であることです。
政府が事業承継に補助金を出す政策の背景には、若い後継者が地域経済の発展に貢献することへの期待感があります。
「経営革新枠」の申請書には、経営革新の取組によって、地域経済に効果が期待できる貢献内容の記載欄もありますので、申請をする場合は、地域経済と自社との関係を整理しておく必要があるでしょう。


(出典)「事業承継・引継ぎ補助金・経営革新枠 公募要領 9次公募」


(出典)「事業承継・引継ぎ補助金・経営革新枠 公募要領 9次公募」の内容を筆者が図表化

事業承継の要件/時期

ブログのタイトルに「新社長のチャレンジを後押し!」と書きましたが、事業承継の時期は、5年遡ることができます
対象となる事業承継の時期について、正確には次のとおり規定されています。

「事業完了期限日から遡ること5年の間に、中小企業者等間における事業を引き継がせる者と事業を引き継ぐ者との間で、事業の引継ぎを行った又は行うこと」

よって、9次公募においては、2019年11月23日から2024年の11月22日の間に事業の引継ぎ行われていれば、申請の対象になります。

また、事業承継が「経営者交代類型」(同一法人内での経営者交代)の場合は、「未来の承継」も対象です。
将来経営者になることが十分見込まれる後継者が選定されていることや、その後継者候補が当該法人に在籍していることなどを要件として、補助事業期間が終了する事業年度から5年後の事業年度末までに事業承継を完了する予定であれば、補助の対象とすることができます。
図表で示すと以下のとおりです。

認められる事業承継の時期が、5年前から5年後までと間口が広いため、要件に当てはまる事業者さんも多いのではないでしょうか。

(出典)9次公募の内容から筆者が作成

事業承継の要件/形態

1月のブログで解説したとおり、「経営革新枠」には、後継者が事業を引き継ぐ状況により3つの類型があります。
創業に当たって廃業予定の中小企業等から事業を引継ぐ場合が「創業支援類型」、企業内で次世代の親族や従業員への承継により事業を引き継ぐ場合が「経営者交代型」、事業再編・事業統合のためのM&Aによる引継ぎが「M&A型」となります。

3つの類型は、補助上限額や補助率の違いはありませんが、前節でみたように対象となる事業承継の時期のほか、申請書の記載事項や添付書類に違いが出てきます。
3つの類型はさらに、引き継ぐ者の違い(個人事業主か、法人か)、引き継がれる者の違い(個人事業主か、法人か)、引継ぎの「スキーム」の違い(事業譲渡、株式譲渡、吸収合併、株式交換、等)により、全部で12種類の類型に分かれます。
申請システムとしてjGrantsを使用しますが、jGrantsの申請フォームが事業承継の類型により別々なので(フォームが12種類!)、自分がどの類型に当てはまるのか、正しく分類する必要があります。

補助対象事業

「経営革新枠」で補助対象となるのは、「経営者の交代(予定を含む)又は事業再編・事業統合等を契機として、承継者が引き継いだ経営資源を活用して行う経営革新・生産性向上等に係る取組」です。
どのような取組や事業であれば補助対象になるのか、その要件をみていきます。

「経営革新」への適合

まず、「経営革新」とはどのような取組を指すのでしょうか。
公募要領によれば、事業承継・引継ぎ補助金における「経営革新」とは、中小企業等経営強化法の定義に従い、次のような取組をすることとなっています。

事業者が新事業活動*(①新商品の開発又は生産、②新役務の開発又は提供、③商品の新たな生産又は販売の方式の導入、④役務の新たな提供の方式の導入、⑤技術に関する研究開発及びその成果の利用その他の新たな事業活動)を行うことにより、その経営の相当程度の向上を図ること」
*新事業活動の種類への数字の附番(①~⑤)は筆者による

すなわち、この補助金を利用して、新しい事業活動として5種類のどれかを実施し、経営レベルの向上を図ることが求められています。

3分野の新事業活動への適合

さらに事業承継・引継ぎ補助金においては、「経営革新」の方向性にガイドが設けられています。
政府が中小企業に進めて欲しいと考えている課題に沿って、新事業活動の対象分野は、次の3分野8タイプに特定されています。

「デジタル化」「グリーン化」「事業再構築」は、国の他の補助金の名称や、補助金に設定された枠の名称になっています。
公募要領では、これらの事業分野の適合要件について、他の補助金の要件を参照することになっていません。
したがって、本補助金に関して書かれたルールのなかで、要件を捉えればよいと考えられます。
各タイプの要件は、以下のとおりです。

「デジタル化に資する事業」の要件はコチラ
「グリーン化に資する事業」の要件はコチラ
「事業再構築に資する事業」の要件はコチラ

生産性向上要件への適合

新事業活動による「経営の相当程度の向上」は、この補助金では、「付加価値額」または「1人当たり付加価値額」の伸び率で測ることとなっています。
具体的には、補助事業期間とその後5年間の補助事業計画において、「付加価値額」または「1 人当たりの付加価値額」の平均伸び率を年3%以上向上させることが、必須となっています。(補助対象事業の生産性向上要件)
付加価値額とは「営業利益、人件費、減価償却費を足し合わせた額」を指します。

「認定経営革新等支援機関」によるチェック

事業承継・引継ぎ補助金「経営革新枠」の獲得に向け、第一の関門は、適合の確認が必要な要件項目の多さです。
ただ、事業承継・引継ぎ補助金は、この作業をすべて事業者さんに「丸投げ」しているわけではありません。
「認定経営革新等支援機関」の確認書を取得することが申請の条件となっており、彼らが申請前に事業者さんの相談に乗り、チェックする仕組みとなっています。

「認定経営革新等支援機関」とは、中小企業支援に関する税務や財務等の専門的知識や実務経験などが一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関です。
具体的には、商工会・商工会議所、税理士、公認会計士、中小企業診断士、金融機関などが認定を受けています。

「認定経営革新等支援機関」による確認事項は、次のとおりです。

獲得への第2ステップ:審査の着眼点にしっかり申請書で回答

補助金の獲得に向けては、「経営革新」に関する事業計画の内容が、他の申請者よりも優れたものとして評価される必要があります。
審査・選考の過程では、資格審査を通過した申請に対して、第2ステップとして「経営革新」の取組内容に関する書面審査が行われます。
審査を意識して申請書を作ることが、評価の向上に直結すると考えられます。

審査の着眼点

公募要領には、審査委員会が審査する際の着眼点が掲載されていますが、まず、これを理解することが必要です。
述べられてることが分かりやすいように、文章を分解して取りまとめたのが次の図表です。

独創性実現可能性収益性継続性の4項目が評価の軸になっており、項目ごとに、評価のポイントも記載されています。
新事業活動を成功に導くためには、これらのポイントをよく検討することが必要ですが、補助金を獲得するためには、これらのポイントについて検討した内容をしっかり申請書に書き込むことが重要です。

申請書のフォーマット

事業承継・引継ぎ補助金「経営革新枠」の申請書の特徴は、他の補助金と異なり、10ページ、15ページあるような「事業計画書」の作成を求めていない点です。
事業計画の内容は、Excelの記入フォーム(申請書の「別紙」の扱い)の指定欄に、指定内容を記載し、jGrantsにアップロードして提出します。
事業計画の内容を、要素に分解して伝えるような形になります。
審査の着眼点がそのまま「設問」になっている部分もあり、回答しやすい側面もあります。
事業計画を記載するExcelシートの一部を以下にお見せしますが、イメージを掴んでいただけるでしょうか?

(出典)事業承継・引継ぎ補助金「経営革新枠」8次公募 交付申請(別紙)ファイル

申請書のフォーマットと審査の着眼点の対応関係

審査を意識した申請書づくりの観点では、申請書のフォーマットと審査の着眼点の対応関係を予め整理したうえで、記載を行うのが有益です。
以下は、「取組の実現可能性」と申請書の記載項目との関係を整理したものです。
この関係を踏まえて申請書を作成することで、補助金の獲得が近づくものと考えられます。

最後に

今回は事業承継・引継ぎ補助金「経営革新枠」で交付決定を受けるための2段階のステップをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
第1ステップでご説明したように、この補助金は要件への適合や類型への適合に関する確認事項が多く、煩雑さを感じた事業者さんも多いのではないでしょうか。
ただ、事業承継を経験した(経験する予定の)事業者さんにのみ、獲得チャンスのある補助金であり、建物の工事費用や、市場調査費、展示会出展費用も補助対象となることから、魅力的な補助金です。
要件に適合する事業者さんは、申請を検討してみてはいかがでしょうか。
私たちHKS(補助金活用支援会合同会社)は、中小企業診断士で構成された、認定経営革新等支援機関です。
確認書の発行のための確認業務だけでなく、「経営革新」に関する事業計画策定の支援も可能ですので、よろしければご相談ください。

 

今回は以上となります。最後までお読みいただきありがとうございました。

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