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事業環境変化に対応した経営基盤強化事業【一般コース】とは
この事業は、ポストコロナや急速な事業環境の変化に対応するため、東京都内の中小企業者が経営基盤を強化し、持続的に成長することを支援する助成金制度です。
エネルギー・原材料価格や人件費の高騰、コロナ後の需要回復や消費者ニーズの変化への対応など、中小企業が直面する様々な課題に対し、企業の創意工夫による取り組みをサポートします。
具体的には、下記内容への取り組みに必要な経費の一部を助成します。
ただし、以下の取り組みは対象外です。
- 既存事業との関連性が薄い取り組み
- 法令改正への対応など、義務的な取り組み
- 単なる老朽設備の更新など、競争力や生産性向上に寄与しない取り組み
令和7年度からは、従来の一般コースに加え、小規模事業者向けの「アシストコース」が新設されました。一般コースとアシストコースは併願できません。また、令和6年度の類似事業で交付決定を受けた事業者は、令和7年度の一般コース・アシストコースのどちらにも申請できませんので、お間違えないようにして下さい。
助成事業の概要と対象経費
「事業環境「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)」における、助成対象者、助成対象期間、助成率・助成限度額は以下のとおりです。
① 助成対象者
- 本助成金の対象となるのは、東京都内で事業を行っている中小企業者(個人事業主を含む)です。
- 大企業が実質的に経営に関わっていない(いわゆる「みなし大企業」でない)など、いくつかの申請要件を満たす必要があります。大企業の実質的な参画については具体的な定義があります
- 医療法人、学校法人、宗教法人、社会福祉法人、NPO法人、公法人などは対象外です。
- 申請時には、直近決算期の売上高が2023年の決算期以降のいずれかの決算期と比べて減少しているか、または直近決算期で損失を計上しているといった財務状況の要件があります。
- 事業を実施する場所が東京都外(神奈川県、埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県、茨城県、山梨県)でも、東京都内に本店登記があれば申請可能です。
② 助成対象期間
- 助成対象となる事業の実施期間は、交付決定日(採択が決まった日)から最長1年間です。
- この期間内に、対象経費の契約、事業の実施、支払いが全て完了している必要があります。
- 申請を行うより前に支払われた経費は、原則として助成の対象となりません。
③ 助成率・助成限度額
- 助成金は、助成対象と認められた経費の3分の2以内が支払われます。
- ただし、賃金引上げ計画を策定して実施し、目標を達成した場合は助成率が上がり、中小企業者は4分の3以内、小規模企業者は5分の4以内となります。
- 1件あたりの助成金の上限額(助成限度額)は最大800万円です。
これらの内容は、提出された募集要項や解説記事に基づいています。
助成対象経費の区分(例)
- 原材料・副資材費
- 機械装置・工具器具費: 製造機械、計測・測定・検査機器、金型、治具等(税抜10万円未満は対象外)
- 委託・外注費: 開発・試験、試料の製造・改造・加工・分析鑑定、共同研究、市場調査(市場調査費単独での申請は不可)
- 産業財産権出願・導入費: 特許権、実用新案権、意匠権、商標権の出願・導入に必要な経費
- 規格等認証・登録費: 規格適合、認証の申請・審査・登録、外部専門家の技術指導・研修に係る経費
- 設備等導入費: 本事業の取組に直接必要な設備・備品等の購入、設置工事(税抜10万円未満は対象外、パソコンや業務ソフト、小型機械・厨房設備等の導入例あり)
- システム等導入費: システム構築、ソフトウェア・ハードウェア導入、クラウド利用、各種設定等(税抜10万円未満は対象外、ECサイトや予約システム構築、省人化ツール導入例あり)
- 専門家指導費: 本事業の取組に直接必要な指導・助言に係る経費(単独申請は不可)
- 不動産賃借料: 本事業の取組に必要な事務所、施設等を新たに借りる場合の経費(敷金、礼金、仲介手数料等は対象外)
- 販売促進費: 既存事業の「発展」による新たな商品・サービス等のみ対象(単独での申請は不可。自社Webサイト制作・改修、印刷物製作、PR動画製作、広告費、展示会出展小間料・資材費・輸送費・通訳費、オンライン出展基本料、ECサイト出店初期登録料などが例として挙げられています)
- その他経費: 上記に属さない経費で、本事業の取組に直接必要なもの(単独での申請は不可、税抜10万円未満は対象外)
申請方法とスケジュール
本事業の申請は、デジタル庁が運営する電子申請システム「Jグランツ」を通じてのみ行われます。申請には「GビズIDプライム」アカウントの取得が必須です。アカウント発行には書類審査等で時間がかかる場合があるため(2〜3週間程度)、事前の準備が推奨されています。
GビズIDに関してはコチラの記事で詳しく書いているので、参考にして下さい。
令和7年度の一般コースの申請受付は奇数月(5月・7月・9月・11月・1月・3月)に行われます。具体的な申請受付期間は以下の通りです。
- 第1回:令和7年5月2日~5月14日(受付終了)
- 第2回(予定):令和7年7月1日~7月14日
- 第3回(予定):令和7年9月1日~9月12日
- 第4回(予定):令和7年11月4日~11月14日
- 第5回(予定):令和8年1月5日~1月14日
- 第6回(予定):令和8年3月2日~3月13日
審査プロセスと視点
提出された申請書に基づき、まず専門家による書類審査が行われます。書類審査で一定水準に達した申請者は、面接審査に進みます。面接審査も専門家によって行われます。面接は原則対面形式で行われ、申請事業者の代表者、役員・従業員のみ最大2名まで参加可能です(顧問やコンサルタント等の同席、代理出席はできません。これらの事実が発覚した場合、審査に重大な影響を及ぼすことがあります)。
審査は多角的な視点から行われ、主に以下の5つの観点が重視されます。
- 発展性:既存事業の深化・発展に資する取組であるか。
- 市場性:ポストコロナ等における事業環境の変化前後の市場分析が十分か。
- 実現性:提案された取組を実行するための体制が整っているか。
- 優秀性:事業者としての創意工夫、今後の展望があるか。
- 自己分析力:自社の状況を適切に理解しているか。
これらの視点に基づき、総合的に判断して交付決定が行われます。審査の内容や結果に関する個別の問い合わせには一切回答できません。書類審査の結果は申請から概ね2ヶ月程度、面接審査の結果は書類審査の結果後概ね2ヶ月程度で通知される予定ですが、件数や内容により時期が前後する可能性があります。
助成金交付までの流れと留意事項
申請してすぐに助成金が振り込まれるわけではありません。助成金は、交付決定を受けた後、事業者が自己資金で取組を実施し、完了後に実績報告書類を提出し、完了検査、助成額の確定を経てからの後払い(精算払い)となります。資金計画には十分注意が必要です。
【申請から助成金振込までの流れ】
申請
↓(審査)
↓(交付決定)
取組の実施(契約・実施・支払い) ※任意のアドバイザー派遣
↓(助成対象期間:交付決定日から1年間)
実績報告
↓(完了検査) ※必須のアドバイザー派遣
↓(助成額の確定)
請求書提出
↓(助成金振込)
※カッコ付きは公社の事務
申請書類の作成や提出に係る経費は申請者の負担となります。申請書類に誤りがあった場合、原則として差し替えはできず、不採択となるため、「申請する」ボタンを押す前に必ず内容を確認する必要があります。交付決定後、助成事業者の名称や所在地等が公表されることがあります。
助成金が交付されない・減額される可能性
「交付決定」は、助成金交付の対象者として決定された状態であり、支払額が決定したわけではありません。実際の支払額は、取組内容の実績報告と完了検査の結果で確定します。交付決定後でも、事業遂行や経理関係書類の整備が適切に行われていない場合、交付決定額の一部または全部が交付されない、あるいは減額される可能性があります。偽りその他不正な手段で交付を受けた場合、返還や刑事罰が適用されることもあります。
他の助成事業との関係
他の公的機関(国、都道府県、区市町村等)の補助金等とは、併願申請は可能ですが、同一テーマ・内容で二重に助成金を受け取ることはできません。両方採択された場合は、一方を辞退する必要があります。東京都中小企業振興公社の他の助成事業とは、同一テーマ・内容での併願申請は不可です。どちらか一方のみを申請してください。
さいごに
今回は「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業【一般コース】」について、その目的、対象、助成内容、申請方法、審査の視点などをご紹介しました。審査の視点(発展性、市場性、実現性、優秀性、自己分析力)を理解し、それに基づいた計画を具体的に示すことが、採択への重要な一歩となります。申請をご検討の経営者の皆様は、ぜひ募集要項やFAQをご確認いただき、自社の事業環境の変化とそれに対応するための取組、そしてその実現可能性について十分に検討を進めていただければ幸いです。
本事業に関するお問い合わせは、以下の事務局にご連絡ください。お問い合わせは必ず申請事業者本人より行う必要があります。
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業事務局
TEL:03-4446-2560
受付時間:平日の9:00~16:30(年末年始を除く)
今回は以上となります。最後までお読みいただきありがとうございました。
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