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成長と分配!2022年は税制と補助金を活用して賃上げ実現!

令和4年寅年、明けましておめでとうございます。
「虎穴に入らずんば虎児を得ず」
新しい年が、みなさまの新しいチャレンジが実を結ぶ、素晴らしい年となりますようお祈り申し上げます。

成長と分配の好循環

さて、昨年は10月に岸田内閣が誕生しました。
岸田首相は「成長と分配の好循環」をコンセプトとする「新しい資本主義」を提唱しています。
「成長と分配の好循環」とは、成長戦略によって生産性を向上させ、その果実を働く人に賃金の形で分配することで、次の成長を実現していく考え方です。
成長はこれまでの政権が常に掲げてきた戦略ですが、分配に重きを置いたことに岸田内閣の経済戦略の特色があります。
その具体策である「令和3年度補正予算」が12月20日に成立し、「令和4年度税制大綱」が12月24日に閣議決定されました。
中小企業向け政策にも、分配の施策、すなわち賃上げの取組みを後押しする施策が含まれています。

賃上げ税制の抜本強化 ~黒字事業者向けの施策~

税制大綱は、積極的な賃上げを促す観点から、関連する税制を抜本的に強化すると宣言しています。
中小企業向けには、次のような方針で制度づくりをすることが示されています。

・一人一人の賃上げや雇用の確保により、給与総額を増加させる中小企業を支援
・特に、より大幅な賃上げや人的投資を行う企業については、大胆な税額控除を適用

具体的には次の制度が令和5年度末まで適用されます。

・雇用者全体の給与(給与等支給総額)が前年度比1.5%以上増加した場合に、その増加額の15%を税額控除
・また、前年度比2.5%以上増加した場合には、30%の税額控除
・さらに、人的投資の要件を満たした場合には、税額控除率を10%上乗せ

 


(経済産業省作成のチラシより)

これまでの同種の税額控除率の最大が25%だったのに対し、今回の最大の控除率は40%
かつてない水準であり、岸田首相の肝入り施策と言われています。

2022年中小事業者の賃上げへの意識

ここで、中小事業者のみなさまの2022年の賃上げに対する意識の現状(税制大綱が発表される前の段階ですが)を見てみましょう。
帝国データバンクが、11月中旬に全国の企業に対してアンケート調査を行っています。
質問は「自社において2022年度(2022年4月~2023年3月)の賃上げをどのように考えているか」です。

中小企業だけの回答でみると、
・「税制優遇に関わらず賃上げを行う」とした企業  47.9%。
・「優遇が大きければ賃上げを行う」「検討する」と回答した企業 計31.7%。
合計80%弱の企業が賃上げに前向きの回答となっていました(有効回答数 1,444社)。

帝国データバンクは、
「新型コロナウィルスの影響で緩和した人手不足感が再び高まりつつあるなか、多くの企業で従業員の定着・確保が再び大きな課題として浮かび上がっている」
と結論づけています。(2021年11月16日付けのニュースリリースから引用)

従業員のがんばりに応え、企業の魅力度を高めるのが賃上げです。
法人税を支払う必要のある黒字の中小事業者のみなさまにとって、この税制改正は賃上げの後押しになるのではないでしょうか。

補助金に特別枠を設定 ~赤字事業者向けの施策~

分配政策(賃上げ促進政策)として、税制が黒字事業者向けになっているのに対し、補助金は赤字事業者向けの施策が織り込まれています。
令和3年度補正予算では、中小企業に対する助成支援の方針が次のとおり打ち出されています。

・付加価値を創出する事業再構築や生産性向上に取り組む中小企業に対して、賃上げの促進を考慮して、強力な助成支援を行う。

具体的には、次の施策がとられています。

新型コロナの影響で赤字に陥っている事業者向けに「生産性革命補助金」(「ものづくり補助金」および「持続化補助金」)に特別枠を設定
「事業再構築補助金」では、厳しい業況のなか最低賃金の引上げに対応する事業者の支援枠を継続

ものづくり・商業・サービス補助金

「ものづくり補助金」はもともと、賃金水準の向上や雇用の拡大を申請要件とする補助金です。
令和3年度補正予算では、赤字事業者向けに「回復型賃上げ・雇用拡大枠」が新設され、補助率の引上げが行われます。

補助対象:革新的製品サービスの開発または生産プロセスの改善に必要な設備投資等

(経済産業省作成のチラシより)
令和3年度補正予算「ものづくり補助金」の概要記事はこちらへ

小規模事業者持続化補助金

業況が厳しいなかで賃上げに取組む小規模事業者を対象として、「成長・分配強化枠」が新設されます。
補助上限額は「通常枠」が50万円のところ200万円まで引き上げられ、赤字事業者は補助率も3/4にアップの予定です。

補助対象:小規模事業者が経営計画を作成して取り組む販路開拓等

(経済産業省作成のチラシより)

事業再構築補助金

「事業再構築補助金」では第3回公募から登場した「最低賃金枠」と「大規模賃金引上枠」が、令和3年度補正予算でも継続になりました。
前者は、地域別最低賃金に近い賃金で働く従業員の割合が多く、新型コロナの影響が大きい企業を対象にした特別枠です。
補助率を高く設定し、賃上げ原資を確保するための取組み(事業再構築)を支援しています。

補助対象:ウィズコロナ・ポストコロナ時代への対応のために行う思い切った事業再構築の取組み

令和3年度補正予算「事業再構築補助金」の概要記事はこちらへ

おわりに

中小事業者のみなさまにとって、厳しい経済環境と事業の将来が見通せない状況のなかで、なかなか前向きな賃上げに踏み切れないのが、ホンネでしょう。
そんな事業者様が将来を切り拓くためのチャレンジ、生産性向上や成長への取組みを助成するのが補助金です。
そして、その取組みを成功させるには、従業員の協力が不可欠です。
「ものづくり補助金」では、事業計画と賃上げ計画を従業員に表明することが応募の要件となっています。
従業員の方々と計画をしっかり共有して取り組むことができれば、事業計画の達成の可能性も高まり、原資の確保により賃上げも予定に沿って進められるのではないでしょうか。

補助金活用支援会/HKSは、中小事業者のみなさまが補助金をご活用いただくための支援をしています。補助金の申請をしてみたい」「補助金の話を聞いてみたい」事業者様がいらっしゃいましたら、お気軽にお問合せ下さい。

 

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