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ものづくり補助金 第22次公募のポイント:変更点と採択に向けた戦略とは

今回は、「ものづくり補助金第22次公募」についてご紹介します。
今回お伝えしたいポイント1. 第22次公募の概要
2. これまでの公募との主な変更点
3. 直近トレンドを踏まえた、申請のポイント
人手不足、生産性向上、業務の高度化は、もはや特定業界の課題ではなく、日本全国の中堅企業が直面する構造的テーマとなりました。
また、設備投資にはコストだけでなく、「投資のタイミング」が事業成長の再現性を左右します。
一方で、ものづくり補助金は、単に設備費の一部を補助する制度ではなく、企業が中期的に成長を実現するための経営戦略を後押しする制度となっています。
本記事では、第22次公募において、押さえるべきポイントに焦点を当てます。
また、ものづくり補助金のホームページはこちらです。
第22次公募の概要
第22次公募は、従来と同様に 「生産性向上につながる設備投資・サービス開発」 を支援する補助金となっています。
以降、いずれもものづくり補助金の公募要領や、ホームページより抜粋して説明します。
補助枠の全体像
| 枠名 | 補助率 | 補助額 | 想定される投資内容 |
| 製品・サービス高付加価値化 | 1/2(小規模・再生事業者は2/3) | 1~5人 750万円 6~20人 1,000万円 21~50人 1,500万円 51人以上 2,500万円 |
革新的な新製品・新サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資等 を支援 |
| グローバル枠 | 1/2(小規模事業者は2/3) | 3,000万円 | 海外事業を実施し、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備・システム投 資等を支援 |
特例措置(賃金関連特例)
賃金関連の特例措置には下記があります。
| 概要 | 引き上げ額等 | |
| 大幅な賃上げに係る補助上限額引き上げの特例 | 大幅な賃上げに取り組む事業者について、従業員数規模に応じて補助上限額を 引上げ |
従業員数1~5人 各補助対象事業枠の補助上限額から最大 100万円 6~20人 各補助対象事業枠の補助上限額から最大 250万円 21~50人 各補助対象事業枠の補助上限額から最大1,000万円 51人以上 各補助対象事業枠の補助上限額から最大1,000万円 |
| 最低賃金引き上げに係る補助率引き上げの特例 | 所定の賃金水準の事業者が最低賃金の引上げに取り組む場合、補助率を引上げ | 引き上げ後補助率が 2/3 |
スケジュール
申請締切は2026年1月末となっており、見積取得や申請書類の作成は早めに始める必要があります。
また、採択結果は4月下旬ですので、投資開始は来期計画とともに検討する必要があると言えます。
| 項目 | 時期 |
| 公募スタート | 2025年10月24日(金) |
| 電子申請開始 | 2025年12月26日(金) 17時 |
| 申請締切 | 2026年1月30日(金) 17時 |
| 採択結果公表 | 2026年4月下旬 |
これまでの公募との主な変更点
22次公募において、大きく制度を左右する変更はないため、これまでのものづくり補助金への理解で十分と考えられます。
21次公募の概要についてはこちらを合わせてご確認ください。
その中でも、一部改定されたポイントについて、下記に整理します。
主な変更項目
以下の変更に伴い、「製品・サービス高付加価値化枠」や「大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例」における従業員数の区分が、21次締切の「従業員数5人以下」 から、22次締切では「従業員数1~5人」 へと変更されています。
| 変更項目 | 第21次 | 第22次での変化 |
| 従業員数の要件化 | 「応募申請時に従業員数が0名の場合…申請できません」 | 「2.4.1 補助対象者」の冒頭で、「応募申請時における常時使用する従業員の数が1人以上」であることが明記 |
| 賃上げに関する加点項目が2つ新設 | – | 従来の賃上げ加点のほかに、「地域別最低賃金引上げに係る加点」と、「事業所内最低賃金引上げに係る加点」が追加 |
賃上げに関する加点項目の新設
従来の賃上げ加点に加えて、下記が新設されています。
- 地域別最低賃金引上げに係る加点
2024 年 10 月から 2025 年 9 月までの間で、補助事業の主たる実施場所で雇用している従業員のうち、「当該期間における地域別最低賃金以上~2025 年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が全従業員数の 30%以上である月が 3 か月以上ある事業者。
※ 最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例の対象外事業者が、この加点のみを申請し、適用される場合、「基本要件③:事業所内最低賃金水準要件」は除外されません。 - 事業所内最低賃金引上げに係る加点
2025 年 7 月と応募申請直近月の事業場内最低賃金を比較し、「全国目安で示された額(63 円)」以上の賃上げをした事業者
直近の採択トレンドを踏まえた、申請のポイント
第20次を含む直近公募の採択結果を見ると、採択される事業計画には共通する方向性が見られます。
なお、20次公募の採択結果の概要は下記となっています。
採択率は33.6%と、事業者にとってはなかなか厳しい結果となりました。
| 総計 | 製品・サービス高付加価値枠 | グローバル枠 | |
| 申請者数 | 2,453 | 2,276 | 177 |
| 採択者数 | 825 | 784 | 41 |
そこで、採択者一覧から見た、共通のトレンドを整理します。(採択結果概要)
採択案件に共通している4つのトレンド
採択案件を見ると、下記のようなトレンドが見て取れます。
これらは、特定業界に限らず共通して評価されている視点です。
| トレンド | 背景 | 代表的な計画の方向性 |
| ① デジタル化から「データ活用」へ | デジタル化そのものは既に前提化 | 生産・顧客・在庫などのデータを業務改善に反映する設計 |
| ② 省人化・自動化による業務負荷の軽減 | 人材確保の難易度が上昇 | 工程合理化、手作業削減、オペレーションの標準化 |
| ③ サービス・製造問わず「専門性の深化」 | 競合との差別化が不可欠に | 内製化、技術高度化、付加価値の高い領域へのシフト |
| ④ 事業の広がりよりも「収益性の明確化」 | 審査が“投資の回収可能性”を重視 | 売上・粗利・付加価値・人件費の連続性を数値で説明 |
上記のようなポイントを意識した事業計画を作成することが、事業のトレンドや政策との一致を示す、重要な採択要因となる可能性もありますので、念頭においていただくことを推奨します。
さいごに
今回は「ものづくり補助金の第22次公募」についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
採択率が低くなっている中で、事業戦略の重要な一部として補助金を活用するためには、一貫性を持った事業計画が重要です。
HKSではものづくり補助金において、多くの支援実績がございますので、よろしければご相談下さい!
今回は以上となります。最後までお読みいただきありがとうございました。
HKSパートナー、中小企業診断士。