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経営革新計画で加速する中小企業のDX成功事例3選 ~AI・3D・オンラインによる「革新」~

経営革新計画

DXを成功させる鍵は「経営革新計画」にある

多くの中小企業が「DXに取り組みたい」と考えながらも、
「何から始めるべきか」「投資効果をどう測るか」で立ち止まっています。

DXとは、単にデジタル技術を導入することではなく、経営そのものを変革する取り組みです。方向性と数値目標を明確にし、社内外を巻き込んで実行する仕組みが欠かせません。

そこで役立つのが、経営革新計画です。これは都道府県が承認する「成長の設計図」であり、DXを「思いつきの導入」から「戦略的な変革」へと導くための制度です。

今回は経営革新計画をうまく活用した「3つの成功事例」を紹介していきます。
(関連記事:8分でわかる『経営革新計画』~概要と承認取得のメリット~

事例①:NextLifeデザイン合同会社(大分県)

介護

介護美容セラピスト育成をオンライン化し、全国展開を実現

介護美容セラピストの育成を行う同社は、これまで対面で実施していた研修をオンライン化しました。現場の介護従事者や子育て世代など、通学が難しかった人でも受講できる 「オンライン育成コミュニティ」 を構築し、全国・離島・在宅ワーカーなど幅広い層に学習機会を提供しています。これにより、セラピスト人材の育成基盤を大きく拡大することに成功しました。

成果1.地理的制約を超えた研修サービスの確立

2.オンライン化により受講者数は前年比150%増

3.講師業務の効率化による人件費削減を実現

成功要因・経営革新計画を活用し、育成システム構築やオンライン配信環境整備を計画化(補助金活用の基盤づくり)

・DXによって地域の人材不足という社会課題を解決しながら、育成事業の成長を実現

出典:大分県 経営革新計画事例集(令和5年度承認)


事例②:株式会社松本測量(千葉県)

測量

建築測量にAIと3Dを融合し、生産性を飛躍的に向上

3Dレーザースキャナー導入とAIによる点群データの自動解析・ヒートマップ化を実装。作業時間を従来比40%削減し、精度と納期を同時に改善しました。大手ゼネコンと解析ソフトを共同開発。

成果1. 付加価値額伸び率:75.6%(計画比)

2.誤差低減・納期短縮で受注拡大

3.大手ゼネコンとの取引拡大

成功要因経営革新計画でAI・3D投資を「経営課題解決」として位置づけ

現場教育(AI解析スキルの内製化)とフロー標準化を同時に推進

出典:千葉県 経営革新計画優秀企業表彰 2024年版


事例③:スズキ機工株式会社(千葉県)

AIとレーザー加工で「地方製造業の新モデル」を構築

レーザー加工機導入による内製化と、AIツール(生成AIを含む)の活用で営業資料やデザイン制作を効率化。開発スピードを大幅に向上し、全国販売を実現。

成果1.   付加価値額伸び率:77.0%

2.商品開発サイクルを約半分に短縮

3.デザイン専門人材の採用で組織力を強化

成功要因・経営革新計画で「AI×製造革新」の方向性と数値目標を明文化

・DXを「効率化」ではなく「顧客価値創造」として定義

出典:千葉県 経営革新計画優秀企業表彰 2024年版

成功企業に共通する3つのポイント

ポイント

①.小さく始めて検証するDX設計

NextLifeは「既存研修のオンライン化」という一部工程から、スズキ機工は「レーザー加工(部分内製化)」から開始。スモールスタート→成果検証→水平展開の流れが共通。

  • 大規模投資より、単一業務・1ラインから開始
  • 効果測定→標準化→他部門へ展開

②.経営革新計画で「投資の根拠」を明確化

経営革新計画は都道府県承認の公的計画。DX投資を計画に載せることで、補助金加点・信用保証優遇の対象になりやすく、松本測量のように「経営課題解決の手段」として外部評価・資金調達・社内合意が同時に進む。

  • 投資の説明責任を果たしやすい(対社内・金融機関)

補助金・保証の制度接続でキャッシュ面の不安を軽減

③.技術よりも目的を重視する姿勢

スズキ機工は「デザイン性・顧客価値の向上」、NextLifeは「地域の人材不足解消」という目的から技術選定。
「何を導入するか」ではなく「誰にどんな価値を届けるか」を先に定義している。

  • 目的(顧客価値・業務効率・人材活用)→手段(AI/3D)
  • 計画上のKPI(付加価値・納期・工数など)に直結

まとめ:経営革新計画を「DXの加速装置」に

DXは、技術導入ではなく「経営の再設計です。

経営革新計画を活用すれば、資金支援・数値管理・社内浸透を同時に進められ、実行力のあるDXを実現できます。
(関連記事:経営革新計画と経営力向上計画の違いをあらためて解説

小さな革新を積み重ねることが、やがて企業全体の変革につながります。
まずは自社に合ったスモールスタートからはじめましょう。

参考資料

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