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受注型中小企業の技術・サービスの高度化・高付加価値化を支援する東京都の助成金をご存じですか?

日にチャレンジ中小企業基盤強化事業助成金

今回ご紹介するのは東京都と東京都中小企業団体中央会が行う事業です。

都内産業の活性化に向け、中小企業の技術・経営基盤の強化を図るため、受注型中小企業(下請企業)を対象として、自社の技術・サービスの高度化・高付加価値化に向けた技術開発等の取組を支援する助成金です。

都が行う事業なので、助成によって都内の受注型中小企業が受注機会や事業範囲を拡大し、技術と経営基盤を強化でき、その結果「都内産業の振興につながる」ことを目的としています。

 

なお、東京都と東京都中小企業団体中央会の関係性とスキームは以下の通りです。

 

都から中小企業団体中央会へ交付される補助金を支援対象事業へ取り組む中小事業者様へ助成される仕組みです。

当事業は、2019年まで「受注型中小企業競争力強化支援事業」という名称でしたが、昨年から「明日にチャレンジ中小企業基盤強化事業」と名称が変わりました。

実は令和3年度の事業としては第1回の申請期間が既に開始しており、申請書類の提出期間は令和3年3月1日(月)~ 4月9日(金)[当日消印有効] とされています。

令和3年第1回の募集チラシはこちらからご覧下さい

 

「4月9日までに申請するのは厳しい、次は令和4年か・・・」とお思いのあなた、諦めるのは早いかもしれません!

本助成事業ですが、実は昨年も第2回があり、書類受付期間は令和2年6月15日(月)~ 7月15日(水)でしたので、令和3年度も「第1回で終わり」とはならないのでは?と予測しています。

もし第2回があるなら、準備期間は十分にありそうですね。

それではより詳しく見ていきましょう。

助成対象事業者

東京都内の受注型中小企業、つまり下請企業が対象となりますが、下記の通りです。

1.中小企業者(会社・個人事業主)
東京都内に本店があり、令和3年4月1日現在で、引き続き2年以上事業を営んでいること

2.中小企業団体(組合等)
東京都内に主たる事務所があり、令和3年4月1日現在で、引き続き2年以上事業を営んでいること

3.中小企業グループ
1,2を満たす複数の中小企業者等が集まって構成されていること

4.受注型中小企業又は受注型中小企業団体、若しくはこれらで構成される中小企業グループ
受注型であること

公募要領にはもう少し詳しく書かれていますので、もしお時間おありでしたら念のためお読み下さい。

以下の(1)から(3)のいずれかに該当し、(4)及び(5)をすべて満たす者


※画像はクリックで拡大します

 

(4)
受注型中小企業又は受注型中小企業団体であること若しくは受注型中小企業又は受注型中小企業団体により構成される中小企業グループであること。

受注型中小企業又は受注型中小企業団体とは、以下の要件を満たす事業者を指し、下図に
示されるような関係のあるものをいいます。
ア 主として発注者の仕様・規格に基づいて、製品・サービスを提供していること。
イ 発注者の製品・サービスの一部を構成(提供)するものであること。
ウ 最終消費者(再販売する目的以外で財・サービスを購入する消費者)に対し、自己
の名(法人名・個人名)で製品・サービスの提供をしていないこと。

(5)その他の要件
① 事業税その他租税を未申告又は滞納していないこと(都税事務所と協議のもと、分納し
ている期間も申請を不可とする。)。
② 東京都及び中央会に対する賃料・使用料・会費等の債務の支払いが滞っていないこと。
③ 同一テーマ・内容で、国・都道府県・区市町村・中央会等から助成を受けていないこと。
④ 過去に国・都道府県・区市町村・中央会等から助成を受け、不正等の事故を起こしてい
ないこと。
⑤ 助成事業の実施にあたって必要な許認可等を取得し、関係法令を遵守すること。
⑥ 民事再生法、会社更生法、破産法に基づく申立手続中(再生計画等認可後は除く)、また
は私的整理手続中など、事業の継続性について不確実な状況が存在しないこと。
⑦ 東京都暴力団排除条例に規定する暴力団関係者又は遊興娯楽業のうち風俗関連業、ギャンブ
ル業、賭博等社会通念上適切でないと判断されるものではないこと。

助成対象事業

それでは対象事業はどのようなものでしょうか。

公募要領によると、この助成金の助成対象事業は、以下の(1)から(4)をすべて満たす事業とします、と書かれています。

(1)
自社における技術又は自社の提供するサービスの高度化・高付加価値化に向けた技術開発等であること。そもそもの目的ですからこれは外せません。

(2)
自社における技術的課題の解決があること。技術課題を解決するために、自社の技術・サービスの高度化・高付加価値化に向けた技術開発等の取組を行います。

(3)
最終消費者に直接提供される製品(最終消費者に対して直接販売するために完成した機能を持つ機器・装置)又はサービスに関する取組でないこと。あくまでも下請け事業であることが前提です。

(4)
実施場所が、自社若しくは東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県、茨城県又は山梨県のいずれかに所在する自社工場であること。東京都内に本店があるだけでなく工場の所在も限定されていますのでご注意下さい。

いかがでしょうか?すべてクリアしてるかも・・・という事業者様はいらっしゃいませんか?

一方、逆に対象とならない事業は次の通りとされています。

 

<助成対象事業とならないもの>

① 自社ブランドの最終製品に関する取組又は、最終消費者に直接提供されるサービスに関する取組等
② 自社での技術的課題の解決要素がない事業
③ 営利活動とみなされる原材料や商品の仕入れ等
④ 既に事業化され収入を得ている事業であって、取組が製品精度や生産性の向上に寄与し
ないもの
⑤ 過去の「受注型中小製造業競争力強化支援事業助成金」、「受注型中小企業競争力強化支
援事業」及び「明日にチャレンジ中小企業基盤強化事業助成金」に採択された事業者等が、
同一類似の事業として本事業に申請した場合
⑥ 同一事業者が、複数件申請した場合
⑦ 公募要領の規定に反するもの、要件対象外、明らかな書類不備、補助事業の趣旨に反す
るもの等
⑧ 公序良俗に反する事業

 

では、令和2年度はどのような事業が採択されたのか、一覧表が公開されていましたのでご確認下さい。

令和2年度明日にチャレンジ中小企業基盤強化事業採択企業一覧

 

申請区分

本助成事業では、業種に関する区分として「ものづくり区分」と「受託サービス区分」があり、企業規模に関する区分として「小規模企業区分」と「一般区分」があります。

本助成事業に申請する際に、該当する申請区分を選択します。

こちらの表をご確認下さい。

 

ものづくり区分の対象となる取組み例は以下の通りです。

ア) 薄型・小型化に対応するために、切削加工技術の精度向上を図る取組
イ) 生産ラインの見直しを図り、製品の短納期化や低コスト化を実現するための取組
ウ) 作業工程に IT を駆使した生産管理システムを導入し、不良品の発生を低減させる取組

受託サービス区分の対象となる取組み例は以下の通りです。

ア) 自社の膨大な受発注を可視化するシステムを構築し、顧客対応力を向上させる取組
イ) サービスの提供過程・体制の見直しを図り、短納期化や低コスト化を実現するための取組
ウ) 習得が難しいサービスについて外部(専門家)の技術の指導を受け、自社のサービス提供能力の向上を図るための取組

 

そして、規模に関する区分は「助成金額」に影響します。

助成金額と助成率

助成金額は以下の通りです。

【小規模企業区分】  1,000万円以内

【 一 般  区 分 】  2,000万円以内

助成率は、助成対象と認められる経費の「3分の2以内」です。

つまり上限としては、助成対象と認められる経費の総額が小規模企業区分なら1,500万円、一般区分なら3,000万円以内であれば、それぞれ最大で小規模なら1,000万円、一般区分で2,000万円の助成金が得られることになります。

 

助成対象と認められる経費はこちらです。

原材料・副資材費 / 機械装置・工具器具費 / 委託・外注加工費 / 産業財産権出願・導入費 / 技術指導受入れ費 / 展示会出展・広告費 / 直接人件費

技術指導受け入れ費や展示会出展、広告費まで、かなり幅広く認められています。

 

スケジュール

今、募集中の令和3年第1回について、申請書類の提出期間と事業対象期間は次の通りです。

申請書類の提出期間
令和3年3月1日(月)~ 4月9日(金)[当日消印有効]

事業対象期間
令和3年7月1日(木) ~ 令和4年9月30日(金)(1年3か月以内)

なお昨年の「第2回」のスケジュールは次の通りでした。

申請書類の提出期間
令和2年6月15日(月)~ 7月15日(水)[当日消印有効]

事業対象期間
令和2年10月1日(木) ~ 令和3年12月31日(金)(1年3か月以内)

今年も第2回があると想定して6月中旬からの申請期間に備えてもよいかもしれません。

 

申請から助成金交付までは、次の通りに進みます。

 

なお、3月31日を超える事業計画の場合、必ず期を分けなければなりません。期を分けない場合、令和4年4月1日以降に事業を延長することはできません。

また、全体計画に加えて期ごとの目標や事業計画、資金計画等が必要であるなど、注意すべき点も多いため、お困りの際はぜひ弊社にご相談下さい。

まとめ

以上、明日にチャレンジ中小企業基盤強化事業助成金のご紹介でした。

令和2年度の採択件数は99件ですが、地域的な制限もあるので、上記の条件をクリアする事業者様にとっては助成金が得られるチャンスと言えそうです。

指定様式の申請書はもちろんですが、採択を得るためには「企画書」や「計画、品質管理書」などの説明資料(A4片面で30枚以内)も重要です。

こうした申請書類の準備はぜひ専門家の力を借りて、客観的かつ効果的な資料の用意をご検討下さい。

弊社もご相談を受け付けておりますので、ぜひこの機会に検討してみてはいかがでしょうか。

 

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