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今さら聞けない!? 補助金関連の頻出用語集
補助金を活用してみたい! と初めて思った事業者様にとって、ネックになるのがその文言の分かりづらさ。活用できると聞いて情報を集めてみたけど、正直、難しくてよく分からない…そんなお悩みを持つ方は、少なくないと思います。
そこで今回は、初心者の方でもスムーズに制度を理解できるよう、補助金関連の用語集を作成しました。そのほか、「補助金」という制度そのものの定義、実用的な用語解説、実務でハマりがちな落とし穴まで、幅広くお調べしましたので、ぜひ各種制度のご理解にお役立て下さい。
補助金関連の用語を解説する前に、その定義について確認しておきましょう。
内閣府の専門調査会である『基本問題・影響調査専門調査会女性の活躍促進WG』は2012年10月24日の会合で、補助金制度の一般的な定義等をまとめています(こちらの参考資料1からご覧いただけます)。それによれば、補助金の要件は以下の3点とされています。
① 特定の事務、事業に国家的見地において公益性があると認められること。
② その事務、事業の実施に資するためのものであること。
③ 財政援助の作用をもつものであること。
③の「財政援助の作用をもつ」とは、簡単にいえば「返金不要」ということです。
補助金の財源は税金です。本来、特定の企業への援助は公平性を欠きますが、「公益に資する」事業に限っては、補助金という形で支援を認めているのです。当然、不正、他用途使用には罰則が科され、統制のために補助金適正化法という法律も存在します。
補助金を受け取るには、分厚い資料を読み込み、厳密な審査を経て、大量の書類を提出せねばなりません。事業内容や使途についても、何度も確認されます。それらの背景には、上記のような厳密な定義が存在しているのです。
関連記事『補助金「不正受給」とならないために』2021/4/29
助成金・交付金との違い
補助金と似て非なる制度に「助成金」や「交付金」があります。公益性がポイントとなる点は同じですが、決定的に違うポイントがあります。それは、審査の有無です。
助成金や交付金は一般的に、応募要件を備えれば必ず金銭が支給されます。しかし、補助金の場合、応募要件だけではなく、事業計画の質がふるいにかけられ、採択・不採択を判断されます。そのため、申請時に添付する「事業計画書」の質が大きな意味を持つのです。
補助金制度関連の頻出用語集
ここからは、補助金関連の頻出用語を分かりやすく解説します。補助金の種類は様々ですが、基本的な構造は同じです。幅広く制度の理解に繋がる用語を集めるとともに、各行程で留意が必要なポイントも併記致しましたので、参考にしてください。
(1)公募要領
補助金を利用するにあたって、最初におさえるべき書類。補助金一つに対し一つの公募要領が作られ、目的、応募できる個人・法人の範囲、補助金の対象となる経費・ならない経費、提出期限など、重要な情報がすべてここに記載されています。
審査は公募要領に準拠して行われます。いかに細かな情報でも、書いてあることを守っていなければ、それは不備。わずかな書式や提出書類の不備が、予定していた補助金を受領できない事態に繋がりかねません。80ページ超という大ボリュームの場合もある上、応募期間中に十数回改訂されることもあるため、必ず最新の公募要領を使用することと、前回版からの相違点を把握することが重要です。
(2)申請
補助金の申し込みです。募集期間内に必要書類を集め、申請書として補助金事務局に提出することを指します。
主に郵送で行いますが、GビズIDやJグランツなどを利用した電子申請も少しずつ増えてきました。提出期限は日にちだけでなく、「午後〇時」まで定められている場合があります。
電子申請の場合、締め切り直前はアクセスが殺到し、通常どおり通信できない場合があります。相当の時間的余裕をもって申請を終えておかないと、通信エラーによる時間切れで申請期限を超過しかねないため、十分に注意が必要です。
(3)補助対象事業
補助金の助成を受ける対象となる事業のことです。申請時、事業計画書等の資料で説明した計画がこれに当たります。
例えば、「100万円で機械を購入し、そのうち50万円を補助金として受領する」場合、「100万円の機械を購入」することが補助対象事業となります。
補助対象事業は原則として、申請時から変更することができません。計画を変更する場合、原則として、別途変更申請を届け出て、許可を得る必要があります。大きく内容が異なると補助対象から外れてしまうため、申請時点で十分に計画を練りこむことが大切です。
(4)補助対象経費
補助金による助成の対象となる経費です。(3)の例でいえば、機械の購入代金100万円が、補助対象経費となります。
建物費、機械装置等費など、支出の種類に応じて分類が決まっているため、総額だけではなく、分類ごとの支出額を整理する必要があります。
(5)補助対象期間
補助金の対象となる経費を決済できる期間です。すべての経費はこの期間内に支払い、証拠を残しておく必要があります。
多くの補助金において、対象期間の開始は「交付決定日」とされ、終了期間は「●年●月●日」と日付で指定されています。採択日ではなく、交付決定日が始期となることに十分注意が必要です。(※補助金の種類によっては、交付決定日等に関わらず一定期間遡れる場合もあります)
(6)補助対象外経費
補助金の対象とならない経費です。
公募要領に細かく列挙されており、後々落とし穴になりやすい箇所です。
代表的なものに、消費税に代表される公租公課、補助金の交付決定日より前に支出した経費があります。特に後者については、「採択日」を基準に支出してしまうと補助金を受け取れず、痛手となるため、注意が必要です。
(7)補助率
補助対象経費の内、補助金として支払われる金額の率です。3分の2、4分の3、〇%など、補助金の種類によって様々に規定されています。
注意が必要なのは、同時に設定されている「限度額」です。補助率が定められているから無尽蔵に補助金額が増えるわけではなく、一回の申請で支払える限度額が決まっています。
例えば、消費税課税事業者が、「補助率3分の2、限度額500万円」の補助金を利用し、補助対象経費が税込み1,320万円だった場合、補助対象経費は以下のように計算できます。
・税抜金額1,200万円×2/3=800万円
しかし、この金額は補助金の限度額500万円を超過しているため、受け取ることができません。受領できる金額はあくまで限度額の500万円が上限となります。
(8)審査
申請した事業計画が補助金の目的に合致しており、交付を受けるのにふさわしい費用対効果や事業計画を有するかを審査員が査定します。
注意点は、審査する側も数万件という膨大な量の書類を処理しており、1件の審査に割ける時間はそう長くないと思われるため、できるだけ見やすく、端的で、ポイントが目に入りやすい計画・書式にすることです。図表や太字、下線を使ってメリハリをつけましょう。
(9)採択
審査で一定の評価を得ると、晴れて採択され、補助金の交付を受ける事業者として選定されます。
よくある間違いが、次項の「交付決定」と取り違えて、採択通知(連絡)が届いた時点で経費を支出してしまうケースです。一般的に、補助対象は、原則として「交付決定日」以後に支出した経費なので、場合によっては補助対象外となってしまいます。採択と交付決定は別物、ということをよくご理解下さい。
(10)交付申請・交付決定
採択を受けた事業者の申請に基づき、必要経費の一部の補助金交付を決定することです。事業者のもとには、補助対象となる事業内容や費目・金額が記載された「交付決定通知」が届きます。交付決定日以降、補助対象事業に着手可能となり、支出した経費が補助対象となります。
交付決定を受けた事業計画どおりに事業を実施しないと、最後の最後で補助金を受け取れなくなる可能性があります。交付決定後、事業計画を変更する際は、専用の書式で許可をもらい、再度通知を受け取る必要があることに留意が必要です。
(11)収益納付
補助金を受け取って行う事業から収益が発生した場合、補助金額を上限として、収益金を国庫返納することとなります。例えば、新しく通販サイトを作った場合や、新店舗や移動式店舗で新商品を販売するなどの場合が該当します。
計算式は公募要領等で定められています。実際には、収益金が発生することはそう多くありません。
(12)実績報告・確定検査
補助金を用いて作った成果物と効果を、補助金交付団体に、第三者にも分かるようなデータや写真で報告することです。
見積書、発注書(契約書)、請求書、さらに成果物の写真・データなど、様々な根拠資料が求められるため、補助事業実施時点から意識して資料を残しておく必要があります。
とりわけ重要で、特に注意を払う必要があるのが、金銭を支払った事実を示す証憑です。公募要領や、より具体的な手続きを定めた「補助事業の手引き」には細かな規定が定められているため、把握しておかないと支出した経費が補助対象外となってしまいます。例えば、以下のようなケースはトラブルになりやすく、注意が必要です。
①クレジットカード払い … 原則として「口座引き落とし日」に支払が完了したものと判断されます。そのため、補助対象期間ギリギリにクレジットカードで購入した場合、その経費を補助対象に入れられないケースがあります。
②社長個人名義での支払い … 会社ではなく、個人名義で購入している場合、(それが社長の名前であっても)事業者の支出とはみなされず、補助対象に入れられないケースがあります。もし、個人名義で購入してしまった場合、会社(〇〇株式会社など)が個人の経費を「立て替え精算」することで、補助対象に繰り入れることができます。
③上限金額を超える現金払い … 現金取引は上限金額が定められている場合があり、領収書があっても認められいケースがあります。
(13)圧縮記帳
補助金収入による税金の支払い年度を繰り延べるための会計処理です。過去、当ブログでも詳しく解説しております。下記の関連記事をご覧ください。
関連記事『ものづくり補助金は「圧縮記帳」が使えます!』2021/3/9
(14)概算払い請求
補助事業実施前(または実施中)であり、補助金額が未確定であるときに、確定後の精算を前提に、おおよその金額の前払いを発行団体に請求することです。交付決定額の50%など、公募要領や「補助事業の手引き」にその割合が定められています。
確定時の補助金額が申請時から著しく変動すると、返納義務が生じる可能性があります。例えば、100万円の交付決定を受け、50万円を概算払いしたが、実際に確定した補助金額が45万円だった、というような場合です。概算払いされた50万円が補助金総額を超過しているため、もらった金銭の一部を返納しなければなりません。
さいごに
以上、代表的な補助金関連用語を見てきました。
公募要領をはじめとした補助金関連の文書は、公的文書独特の言い回しが多く、読みづらいと感じられる方が多くいらっしゃいます。また、ここまで説明してきた各用語の内容も、利用する補助金や公募回数によって細かな規定が異なり、その都度細部まで読み取る必要があります。制度を理解するのが難しいと感じたら、専門家である我々HKSにご相談下さい。補助金を有効な資金繰り手段として活用するため、全力でお手伝いさせていただきます。
補助金活用支援会(HKS)パートナー、中小企業診断士
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