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事業承継・引継ぎ補助金(経営革新型)の公募要領が公開されました。1次募集が始まります

事業承継やM&Aを契機とした経営革新等への挑戦や、M&Aによる経営資源の引継ぎを行う中小企業者を後押しする、事業承継・引継ぎ補助金(経営革新型)の公募要領が公開されました。補助金の関係情報や公募要領の公開サイトもオープンしています。1次募集は6月11日(金)より申請受付開始です。なお、専門家活用型の公募要領はまだ準備中とのことです。

https://jsh.go.jp/r2h/

HKSでは、以前のプログで概要をご紹介いたしました。

「事業承継・引継ぎ補助金」のご紹介

今回のブログでは、経営革新型の公募要領で新たにわかったポイントを見ていきます。

補助金の概要

経営革新型の補助上限額・補助率は下記のとおりです。

類型 補助率 補助下限額 補助上限額 補助上限額の上乗せ額(廃業費用)
創業支援型
(Ⅰ型)
補助対象経費の
3分の2
100万円 400万円 +200万円
経営者交代型
(Ⅱ型)
M&A 型
(Ⅲ型)
800万円

スケジュール

公募期間(一次公募) 2021年6月11日(金)~2021年7月12日(月)18:00まで
交付決定日 2021年8月中旬(予定)
事業実施期間 交付決定日~2021年12月31日(金)まで
事業完了報告期間 交付決定日~2022年1月中旬(予定)まで
交付手続き 2022年3月下旬(予定)

補助対象事業

「後継者不在等により、事業継続が困難になることが見込まれている中小企業者等において、経営者の交代又は事業再編・事業統合等を契機とした承継者が行う経営革新等に係る取組」とされています。大きく4つの要件があり、経営革新がポイントです。

  1. 事業を引き継いだ中小企業者等(承継者)による経営革新等に係る取組であること。
  2. 以下に例示する内容を伴うものであり、補助事業期間を通じた事業計画の実行支援について、認定経営革新等支援機関の確認書により確認される事業であること。
    <以下に例示する内容>
    ① 新商品の開発又は生産、② 新役務の開発又は提供、③ 商品の新たな生産又は販売の方式の導入、④ 役務の新たな提供の方式の導入、⑤ 事業転換による新分野への進出、⑥ 上記によらず、その他の新たな事業活動による販路拡大や新市場開拓、生産性向上等、事業の活性化につながる取組等
  3. 経営者交代型(Ⅱ型)・M&A 型(Ⅲ型)の場合、新事業展開等要件または生産性向上要件を満たすこと。
    <新事業展開等要件>
    ① 新商品の開発又は生産、② 新役務の開発又は提供、⑤ 事業転換による新分野への進出、のいずれかの内容を伴う事業計画であること。さらに、事務局が定める期間において従業員数を増加させる計画であること。
    <生産性向上要件>
    承継者が2017 年4月1日以降交付申請日までに、本補助事業の申請事業と同一の内容で「先端設備等導入計画」又は「経営革新計画」いずれかの認定を受けていること。
  4. 公序良俗に反しない事業、社会通念上不適切と判断されない事業

事業承継の要件

補助対象事業となる事業承継は、以下の3点を満たす必要があるとされています。

  • 事業承継対象期間(2017 年4 月1 日から補助事業期間終了日または、2021 年12 月31 日のいずれか早い日まで)に、被承継者(事業を引き継がせる者)と承継者(事業を引き継ぐ者)の間でM&A 等を含む事業の引き継ぎを行った又は行うこと
  • 公募要領「6.2. 事業承継形態に係る区分整理」で定める形態であること。類型と承継者・被承継者の種別(個人事業主・法人)ごとに形態(事業譲渡、株式譲渡、吸収合併など)が定められています。
  • 経営者交代型(Ⅱ型)、M&A型(Ⅲ型)では、事業承継が申請時点で完了していない場合、承継者は以下の3点を満たすこととされています。
    経営経験を有している(事業)者 対象企業の役員として3年以上の経験を有する者
    他の企業の役員として3年以上の経験を有する者
    個人事業主として3年以上の経験を有する者
    上記について、2021年12月31日までに上記基準の年数を超えること。
    同業種での実務経験などを有している(事業)者 対象企業・個人事業に継続して6年以上雇用され業務に従事した経験を有する者
    対象企業・個人事業と同じ業種において通算して6年以上業務に従事した経験を有する者
    ※上記について、2021年12月31日までに上記基準の年数を超えること
    創業・承継に関する下記の研修等を受講した(事業)者 産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援等事業を受けた者
    地域創業促進支援事業(平成29年度以降は潜在的創業者掘り起こし事業)を受けた者
    中小企業大学校の実施する経営者・後継者向けの研修等を履修した者
    ※補助事業期間内に受講する場合を含む。

必要書類

共通して必要な書類

個人事業主 法人
承継者
  •  認定経営革新等支援機関による確認書
  •  住民票(交付申請日以前3 カ月以内に発行)
  • 税務署の受付印のある直近の確定申告書B(第一表・第二表)と所得税青色申告決算書
  •  創業支援型(Ⅰ型)に該当する場合、税務署受付印のある開業届(注1)
  • 認定経営革新等支援機関による確認書
  • 法人代表者の住民票(交付申請日以前3 カ月以内に発行)
  • 履歴事項全部証明書
  • 税務署受付印のある直近の確定申告書(別表一、別表ニ、別表四)(注1)
  • 直近の確定申告の基となる決算書(貸借対照表・損益計算書)
  • 実績報告類型番号11 に該当する場合で、交付申請時に法人成が未了である場合、法人成前である個人事業主の税務署の受付印のある直近の確定申告書B(第一表・第二表)と所得税青色申告決算書
被承継者
  • 住民票(交付申請日以前3 カ月以内に発行)
  • 税務署の受付印のある直近の確定申告書B(第一表・第二表)と所得税青色申告決算書
  • 法人代表者の住民票(交付申請日以前3 カ月以内に発行)
  • 履歴事項全部証明書
  • 税務署受付印のある直近の確定申告書(別表一、別表ニ、別表四)
  • 直近の確定申告の基となる決算書(貸借対照表・損益計算書)

※開業初年度の方や外国籍の方は提出書類が異なりますので、公募要領をご確認ください。

生産性向上要件を選択した場合に必要な書類

  • 「先端設備等導入計画の認定書の写し」又は「経営革新計画の認定書の写し」

該当する場合に必要な書類

  • 経営者交代型(Ⅱ型)、M&A型(Ⅲ型)で、承継者が申請資格を有していることを証明する書類(事業承継者が経営経験や同業種での実務経験などを有していることを証明する各書類が必要です)
  • 加点事由に該当する場合、証明書類が必要です
  • 創業支援型(Ⅰ型)又M&A型(Ⅲ型)の場合、事業再編・事業統合のスキームがわかる模式図(書式自由)が必要です
  • 補足説明資料(任意)が必要に応じて添付可能です。
    添付する場合はA4 判片面印刷10 枚程度までとされています。
    また、「ビジネスコンテストの受賞実績」欄に記載された場合は、当該ビジネスコンテストの内容及び受賞が確認できる資料(パンフレット及び表彰状の写し等)を提出することが可能とされています。

経営革新支援機関による支援が必要

公募要領には、「本補助金の申請に際しては、申請者による経営革新等の内容や補助事業期間を通じた事業計画の実行支援について、認定経営革新等支援機関の確認を受けている必要がある。」と明記されています。また、申請には支援機関による確認書の発行が必要です。支援機関には早めに依頼をしましょう。

審査のポイントは経営革新

公募要領には、書面審査のポイントとして4点あげられています。全て経営革新に関わる内容です。申請書類には経営革新の取組みを説明する資料が明示されていないため、補足説明資料でこれらの内容を具体的に説明する必要があると思われます。

  1. 経営革新等に係る取組の独創性
    技術やノウハウ、アイディアに基づき、ターゲットとする顧客や市場にとって新たな価値を生み出す商品、サービス、又はそれらの提供方法を有する事業を自ら編み出していること。
  2. 経営革新等に係る取組の実現可能性
    商品・サービスのコンセプト及びその具体化までの手法やプロセスがより明確となっていること。事業実施に必要な人員の確保に目途が立っていること。販売先等の事業パートナーが明確になっていること。
  3. 経営革新等に係る取組の収益性
    ターゲットとする顧客や市場が明確で、商品、サービス、又はそれらの提供方法に対するニーズを的確に捉えており、事業全体の収益性の見通しについて、より妥当性と信頼性があること。
  4. 経営革新等に係る取組の継続性
    予定していた販売先が確保できない等、計画通りに進まない場合も事業が継続されるよう対応が考えられていること。事業実施内容と実施スケジュールが明確になっていること。また、売上・利益計画に妥当性・信頼性があること。

補助対象経費

補助対象経費は下記の費目です。交付決定日以前に契約・発注した経費は原則、補助対象経費となりません。ただし、事前着手の届出を申請し事務局の承認を受けた場合のみ経費計上可能です。

Ⅰ.事業費

人件費 補助対象事業に要する賃金
店舗等借入費 国内の店舗・事務所・駐車場の賃借料・共益費・仲介手数料
設備費 国内の店舗・事務所の工事、国内で使用する機械器具等調達費用
原材料費 試供品・サンプル品の製作に係る経費(原材料費)
産業財産権等関連経費 補助対象事業実施における特許権等取得に要する弁理士費用
謝金 補助対象事業実施のために謝金として依頼した専門家等に支払う経費
旅費 販路開拓等を目的とした国内外出張に係る交通費、宿泊費
マーケティング調査費 自社で行うマーケティング調査に係る費用
広報費 自社で行う広報に係る費用
会場借料費 販路開拓や広報活動に係る説明会等での一時的な会場借料費
外注費 業務の一部を第三者に外注(請負)するために支払われる経費
委託費 業務の一部を第三者に委託(委任)するために支払われる経費

II. 廃業費(上乗せ額に計上可能なもの)

廃業登記費 廃業に関する登記申請手続きに伴う司法書士等に支払う作成経費
在庫処分費 既存の事業商品在庫を専門業者に依頼して処分した際の経費
解体費 既存事業の廃止に伴う建物・設備等の解体・処分費
原状回復費 借りていた設備等を返却する際に義務となっていた原状回復費用
移転・移設費用(Ⅰ型及びⅢ型のみ計上可)  効率化のため設備等を移転・移設するために支払われる経費

受付は電子申請のみ

jGrants(補助金の電子申請システム)を利用しての電子申請が必要です。また、交付申請においてもjGrantsを利用する必要があります。

jGrantsの利用にあたっては、「gBizIDプライム」アカウントが必要となります。このアカウントの発行には、通常2週間かかると言われています。またものづくり補助金や事業再構築補助金など、他の補助金申請でも必要なIDです。応募を考えられている未申請の事業者様には、早めの申請をおすすめいたします。

 


HKSは経営革新等支援機関です。事業承継・引継ぎ補助金の支援も行っております。この補助金は、事業承継を機会として経営革新に新たに取り組むことがポイントです。HKSのコンサルタントは単なる申請支援だけではなく、事業計画の具体化もサポートします。ご検討されている事業者様は、ぜひお早めにご相談ください。

 

 

 

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